社長の夢は、ライバルの日立製作所を差し置いて、経団連の会長になることでした。
この権威主義は、今どきアナクロニズムそのものです。
製品を世に問うことは社長にとっては二の次だったわけです。
これでは新しい発想を持ち、気風も自由な新興のIT企業に勝てるわけがありません。
建設的な意見が通らない組織は、東芝化の進行している可能性があります。
あなたの会社でも“東芝度”を定期的にチェックしてみるとよいでしょう。
問題が解決する
建設的な議論を重ねることにより、問題の本質はおのずと明らかになっていくに違いありません。
その過程において解決の道筋もつくはずです。
少なくともどこへ向かうべきかの方向性ははっきりしてくるでしょう。
実際に長い間の懸案事項を、一気に解決してしまうことも十分あり得ます。
そうなればあなたの評価の大幅上昇は確実です。
問題とはすべて解決可能なもの、という自信も手に入れることができるでしょう。
これらは後に大きな財産になります。
本質が理解できる
建設的な議論を重ねるうちに、いろいろな方面に関心が向くようになります。
その結果、これまで見えなかったものまで見えてくるようになります。
これは山の高いところに登ればより遠くまで見通せる、という至極当たり前の原理です。
きっと人に先んじて、物事の本質までたどり着くことができるようになるでしょう。
問題解決能力だけにとどまらず、知的なスタミナも向上することは請け合いです。
ダメ出しができる
大久保利通という人は、薩摩の盟友の西郷隆盛とともに明治維新を成し遂げた元勲です。
明治6年、征韓論政変で西郷が薩摩に帰郷したあとは、明治政府を一人で担っていました。
それは明治11年、大久保が暗殺されたとき、部下だったのちの初代首相・伊藤博文が「明治政府はこれで終わった。」と思ったということうからもうかがえます。
内務卿という肩書でしたが、実際は大久保政権だったのです。
その大久保は決裁を求める部下に対し、「よろしいでしょう。」「それはご評議になりましょう。」「それはなりませぬ。」の3種類しか言わなかったといいます。
ご評議とはおそらく明治天皇の裁可が必要、という意味です。
これほど分かりやすい上司の指示はありません。
恐れられながらも頼りにされ、政権の中心となっていった理由は、この辺りにありそうです。
「それはなりませぬ。」が出たときは、もう何人たりとも翻意させることはできなかったそうです。
このように確固とした態度でダメ出しができることは、とても大切です。
また彼は亡くなったとき、借金を背負っていました。
借金してまで私財を公共事業に投じていたのです。
公共事業を儲けのタネにしてしまった今の国会議員たちとは、雲泥の差というべきでしょう。
やるべきことがわかる
論理的な思考を重ねて行けば、次にやるべきことがすぐにわかるようになります。
仕事の効率は上昇するに違いありません。
大久保のような指示の明瞭な上司がいれば、そのスピードはさらに加速しそうです。
しかしそのような上司はいないときの方が多いものです。
採用されるかどうかは別として、できれば複数のビジョンを蓄えておきましょう。