ただ、クレーム対応というのは、そもそも「クレームをはね除ける」為だとか、「いちゃもんを論破する」為の仕事ではありませんし、例え決まりきった対応マニュアルなんかがあったとしても、それは変な対応や言葉遣いによって顧客の不満をさらに増大させない為にあるものです。
あくまで、顧客満足の為に設置されている部署であることをなんとかご理解いただきたい。
さて、では、なぜ天然な人がこの「クレーム対応」という仕事に向いているのかということなんですが、以下にそう思う点をご紹介します。
冷静な判断ができる
売った物やサービスが価格に見合わないときや、同じ物やサービスを買ったはずなのに他の客より自分が買ったものの質が低いという場合に人はクレームします。
ですから、クレーム対応というのは、同じ物やサービスを売ったはずなのに違うものや質が悪いものがあったときに対応するというふうに考えるべきです。
つまり、売ったモノに焦点を当ててクレームについて考えなくてはなりません。
しかし、これをお客さんが男か女か、子供か大人かなど、性別や年齢によってクレームの質を判断したり、声の大きさや論調といった怒りの度合いでクレームの受け取り方を変えたり、客の期待度や二次的な損失の大きさによって対応の篤さを変えてはいけないはずです。
しかし、クレーム対応に慣れていない新入社員などはどうしても相手を見てしまいます。
また、その物だかサービスだかを売った当の営業スタッフであったりすると、どうしても自分の顧客贔屓になってしまいます。
しかしながら、この仕事を天然な人がすると、クレームに対して、冷静に判断し、かつ平等に対応することができるでしょう。
天然な人の特徴として、マイペースなだけに人の感情や気持ちに同調しない、というかする術を持たないというところがあります。
それについてマイナスな面を先に言うと、友達から相談をされても自分が本当に興味のあることでなければ良い助言ができなかったり、悩みを打ち明けられても、一緒に悩むことはできても、人の悩みなので、その友達ほど重く捉えられないという面があります。
この結果、友達から「ねえ、真剣に聞いてる?」とキレられたりしたことも多いのではないでしょうか。
以上マイナス面ですが、とは言えです。
これって別に悪いことではないはず。
友達が天然な人に求めるものが大きすぎるために起こりうる感情のすれ違いなわけですから、天然な人には全く悪気はありませんし、迷惑もかけていないはず。
この「にぶい」ところや「他に同調しない」ところが、天然な人がクレーム対応において冷静な判断ができると思う理由です。
「売ったものと違ったものを買った」ことに対してのみ対応していく、あるいみ図太いポリシーが天然な人の中に一本あり、相手が何であろうが、どんな気持ちであろうが、ルールに従って業務できるはずです。
神経質になりすぎず対応できる
クレーム対応に失敗すると、その会社のイメージに影響を及ぼす可能性もあります。
だからこそ、各社クレーム対応のプロを養成もしくは、雇用し、わざわざお客様相談室を設けているわけです。
「会社のイメージダウンに繋がりかねない…」おそらく、その会社のクレーム対応の任に就くものはみなそう言い聞かせられ、「だから、真摯な態度で丁寧な対応を…」と戒められているかと思います。
ですので、クレーム対応を仕事とされている方の心境いかばかりか。
大変なお仕事だと思います。
しかし、あまり「会社のため、会社のため~!」と神経質になって受話器をとるのは、ご自身にも不満を抱えて電話してくる相手にも良くなさそうです。
そもそも、会社を守るためや、イメージアップの為に「クレーム処理班」がいるわけではないわけで、顧客が納得する対応をすることが、会社を守ることであり、贔屓をしない会社というイメージを持ってもらうことに繋がります。
また、「買った商品が不良品だった為に、その商品を使おうと思っていた日に間に合わず、何だか色々台無しにってしまった」等々の話をクレームに載っけて電話してくるお客さんもいますね。
もちろん、その話が本当だとしたら、本当に申し訳ないことをしたと、直接売った本人じゃなくても、またその会社に雇われただけのクレーム対応スタッフだったとしても、胸が痛みます。
しかし、だからと言って、いち社員がどうこうできる問題ではないし、あまり相手の不憫な話に感情移入しすぎないことが大切です。
こういった業務だからこそ、やはり天然な人にはおあつらえ向きであると思います。
もちろん、神経質にならない性格の天然な人が、「会社のイメージなんて関係ない」とか、「客が困ったってどうしようもないもんはどうしようもない」なんて思っているとは思っていません。
どうしようもないことって世の中には沢山あり、毎日のように起こって消えていっています。
「どうしようもないことだけれども、ここまでは何とかしましょう」というのがクレーム対応、クレーム処理です。
これを冷静にルールに則って行っていけるのが天然な人であると思います。
感情が一定である
「感情が一定」というのを良いように言うと、「精神的に安定している」と言えます。
天然な人の特徴として、あまり感情的にならないところがあります。
時として、それが仇となり、周りからは「なに考えているかわからない」と思われたり、「人の話をあまり親身になって聞いていない」というような印象を持たれます。
確かに、クレームする客の側からすると、「お電話有難うございます」から「それは大変申し訳ございませんでした」まで、同じテンションで受け答えされたら、「本当に申し訳ないとおもってんのか?」と更に怒りが大きくなってしまう可能性があります。