差し向き
「差し向き」とは、「今のところ」や「さしずめ」「言ってみれば」という意味の言葉です。
「さしあたり」の古い言い方ですので、あまり日常的に使われる言葉ではないでしょう。
身の回りで同じ意味の言葉を使う場合には、ほとんどが「さしあたり」や「さしあたって」と使います。
「差し向き」には、とりあえず今のところはといった意味が込められていますので、一時的なものとして考えられ、「一旦」の類語に含まれます。
とはいえ、「一旦」の場合は、基本的に物事を途中で中断させる、もしくは行うといった意味合いが強いため、「差し向き」とは少々意味が異なる面もあるでしょう。
そのため類語ではありますが、「一旦」の代わりとして「差し向き」もしくは「さしあたり」を使う機会はそれほど多くはないかもしれませんね。
差し詰め
「差し詰め」は、「差し詰まること」「どんづまり」「暫定的に結論を出すさま」「当面、さしあたって」などの意味があります。
「暫定的に結論を出すさま」というのは、「結局」や「要するに」ということですので、大体の結論を出す際には「差し詰め〇〇だろう」などと使われることがあります。
小説や会話の中では、暫定的に結論を出す際によく用いられますが、「一旦」の類語としての意味は、「当面、さしあたって」が当てはまります。
「当面」や「さしあたって」も、物事を一時的なものとして捉えている言葉です。
一時的に何かをする際や中断する際の意味としては「一旦」と同じですが、こちらも「一旦〇〇しよう」という言葉を「差し詰め〇〇しよう」と言い換えることはほとんどありませんので、「一旦」の類語として使われる機会はそれほど多くはないでしょう。
とりあえず
「とりあえず」には、2つの意味があります。
「第1に」という意味と、「先のことは考えず、現状だけを問題とするさま」という意味です。
前者の場合には、何をおいてもまずは優先しようという気持ちの時に用います。
例えば仕事でミスをしてしまった時に、その対処をする前にまずは迷惑をかけてしまった同僚や上司に謝罪をしなければなりません。
その際に「とりあえず謝罪をしなければ・・」と使うことがあるでしょう。
また後者の意味の場合には、例えば休日に何かをしようと思い、急ぎの用事もなくただ頭に思い浮かんだことをやろうとする際に、「天気もいいし、とりあえず洗濯でもしようかなぁ。」と使うことがあります。
私たち日本人は、この「とりあえず」の意味をごく自然に使いこなしています。
しかし、使う人がどちらの意味で使うことが多いかによっては、他人の言う「とりあえず」の意味を誤解してしまうことがあります。
例えば後者の意味として使うことが多い人は、大事な場面で誰かが「とりあえず〇〇しようか」と言った時に、「何でそんな適当なんだ!」と怒ってしまうことがあります。
言った本人は最優先という意味で「とりあえず」と言ったのに、聞き手がそれを先のことは考えないという意味で受け取ってしまったため、誤解が生じトラブルになってしまったのです。
「とりあえず」の意味をきちんと理解して、場面によって使い分けができていない人は、時々このような誤解が生じることがあります。
また、「とりあえず」も一時的な意味として「一旦」と似ていますので、時々「一旦」の代わりとして使われることがあります。
連想される言葉
「一旦」から連想される言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?連想される言葉によって、その場の状況や様子を想像、または理解しやすくなりますので、連想される言葉も知っておくといいでしょう。
「一旦」から連想される言葉を以下に挙げていきます。
一遍
「一遍」とは、「一回、一度」「ひとわたり」「一部始終」「表面のみで内実のこもらないさま」などの意味があります。
「一旦」から連想される意味としては、「一回、一度」が相応しいでしょう。
また、「表面のみで内実のこもらないさま」というのは、上辺だけの世辞や、感情のこもらない社交辞令などのことです。
「通り一遍の挨拶」などがいい例として挙げられます。
日常会話の中でも、「いっぺん〇〇しよう」と使われることがありますが、この「いっぺん」は「一辺」ではなく「一遍」の漢字で表されます。
すなわち、「一遍〇〇しよう」とは、「一度〇〇しよう」という意味になります。
言葉の響きが「一旦」と似ているため、そこから連想されることの多い言葉です。
しかし、「一旦」の場合には何かをしている動きを一度止めるという意味が強いため、「ものは試しでやってみよう」という意味の強い「一遍」と言い換えて使われることはあまりないでしょう。
「一遍」には、その時一度だけという意味合いが強く込められています。
ひとまず
「ひとまず」は「とりあえずそこで一区切りつけること」や「十分ではないが、おおむね良いと評価するさま」です。