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忝いとはどういう意味?使い方や例文...(続き2)

例えば会社の社長からお褒めの言葉を頂いた際に、社長という目上の人からわざわざ褒めてもらえるということが、自分の身に余るほどに光栄だと感じた時に、「もったいないお言葉です」と言葉を返すことがあります。

つまり、「自分にはもったいないことだ」と感じた時に、「忝い」の言葉として使うことがあるのです。

この「もったいない」を言い換えて、社長に「忝いお言葉です」と返すことが出来ます。

「忝い」をこのような場面でスマートに使うことが出来る人は、上司や周りの人からも教養があると評価されやすいでしょう。

恐縮だ

「忝い」には、「もったいない」と同様に、「恐縮だ」という意味もあります。

恐縮とはそもそも、「恐ろしくて身が縮むこと」や「身も縮むほどに恐れ入ること」という意味があります。

前者の意味の場合、例えば幽霊や妖怪のように、人外のものに出くわした時に感じる強い恐怖心から身が縮む思いを「恐縮だ」と言うことがあります。

また、後者の意味の場合は、例えば自分が大尊敬する相手や、格上の立場の相手からこちらを褒めてもらった際などに、自分などにはもったいない言葉で身が縮むといった思いの時に、「恐縮です」と言うことがあります。

そのため前者の意味は純粋な恐怖心から、後者の意味は自分の身に余るような出来事があった際に身が縮む思いがするということから、「恐縮だ」という言葉を使います。

本来はこのように、二通りの意味として恐縮は使われていますが、一般的には「恐れ多い」という意味で恐縮を使うことの方が多いです。

そちらの意味としてあまりに当たり前に使われているため、本来は怖いものに出くわした時にも恐縮を使うということ自体を知らないという人もいるかもしれません。

そして純粋な恐怖心を表わす言葉としても使うということを知らない人からすれば、誰かが怖い思いをして「恐縮だ」と言った際には、言葉の意味が違うのでは?と勘違いしてしまうこともあるかもしれませんね。

とはいえ、「忝い」という言葉で使う場合には、「恐れ多い」という意味の恐縮として使われていますので、そちらの意味として覚えておきましょう。

恥ずかしい

「忝い」は、感謝の気持ちを表す言葉であると同時に、「恥ずかしい」という気持ちを表す言葉でもあります。

自分の至らなさや不甲斐なさのために他人に迷惑をかけたり、世話になったりすることに対して、そんな自分を恥ずかしいと思う気持ちが、「忝い」という言葉になって表れています。

先ほど、武士が食事を見知らぬ誰かに世話をしてもらう際に、それに対する感謝の気持ちから「忝い」と口にすることがあるとご紹介しましたが、一方で見知らぬ人に食事の世話をしてもらわなければならない自分の不甲斐なさを恥ずかしく思う気持ちから、「忝い」と言うこともあります。

言われた方はどちらの意味で言われたのかまでは、あまり深く考えることはないでしょう。

単にお礼や申し訳ないという気持ちからそう言われたのだなと認識する程度ですが、「忝い」と口にする当人にとっては、その心情は事情や性格によって違っているのです。

「日本人は恥の文化」という言葉があるように、私たち日本人は、人様に迷惑をかけたり、手を煩わせたりすることを申し訳ない、恥ずかしいことだと考える傾向が強いです。

そのため、人から親切にされた際には、一言「ありがとう」と礼を言えばいいだけのところを、相手に対して申し訳ないという気持ちが心に浮かんできてしまうのです。

度が過ぎれば卑屈にも思えてしまう言動や態度ですが、適度にそのような恥を重んじる心は、日本人特有の尊いものであると言えるでしょう。

そうしたことからも、「忝い」は恥ずかしいという意味も持っています。

面目ない

「忝い」には、「面目ない」という意味も含まれています。

面目ないとは、「恥ずかしくて合わせる顔がない」という意味です。

例えば自分のミスで誰かに迷惑をかけてしまって、その人に尻拭いをさせてしまったなら、誠心誠意謝罪はするものの、それでも恥ずかしくて情けなくて、堂々とその人に顔向け出来なくなってしまうでしょう。

よほどの厚顔無恥な人でない限り、自分のせいで他人に迷惑をかけてしまったなら、その相手には「申し訳ない」と思うことでしょう。

そして迷惑をかけた内容が大きければ大きいほど、相手に対してまともに顔向けできなくなってしまいます。

「忝い」には、そんな自分を恥じ入る気持ちも含まれていますので、何か失態を犯して恥ずかしいという気持ちの時には、「忝い」という言葉を使うことがあります。

「忝い」の類語や関連語

「忝い」には、心からの感謝の気持ちや、恐れ多いという気持ち、また恥ずかしくて面目ないという気持ちなどが込められています。

それらの感情を一言だけで表せるのはとても便利で使い勝手が良くもありますが、いかんせん日常会話の中で頻繁に使うことがないため、ほとんどの場合は「忝い」と近い意味を持つ言葉で代用しています。

では、「忝い」の類語や関連語には、どのようなものがあるのでしょうか?知っておけば日常会話の中でも使えますので、類語や関連語を頭に入れておきましょう。

誠意を感じ、示す

誠意を感じ、示す人
「誠意を感じ、示す」とは、自分の感謝の気持ちや誠意の気持ちを、言葉や態度で他人に表すということです。

日本人は誠意を行動に表す際に、よく会釈をします。

会釈は挨拶として使われるだけでなく、感謝の気持ちや謝罪の気持ちを表す際にも用いることが多いため、誠意の気持ちを示す場合にも使われることが多いです。

一方で、会釈と同時に言葉としても、自分の誠意を示すことが多いです。