家庭に縛られず、自由に生きていきたいとする男性側の価値観。
それぞれが少しずつ、結婚に対する価値観を変化させてきています。
それに昔は離婚っていうと、世間体的にもとてもイメージの悪いものだったし、女性がひとりで生きていくのもままならないことから、一生添い遂げるのが当たり前でした。
でも、離婚してもシングルマザーとして生きていく道も開かれている今は、我慢するより離婚するほうが得策だという風潮もありますよね。
社会の変化と、男女それぞれの価値観の変化により、結婚観は大きく変わってきています。
結婚、離婚でいったら、昔に比べれば女性の方がパワフルに生きぬく力を身につけたと言えるのではないでしょうか。
それが、草食系男子の増加の背景にもなっているのでしょう。
男性を必要としない女性たち。
家庭を守るという責任を負わなくてよくなった男性たち。
それぞれが、今の時代を作っているとも言えるのです。
5. 物に溢れて満たされている時代
草食系男子が増加した背景には、今の時代が物に溢れて満たされているということも、理由のひとつなんですよね。
親の育て方や家庭環境の変化の中でも触れましたよね。
物に溢れて何不自由なく育ってきた今の若者は、心も身体も満たされている状態。
物がない時代の人達のようなハングリー精神は、育ちにくい環境に生まれてきたんです。
これは前の世代の大人たちが、ハングリー精神の元に作ってきた世の中でもあるんですよね。
もっと便利に、もっと快適に生活できるように成りたいという気持ちで発展させてきたことで、その子供たちは、十分に満たされた生活を送れるようになったんです。
自分の子供には不自由のない生活を送らせてやりたいと願う親世代が踏ん張ってきたことで、幸せな環境が与えられた…。
だけどその一方で、得るものがあれば失うものもあるっていうのが今、浮き彫りになってきているのかもしれません。
そのひとつが、草食系男子とも言えるのかも。
草食系男子を負の遺産とは言いませんが、もし親世代の大人たちがハングリーに生きぬく力を子供に身につけさせたいと思っていたのなら…やり方はちょっと間違えてしまったのかもしれませんよね。
筆者の父も、自分が苦労したぶん自分の家族には同じような思いをさせまいと、必死で働いてきました。
その結果、甘々な娘二人が育っちゃったんですよね(笑)
というのも、筆者の姉は鬱で10年近く引きこもり生活をしていました。
もちろんそれは甘えだけではないんだけど…どこかで甘やかしもあったと言わざるを得ません。
父は今、姉に「とにかく自立して欲しい」と言うけれど、やっていることは真逆なんです。
筆者から見れば、自立して欲しいんだか自立させたくないんだかよく分かりません。
父としては、自分は親に何を言われることも無く、自分で自立して社会で頑張ってきた。
だから、子供も勝手に自立するものだと思っているらしいんです。
でも、そういったハングリー精神を養うには、父と筆者たち姉妹の育った環境は違いすぎるんです。
今の世代の若者に、草食系男子が増えてきたことに親世代の人達は顔をしかめるけど、そう育ててきたのは他でもない、親世代の人達でもあるんですよね。
昔は大変だったんだっていうのは分かるけど、やっぱりその体験をしてみないと苦労の真髄は分からないっていうのが、正直なところなんですよね。
2. 結婚率、晩婚率にも影響
草食系男子が増加した背景にある、結婚に対する価値観の変化や育った環境は、もちろん今の結婚率、晩婚率にも大きく影響しています。
昔なら結婚するのが当たり前で、20代のうちには結婚して家庭を持つのが自然な流れだったけど、今は30代で結婚といっても決して珍しくはありません。
社会進出した女性としても、20代って一番夢や希望に溢れて仕事にまい進している時です。
そこで結婚となると、経験もキャリアも、捨てることになったり中断されることになったりしてしまうんですよね。
どうしたって、妊娠したら中断せざるを得ないのですから。