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裁量とはどういう意味?裁量で動ける...(続き3)

裁量労働制の仕組み

裁量労働制は、最近になってあちこちの会社で採用するところが増えてきています。

とはいえ、まだ完全にその制度が定着したわけではないので、裁量労働制について戸惑う人や、裁量労働制ってなに?と疑問に思う人もいるかもしれません。

裁量労働制は、労働時間を実労働時間ではなく、一定の時間としてみなす制度です。

従来までは、例えばあなたが8時間働いたとしたら、その働いた8時間分に見合った給料を会社が出すという形でした。

仕事の合間に1時間休憩を入れたのなら、会社にいた時間は9時間ですが、実際に働いた時間、つまり実労働時間は8時間ですので、実労働時間分が給料になります。

また残業をすればその分実労働時間は増えますので、残業も含めたひと月分の実労働時間に見合った給料が支払われるということになります。

これが実労働制度でしたが、裁量労働制度の場合には、実労働時間という考え方がなくなります。

裁量労働制度では、例えばある1つの仕事内容に対して、それを行ったら給料がいくら、というように、仕事内容に応じて給料が定められます。

実労働時間の場合には、その仕事内容に取り組んでいた時間が給料になりますが、裁量労働制度の場合には、働いた時間に関係なく、1つの仕事そのものに対して給料が支払われます。

例えばAさんとBさんが同じ仕事に取り組んだ場合に、Aさんは効率よく3時間ほどでその仕事を終わらせたとします。

一方のBさんは仕事の要領が悪く、仕事が終わるまでに6時間かかってしまったとします。

実労働時間制度の場合には、同じ仕事内容でも時間のかかったBさんの給料の方が多くなりますが、裁量労働制度では、2人とも給料は同じになります。

つまり、裁量労働制度とは、効率よく早く仕事を終わらせられる人ほど有利であり、要領が悪く仕事に時間がかかってしまう人ほど不利な制度でもあります。

仕事に時間がかかってしまう人は残業もするでしょうから、「給料が仕事内容と見合ってない」と不満に思えるかもしれません。

しかし一方で、効率よく短い時間で仕事が出来る人にとっては「早く終わらせても給料は同じ」なので、嬉しく感じられることでしょう。

勤務時間が決められていない

裁量労働制度は、1つの仕事にどれだけ時間がかかるかということは重要視しません。

あくまでも、その仕事を終わらせたら給料がいくらもらえるといった考え方です。

そのため、勤務時間そのものは決められていませんので、裁量労働制度を採用している会社によっては、出勤時間や退社時間が社員で違うところもあります。

例えば今日1日分の仕事を半日で終わらせることが出来る人は、午後から出勤しても良いですし、もしくは朝出勤して昼頃には帰社するということも出来ます。

一方で実労働制度の場合には、例え今日の分の仕事が終わっても、定められた時間内は会社にいないといけません。

そのため、雑用をして時間を潰したり、他の人の仕事を手伝ったりと、早く仕事が終わる人にとっては不便な時間の過ごし方をすることになります。

仕事の進め方が個人の裁量に任せられますので、早く仕事が終わった人は早めに帰宅して家族で出かけることもでき、能力のある人は毎日を充実した時間の使い方が出来るようになります。

一方で、勤務時間が決まっていないということは、仕事が遅い人ほど夜遅くまで残業をすることにもなります。

また、実働労働制度の時のように残業代も付きませんので、疲労や不満が溜まりやすくもなります。

裁量労働制の問題点

裁量労働制は、能力があり、仕事が早く終わらせることの出来る人ほど有利な制度です。

能力がある人にとっては裁量労働制は非常にモチベーションが上がりやすい環境であり、また「仕事に時間をかけるほどムダ」という考えが生まれます。

これまではダラダラと仕事をしていた人も、効率よくさっさと仕事を終わらせるために、これまで以上に集中して仕事に取り組むことが出来るようになります。

裁量労働制にはこのようなメリットもありますが、しかし問題点も存在しています。

その問題点が多い会社ほど、なかなか実労働制から裁量労働制へ働き方を切り替えることが出来ずにいます。

では、裁量労働制にはどのような問題があるのでしょうか?

そもそも裁量労働制に当てはまらない

会社によっては、そもそも裁量労働制には当てはまらないところもあります。

例えば24時間の警備会社の場合には、早く仕事を切り上げて帰社するということが出来ません。

警備会社の場合には、決められた時間内あちこちを巡回したり、自分の持ち場を警備したりするのが仕事内容ですので、どうしても労働時間内は拘束される形になります。

また、スーパーやコンビニ、その他のサービス業の会社などでも、労働時間内は必ず職場にいなければならないというところも多いため、そうした職場の場合には裁量労働制は当てはまりません。

裁量労働制の当てはまる会社は、個人でその日の仕事内容が割り振られているところが多く、比較的自分で自由に時間を使える職場であることが多いのです。

長時間労働の蔓延

裁量労働制は、確かに個人の裁量によって労働時間を早く切り上げたり、好きに時間を使ったりすることが出来ます。