「是非ない」という表現も、「止むを得ない」、「仕方がない」と同じ意味を伝えています。
この場合、「是非」というのは、「是」つまり良いことと、「非」つまり悪いことを指しています。
当否や善悪、良いも悪いも関係なく仕方がないことを指しています。
良いとか悪いとか言えるような状態ではなく、その行動を取らざるを得なかったときに「是非なく〇〇する」という表現を使います。
さらに、「是非ない」というのは、言うまでもないこと、当然のことを意味することもあります。
「〇〇は是非なし」という言い回しになると、「〇〇は言うまでもなく、当然のことである」という意味として理解することができます。
不可避
「不可避」とは、避けられない事ですね。
漢字の通り、「避ける」のが「不可」なのです。
なので、「必ず起こること」を指して使います。
避けるまたは逃れる事ができないこと、という意義素を持つので、「致し方ない」と同類語となりますね。
浮気をしている男性が、彼女が同じレストランにいる事がわかったときに、「このままでは、彼女と鉢合わせるのは不可避だ!」というシチュエーションがあるかもしれません。
「このままでは、彼女と鉢合わせるのは致し方ない」と言い換える事もできますね。
言い方一つで、なんだか雰囲気が変わりますが、言っている事はほぼ同じです。
逃れられない
「逃れられない」とは、選択肢がなくなってしまい、不本意ながらもそうするしかない、そうせざるを得ないという意義素を持ちます。
自分の意志や気持ち、さらには是非に関係なく、もうそうせざるを得ない状況にあるということですね。
さらに、状況が行き詰まっているということでもあります。
八方塞ざりなわけです。
かなり、追い詰められている雰囲気を感じさせますね。
「俺はもう、彼女から逃れることはできない」というように、特定の物事や状況にはまり込んでしまって、もうやめることができない、というときにも使います。
離れられない、依存している、のめり込んでいる様子を伺うことができますね。
️致し方ないの英語表現
致し方ないを英語にすると「inescapable」=避けられない、免れがたい、不可避の、「unavoidable」=やむを得ない、「ineluctable」=避けられない、逃れられない、などと表現することができるでしょう。
️致し方ないを正しく使おう
いかがでしたか?
今回は、「致し方ない」という表現をご紹介しました。
これであなたもこれからは「致し方ない!」という言葉を使えますね。
何か諦めなくてはいけないとき、八方塞がりのとき、他に選択できる方法や手段がないとき、良い手が見つからないときなどに、「致し方なく〇〇をする」という言い回しができそうです。
「致し方なく〇〇をさせていただきます」というように、ちょっと言い訳がましくつかうこともできそうですね。
「仕方なく」の丁寧語であり、「致す」というのは謙譲語でもあるので、自分の行動に対して使うのはOKですし、丁寧な言い方になります。
しかし、相手の行動に対してはあまり使わないようにしましょう。
とくに、ビジネスシーンでは、先方に対して「致し方なく〇〇します」というと、こっちは納得していないけど、そちらのせいでしょうがなく〇〇してやるよ、というような上目線で失礼な言い回しに聞こえてしまうことがあるので気をつけましょう!