世の中にはコミュニケーションが得意な方とそうでない方がいます。

ただし、そのコミュニケーション能力と言うのは数値で測れるものではなく、あくまでも、本人の自己評価または他人からの評価によるひどく曖昧なものです。

何を持ってコミュニケーションが得意というのか、逆に何を持って不得意というのか、そのラインは定かではなく、個人の価値観や判断基準によってそのジャッジ結果は大きく差が開くでしょう。

「誰とでもすぐに友達になれる」というのは、コミュニケーション能力に長けている証拠ではありますが、友達は少なくとも「仕事中の人付き合いがとても円満である」というのもコミュニケーション能力が高いことの表れです。

ただこれに限って言えば、前者は社交性が高く、後者は処世術が高いと言い表せなくもありません。

こうした曖昧なコミュニケーションというカテゴリーにおいて、自分自身のスキルを一概に善し悪しの二極端で測るのはナンセンスだと言えるでしょう。

仮にコミュニケーション能力が高いと自己評価している人がいたとしても、それが本当に社会で求められているコミュニケーション能力とイコールであるかといえばNOという可能性もありますし、逆にコミュニケーション能力が低いと自己評価している人でも、周囲からはとてもハイスキルの持ち主だと思われている可能性があります。

これは、必要とされるシーンに応じて、コミュニケーション能力の意味合いに大きな振幅があることを示しているのです。

世に出回る求人情報の中でも、度々コミュニケーション能力がある人を求める文章が掲載され、それと比例するように就職面接においてアピールポイントとしてコミュニケーション能力を挙げる人がいますが、果たしてその能力が本当にビジネススキルとして求められている能力と合致しているかというのは考えものです。

今回は仕事において必要とされるコミュニケーションの基本を学ぶことで、これまで考えていたコミュニケーション能力との温度差や相違点について改めて見直してみましょう。

よくあるやっちゃいけない例10選

まずは、ついやってしまいがちな間違ったコミュニケーションのとり方について見ていきましょう。

1.自分の言いたいことだけを発言する


そもそもコミュニケーションとは、社会生活を送る上で他人と意思疎通をするために取り組む思想の伝達行為です。

つまりコミュニケーションとは、一方的では成り立たないということです。

ですから、口が上手く話上手の人が全員コミュニケーションに長けているかというと、そうとは言えません。

ただ相手に自分の意思を伝えているだけでは、コミュニケーションにならないからです。

意思をはっきり伝えること、言いたいことを億さずに発言できることは美点です。

しかし、それがビジネスシーンでも適応するかというと違います。

仕事には自分の目上の人から後輩まで、多くの人が携わります。

まず、自分の立ち位置を正確に把握し、その場で必要とされている立ち回りをすることも重要です。

ただ率直に意見を述べることだけが、仕事に貢献することにはならないという事をわきまえましょう。

仕事というのは、自分の意見を押し落とすのではなく、目的や目標のためにいくつもの視点から多数の意見を取り込んだ上でブラッシュアップしていくことが必要不可欠。

そのためには自分の意見を発言することも大切ではありますが、ただ言いたいことを言うだけでは通用しません。

何故そう考えたのが、その考えからどういう結果が導き出せるのか、確固たる根拠を踏まえて発言することがビジネス上でのコミュニケーションの第一歩です。

これができなければ、まずコミュニケーションの土俵にも上げてもらえないでしょう。

後先考えず思いついたことをそのまま発言して、成り行きに任せるような根拠のない発言は、無責任の表れとして評価に響きます。

それぞれが目的に向けて思考を凝らして編み出した意見やアイデアが交わされてこそ、次に繋がる糸口が見つかるものです。

聴くこともコミュニケーションの一つ

コミュニケーションとは、情報を発信し受信することで双方の意思を伝達し理解し合うことです。

いくら伝える能力に長けていても、聴く能力がなければコミュニケーションが上手だとはいえません。

互いに意見を交わしあい、最も良い結果を導き出していくためには相手の意思を汲み取る能力も必要とされます。

2.相手の気持ちを理解しない

聴くこともコミュニケーションだと述べましたが、それはただただ人の言葉を聞き入れるだけでなく、相手が何を言わんとしているのかを考え、理解することが最も重要なことです。

言葉というのはとても難しいもので、胸のうちや頭の中にあることを正しく人に伝達するツールとしては不十分です。

言葉というコミュニケーションツールは、発信者側の伝えようとする努力と、受信側の理解しようとする努力があってこそ正しく機能します。

このどちらが掛けてしまっては、有益なコミュニケーションは成り立たないのです。

他人の脳内で考えていることなんて、目には全く見えません。

言葉にしても同じことで、その人が伝えたい全ての事柄が正しく表現されているとは限りません。

だから時には、意図せず不適切な言葉を用いてしまって誤解を生んだりすることだってあります。

ですから、理解しようという姿勢もなしに、人の話の上部だけを掻い摘んで聞いている人は、ことの本質を見逃してしまいがち。

どんな内容であれ、まずは誠意を持って聴く姿勢で臨むことからはじめないといけません。

どういう気持ちで話しているのかを理解する

コミュニケーションは言葉だけでするものではありません。

身振り手振りや表情など、あらゆる部分を使って人は気持ちを表現します。

なので、人の話を聴く時は耳だけで聴くのではなく目で聴き、肌で聴くというように、相手が発する全ての情報をくまなくキャッチしなければならないのです。

話に慣れていない人は、緊張したり焦ったりして、本当に伝えたいことの数パーセントしか言葉にできないなんていうこともあります。

プレゼンテーションなど、普通の会話とは違うシチュエーションで話をするとなると尚更です。

緊張から言葉に詰まってしまったり、思うように言葉を運べなかったという経験がある人も多いことでしょう。

その人がどんな意志を持って言葉にしているのか、理解する姿勢を持って聴くことを心がけると見えてくるものが全く違います。

理解しようとしない人には、見えない部分が沢山あるはずです。

3.うまく冗談を言えない

コミュニケーションが本当に上手な人の周りには、自然と人が集まります。

コミュニケーションを通じて、人と人とを繋いだり、その場に適した対応ができる人は周りから好かれる人柄であることが大半。

コミュニケーションとは所謂、気遣いや心遣いというものです。

周囲の様子をうかがい、必要とされている立ち回りを見極めることで自分ではなく周りを優先しながら一人ひとりに合わせた対応をする。

これはとても高度なコミュニケーションと言えます。

こういう人は、極度の気遣い屋なので、時にはその場を盛り上げたり、面白い冗談を言うこともできる器用な面もあります。

冗談が言えない人、冗談が通じない人というのは、どうしても場面に適した対応力の部分が不足気味。

冗談やなんてことない雑談は、ビジネスシーンにおいても大切なコミュニケーションの一貫です。

なんてことない会話が、仕事をしているだけでは見えてこない人柄や柔軟性を測る材料になるからです。

言っていい冗談やタイミングは存在する

仕事仲間や取引先相手に冗談を言うなんて、失礼に値するのではないのかと思う人もいるでしょう。

しかし、ものは全てタイミングです。

冗談というのはただ笑いを取るだけのものでなく、その場を和ませたり、緊張感を解いたりする効果があります。

互いの親交を深めるための手段として、冗談を言い合う事は悪いことではありません。

ただここで言う冗談というのはブラックジョークや人を辱めるものであってはなりません。

互いに嫌な気分にならないような、適度な距離感での冗談にしましょう。

4.全てを本気で捉えてしまう

コミュニケーションが不得意な人は、柔軟性に欠けるというのがというのは特徴の一つです。

言い方を変えると、頭が固い、真面目すぎるという表現が当てはまるでしょう。

コミュニケーションというものには、臨機応変に適応する能力が必要不可欠です。

これに対して、バカがつくほど真面目な人は物事を全て真正面から受けとめることしか出来ず、ものの側面を見落としがち。

相手の発する言葉通りの意味合いしか捉えることができないケースが多いのです。

先程コミュニケーションは意図を汲み取ることが大切であり、冗談を交える交流も大切なのだと述べましたが、頭が固い人は真面目ゆえにこの2つが苦手で、見たもの聞いたものを全て鵜呑みにしてしまいます。

何事にも真摯な姿勢で本気を尽くすというのは長所にも短所にもなり得るので頭を柔らかく視野を広く持つことを学ぶのも大切です。

相手の冗談に気づくために

冗談が通じない人というのは、仕事でもプライベートでも付き合いにくさを感じてしまいます。

ただこれは、言葉の上っ面だけでなく、接している相手を理解しようと努めることで解消できる部分です。

他人の心の内側を覗き見ることはできませんが、相手がどんな気持ちで自分と接しているか、何を意図して声をかけてくれているのか、言葉以外の部分にも注意を払いながら推測してみるだけでも違った側面が垣間見えてくるのではないでしょうか。

5.陰口を言ってしまう

対人コミュニケーションにおいて、最もタブーと言っていいのが陰口です。

他人の悪口を言う事は、何の得にもならないこと。

陰口や悪口を言うことで優越感を感じたり、自分の劣等感を打ち消したりするような人はとても弱くつまらない人間です。

いつも誰かの欠点やあら探しをしているなんて、とんでもなく暇な人がおこなう行為だと言うのを忘れてはいけません。

陰口を言っている人というのは、この言葉そのものが漏れていなくても身体のうちからその態度が滲み出て、雰囲気から察せられるものです。

本当に仕事が出来る人や、信頼を得る人というのは、周りと自分を比較してプライドを誇示したりすることはせず、己自身を真っ当に評価し磨くことでより人としての魅力を高めていきますから。

陰口を言うことで満足感を得ている人には到底追いつけないはずです。

他人と陰口を言い合うことで団結力を深めたり交流を図るなんて言うのは言語道断。

それはコミュニケーションと呼ぶに全く相応しくない卑劣な行為です。

マイナスな方向にしか働かない

陰口が生み出すのは負の感情と負の連鎖。

全てマイナスばかりで、決してプラスに働くことはありません。

他所では陰口を言っている相手であっても、仕事付き合いなど切っても切れない関係の場合、表面上は仲良く見せているつもりの人も多いでしょう。

しかし所詮は上辺の付き合いです。

上司や後輩、同僚など、陰口の対象が誰であれ、人付き合いを軽く考えている人は窮地に立たされた時に救いの手を差し伸べてくれる人がいない寂しい人間に成り下がります。

いざという時に泣きを見るのは、陰口をいう人間だということを覚えておくようにしましょう。

6.先輩に敬語を使わない

敬語というのは、社会マナーの中でも重要なものです。

先輩や上司など目上の人に対して敬語を使えない人というのは、仕事のパートナーとして論外。

学校・部活・会社など、生きる過程において上下関係というものは常に存在しており、その関係というのは決してやすやすと踏みにじっていいものではありません。

敬語は最低限のマナーであり、礼儀です。

いくら同じ会社内で年が近い相手であっても、基本中の基本である礼儀ができていない人は信頼されません。

フランクに話していても礼儀はわきまえること

どんなに相手がフランクに接してくれる人柄の人であっても、敬語を使うことを忘れてはいけません。

敬語を使うというのは単に相互間での上下関係を示すものだけでなく、周囲に対して互いの関係性を示し、どういった姿勢で仕事に臨むのかが垣間見えてくる部分でもあります。

敬語を使わずフランクに接することが親密な相手とのコミュニケーションとは限りません。

敬語という社会人のマナーを守りながらも、関係性を深めていくことは十分にできます。

社外社内を問わず、先輩後輩、上司部下という関係をどう築いているか節度を持って接することは社会で働く人としての尊厳を保つことにも繋がるのです。

もしプライベートで仲が良くなった相手でも、仕事は仕事、プライベートはプライベートと線引きして付き合うべきでしょう。