これはごく日常的に、私たちが体調不良になった時には病院へ行き、医師に診察してもらって診断結果を聞き、薬をもらうことでもあります。
患者を診察する医師は、その意志の考えや判断によって病気や怪我を特定し、それに相応しい治療方法を提案します。
そのため、例えば患者に出した薬が原因で患者の症状が悪化したり、万一亡くなってしまったりした時には、その医師の責任となります。
大きな問題に発展してしまった時には、もちろん当事者の医師だけでなく、その医師を雇っている病院全体の責任にも繋がりますが、医師は患者の命を背負っているという責任の元に自由裁量で仕事をしています。
時々難病にかかった人が、あちこちの病院でさまざまな病名を告げられた挙句に、結果としてはまったく違う病気だったことが判明した、というケースがあります。
正確な病名が分かるまでにいくつもの病名を告げられたというのも、その患者に関わった医師の裁量によってそれぞれに異なる結果が出されたからなのです。
そのため、裁量によっては腕の良い医者や悪い医者にわかれることもあるでしょう。
裁量の同義語
裁量の同義語には「分別」、「フリーハンド」、「任意」、「自由な判断・決定」などがあります。
裁量はビジネスシーンで使われることが多いですが、それ以外のシーンや日常でも使うことがあります。
言葉の響きは少々かしこまったものですので、プライベートやもっと気さくな場面では裁量ではなく、別の言葉で表した方がいい場合もあります。
分別
「分別」は「ふんべつ」と読み、元は仏教用語です。
しかし一般的に知られている意味としては、「物事の是非や道理を判断すること」「わきまえること」などです。
物事の是非や道理を判断するのは自分自身ですので、自分で考えて行動に移すことでもあり、「裁量」と意味がよく似ています。
分別とまったく同じ漢字で、「ぶんべつ」と読む言葉もありますが、こちらは「種類によって分けることや、区別すること」という意味があり、主にゴミの分別などで使われることの多い言葉です。
読み方が違うだけで漢字はどちらも一緒ですので、分別の意味をよく理解していない人は時々読み方を混同してしまい、「ふんべつ」を「ぶんべつ」と言ったり、「ぶんべつ」を「ふんべつ」と言ったりすることがあります。
間違って使ってしまうと恥を掻いてしまうことになりますので、使う際には注意する必要があるでしょう。
また、裁量よりは普段使いされることの多い言葉です。
フリーハンド
「フリーハンド」は「自分自身の意志で自由にできること」という意味の言葉です。
「裁量」と意味がとてもよく似ていますので、「あなたの裁量でよろしく」というところを、「フリーハンドでよろしく」と表現することがあります。
フリーハンドはあまり普段使いをされることはなく、ビジネスシーンで多く用いられます。
とはいえ、ビジネスシーンでもそこまで頻繁には用いられませんので、「フリーハンドでよろしく」と頼んでも、意味を相手に理解してもらうのに時間がかかることがあります。
社長が若い会社やネットビジネス系の会社ではよく使われていることがあります。
任意
「任意」とは、「思いのままに任せるさま」や「その人の自由意志に任せること」などの意味があります。
任意という言葉は公私に関係なく、あらゆる場面で頻繁に用いられます。
例えば警察の事情聴取を行う際に「任意で」と使うことがあります。
この場合には事情聴取を受けるのかどうかということを自分の意志で決めることが出来ます。
すなわち強制的なものではなく、拘束性のあるものでもありません。
自分や相手の自由意志に任せるという意味では「裁量」とよく似ています。
任意という言葉はややかしこまった言い方ですが、あちこちで耳にする機会が多いため、裁量よりも身近に感じられる言葉かもしれません。
実際の使用頻度としては、裁量も任意もそこまで大きな差はないでしょう。
また、裁量の場合は完全に個人の自由意志に任せるといったイメージが強いですが、任意の場合にはやんわりと相手にお願いする気持ちを感じさせるイメージがあります。
自由な判断・決定
自由な判断や決定は、裁量の意味と同じことですので、裁量という言葉を使うのにふさわしくないような場合には、このような言い方をすることがあります。
例えば子どもや学生に「自分の裁量でやってね」と大人が言ったところで、言われた側は意味が分からずにぽかんとしてしまいますよね。
裁量の意味が分からないような年齢を相手にする場合には、「自分で自由に決めてね」や「自分で判断して行動してね」などとより分かりやすい言葉で伝える必要があるでしょう。
一方で、社会人であれば裁量という言葉も、その意味も理解していて当たり前だと考えられています。