覚えてしまうとなんのことはないことでも、覚えるまでには人は何回かは同じような失敗をするものです。
根気強く教え続けなければいけないことも多いのです。
わからないことがあれば何度も質問され、そのたびにわかるように説明しなければいけない。
やったことのある人でなければその苦労はわからないかもしれません。
私も以前、自分が会社を辞めるのだからと、慣れない仕事の引き継ぎをしたときには、自分の代わりに入ってくれるのだから仕方ないと自分自身にいい聞かせがんばったものです。
会社や仕事内容によっては難しい仕事であればしっかり覚え込んで、新入社員が仕事をこなしてくれるまでに1年以上、熟練してくれるまでに3年程度かかるかもしれません。
通常はそこまでいかなくても3ヶ月は引き継ぎの期間欲しいものです。
そして仕事の内容そのものだけではなく、会社生活をおくるうえで発生する雑務、たとえば経費の精算方法の書き方、コピー機の場所、勤退表の書き方など。
出戻り社員には説明する必要が省けるというのもメリットです。
そんなささいなことと思われるかもしれません。
しかし、会社内の雑務はささいなことだらけで、それがけっこう厄介かものです。
ただし、会社側も日々進化し続けていることでしょう。
細かなことから仕事の進め方まで以前とは違うやり方になっていることも考えられます。
それでも100パーセントの変化というものはないものです。
出戻り社員へ新たに説明するのと、新入社員への研修とでは負担はずいぶん違います。
新入社員を採用する際のコストには金銭面と時間がありますが、出戻り社員を雇うことはそのどちらの面でもコスト削減につながります。
そしてよく知っている人をまた雇うということは心理面でも負担が少ないものです。
4.スピーディーに採用してもらえる
人材の採用には時間がかかるものです。
募集をかけて面接に来てもらい、採用が決定するまでに、数か月かかることがあります。
募集と一口にいっても、さまざまな方法があり、よい人材がなければ募集方法を変えるということもあります。
採用を決めたはずなのに、他にもっといいところが決まったからと、初めての出社当日に出勤してこない人というのも存在します。
その点、出戻り社員ならそういった心配がかなり少なくなります。
そもそも出戻り社員が出戻るきっかけから、通常の採用とは大きく異なります。
一例として、A子は転職してからもそれまで勤めていた会社の友人との付き合いが続いていました。
1年に1回は飲み会などにも参加していました。
その飲み会には以前の上司も顔を出すことがあったそうです。
退社して5年もたったある日、その飲み会の席で、「今度うちの部署で1人辞めることになったので採用をしなくてはいけない、募集をかけないと・・」という話になり、「よかったらもう一度うちで働かないか」という話になったそうです。
そしてとんとん拍子に話がまとまったそうです。
就職難のこのご時世でA子はかなりラッキーだったと思います。
以前退社した理由は、A子の実の兄が起業したのでそちらを一緒にやりたいということでしたが、思ったほど上手くいかず、A子の給料まで出すのが厳しくなってきた矢先の再雇用の話に飛び乗った形になりました。
この例は、お互いのタイミングが上手く合ったためですが、出戻る側が以前の会社に戻りたいと希望していても、今現在、会社側とはなんの接点もないという場合もあります。
そのときには正直に前の上司にコンタクトをとって気持ちを伝える前に、今もまだ勤めている友人がいるのなら、その人に相談してみるのがいいかもしれませんね。
人手が足りているのか、空きがあるのか会社の情報も聞き出せませす。
再雇用のきっかけに関するアンケートでは、前の会社の上司から推薦してもらったというのは半数以上を占めているそうです。
友人が上司に信頼されているのなら再雇用の可能性がより高まります。
一番多いのは、結婚や出産のため退職した社員がひと段落ついて出戻るパターンです。
この場合は辞めるときに一部の上司や、会社全体からも、もしよかったらいつか戻ってきてほしいという話になっていることもあります。
5.新しい知見が増え、活性化される
一度会社を辞めて違う会社や世界を見てきたということは、ずっと同じ所で働いている人より、別な世界も見て来ているということです。