しかし、会社によっては個人に与える仕事量がとても膨大で、どんなに能力のある人でも労働時間が長くかかってしまうというところも珍しくはありません。
そうした会社の場合には、社員一人一人の長時間労働が蔓延してしまう傾向があります。
会社にとっては、社員がどれだけ長時間働こうが給料を支払う額は一定ですし、残業代も出す必要がありません。
そのため、社員の能力に関係なく、裁量労働制を利用して社員に堂々と長時間労働を強いている会社も残念ながら中には存在します。
そうした会社では社員が長時間労働の末に過労で倒れてしまったり、精神的な病気を患ってしまったりすることもあります。
また、例え社員が「仕事量が多過ぎる」と訴えても、会社側が「それはきみの能力が低いだけで、頑張ればもっと効率的に仕事を終わらせることが出来るはずだ」と社員の訴えを跳ねのけることも出来てしまいます。
休日出勤も多い
裁量労働制では、仕事に時間がかかってしまうほど不利になります。
毎日のように残業をして、それでも仕事が終わらなければ休日出勤までしなければなりません。
しかし、どれだけ残業しても、また休日出勤をしても、支払われる給料の金額は一定です。
そのため、裁量労働制を悪用している会社に対して不満を覚える社員も少なくはないでしょう。
あまりに残業や休日出勤が酷い場合には、もっとホワイトな会社への転職を考える人も出てきます。
ですが、そう簡単に転職することも出来ない人にとっては、仕事に対する負担が増える一方になってしまいます。
さらに、もらえる給料は変わらないのに休日出勤が多くなっては、仕事に対するやりがいや充実感よりも、疲労や脱力感、嫌悪感などが増してしまい、どんどんモチベーションが下がっていってしまうでしょう。
裁量労働制を利用する会社は、社員のそうしたモチベーションの低下について対策をする必要があるでしょう。
裁量の具体的な使い方
「裁量」が個人で自由に考えて判断し、処理をするという意味を持つ言葉だということは理解出来たことでしょう。
意味が理解出来れば正しい使い方をすることも出来るようになります。
ですが、裁量という言葉を使い慣れていない人は、いざその言葉を使う時には「本当にこの使い方で間違っていないだろうか」と不安を感じることもあると思います。
言葉の使い方に対する不安は誰でもありますので、思い切って使っていくと自然と使いこなせるようになるでしょう。
また、裁量の使い方に自信がないという人は、これからご紹介していく裁量の具体的な使い方の例を参考にしてみてください。
個人に与えられる裁量の大きさである
個人に与えられる裁量の大きさとは、個人に与えられる自由度の大きさということです。
ある一定の決められた範囲内のみで自由に動ける場合もあれば、かなりの高範囲を自由に動き回れるような場合もあります。
仕事の場合にも、ある程度まで上司から指示を与えられ仕事をこなした後で、残った部分を自分の好きにやって良いという場合もあれば、1つのプロジェクトそのものを自分の好きに進めていけるという場合もあります。
そのため個人に与えられる裁量が大きな会社では、個人のアイディアや仕事のやり方を重視してくれる反面、個人が背負う責任も大きくなります。
一方で、個人に与えられる裁量が小さい場合には、自由度は少ないものの大体のやり方は上司の指示通りに従えばいいだけなので、背負う責任も小さくなります。
裁量が与えられている
「裁量が与えられている」とは、ある程度個人で自由に動ける条件にある場合に使う言葉です。
「○○さんは上司から仕事の裁量を与えられている」という言葉であれば、その人は上司から自由に仕事を行う権利を与えられているという意味になります。
部下に仕事の裁量を与えることは、上司にとっては指示をしなくてもいいという楽な気持ちよりもリスクの心配があります。
何かあった時には部下本人が取る責任も大きいですが、部下に裁量を与えた上司にも責任が科されるでしょう。
そのため、裁量はある程度信頼のおける人物にしか与えることが出来ないものです。
部下の可能性を信じて裁量を与えることの出来る上司や、何かあった時には自分も一緒に責任を取る覚悟と寛容さのある上司でもない限りは、簡単に部下に裁量を与えることは躊躇われるでしょう。
そのため裁量を与えられた人は、それだけ上司から信頼されているということでもあります。
自由裁量権を与えている
「自由裁量権を与えている」といった表現は、法律分野などで使われることが多いです。
裁量権とは自分で考えて判断して行動出来る権利があるということですので、それだけの自由が許されているということになります。
普段はあまり聞く言葉ではありませんが、法律分野では使われることがある表現ですので、覚えておくと良いでしょう。
医療機関の自由裁量である
「医療機関の自由裁量」とは、例えばある病院に患者が来院した際に、病院全体でその患者の診察を行うのではなく、患者を診察する医師が自分で患者の症状や病状を判断・特定し、診察結果を出して薬を出すという仕組みのことをいいます。