感心し褒めることを愛でると表現しますが、日頃の会話の中でははほとんど使わないでしょう。
オリンピックの大会の競技でも、例えば日本人の水泳の選手が奮闘して金メダルを獲得しても、「彼の金メダル獲得を愛でて、栄誉賞を授与します」と言うよりも、「彼の金メダル獲得に感動して、栄誉賞を授与します」と表現するようです。
「金メダル獲得を愛でる」よりも「金メダル獲得を褒める」と使いますよね。
いつくしみ大切にすること
いつくしむ(慈しむ)とは、日常会話ではほとんど使いませんが、言葉を大事にする作家にとっては、奥の深い美しい日本語として残しておきたい言葉です。
いつくしむの意味は、大切にしたいという心からの思いや、大事にしたいという強い気持ちを表す言葉です。
愛するという言葉は、男女の気持ちを判断する時の好きか嫌いかという二者択一の表現のようですが、いつくしむとはもっと普遍的な表現なのです。
恋愛中の男女だけでなく、もっと幼い自分の子供に対して「我が子をいつくしむ」などと表現します。
その親だけの感情でなくて、世の中の親というものは全てが自分の子供をいつくしむはずだからです。
普遍的なという意味は、誰もが同じ感情を持つことを意味しています。
さらに愛するとか可愛がるという言葉と違っていることは、いつくしみの感情の中には、相手の痛みや苦しみも自分のこととして考えていることです。
そして、相手が求めているであろうことを悟ることなのです。
このことが、奥が深い言葉と言う由縁なのです。
単に寵愛するだけではありません。
この感情を含んだ言葉が「愛でる」でもあります。
【慈しみについては、こちらの記事もチェック!】
みんなの愛でる対象は何?
月を愛でるのは、ある程度人生経験を経た大人なのかもしれません。
失恋や新しい恋に目覚めた人は、彼や彼女のことを思っていることでしょう。
自分が成長していく過程で、愛でる対象が変化していくはずです。
今まで何とも感じなかったことが、あることを境に愛でる対象になったりするのです。
ちっちゃな子供の時は、家で飼っていた仔犬を愛でて、ある日お母さんが入院してしまうとお母さんのことが心配で、ベッドに寝ているお母さんを愛でるのです。
お母さんが元気になってくると、病院の庭に咲いている綺麗な季節の花を愛でて、進学すると仲の良い級友を愛でるのです。
大人になって行くと、好きな人ができて恋人を愛でるというように、成長するにつれて愛でる対象も変わってくるのかもしれません。
恋人
愛でる対象で一番分かりやすいのが、恋人です。
今の恋人がどのような経緯で見つかったのかは分かりませんが、強く愛し合って心を奪われてしまったなら、間違いなく恋人を愛でているということになります。
我が子
我が子というのは、何物にも代えがたい大切なものです。
目に入れても痛くないほどに可愛いと思ってしまいます。
動物の世界でも、生まれた子供はかわいいものです。
東京の上野動物園で生まれたパンダの赤ちゃんのニュース映像が流れました。
数十グラムの小さな赤ちゃんですが、お母さんパンダは愛おしくて堪らない感じで抱きかかえていました。
赤ちゃんが小さすぎて、口で咥えて持ち上げていました。
この時のパンダのお母さんは、必死で赤ちゃんを愛でているんですね。
ペット
犬は幼児から高齢者までスキンシップができることで、癒しの効果が得られるようです。