「つる」とは「持ち上げて移動させる」という意味で、「机をつる」など机と一緒に使われることが多いです。
標準語では、「テーブル持ち上げて移動させるから~」と言われていたということなんですね(笑)
この「つる」という方言は、子供や若い人たちも当たり前のように使っている、岐阜県や愛知県で使われる方言です。
こわす
「ちょっと銀行に行ってお金こわしてくるね」なんて使い方をする方言です。
お金を実際に「壊してくる」なんてありえないことですし、なんとなくニュアンスでは伝わる表現ではないでしょうか。
そう、「こわす」というのは「くずす」という意味の方言なんです。
もともとは愛知県で使われるようになった方言であると言われており、岐阜県だけでなく、石川県や富山県、福井県といった北陸地方でも「こわす」という方言が使われているようですね。
“お金をくずす”は両替することで、“大きなお金を小さいお金に変える”ということですから、「こわして小さくする」というイメージ使われるのかもしれませんね。
ひきずり
「ひきずり」という方言は、岐阜県でも美濃の方で使われるそうです。
愛知県でも同じ方言が使われています。
「夜はうちでひきずり鍋でも食べていきや」なんて使い方をするそうですが、何のことを言ってると思いますか?
ひきずり鍋なんて想像もつかないですよね(笑)
実はこれは「すき焼き」のことなんです。
真偽のほどは分かりませんが、鍋の上で肉を引きずるようにして食べるから「ひきずり鍋」になった…とも言われています。
岐阜県の面白ネタに、ある家にお客さんが来たので、そこの主人が「ひきずりのまわししたれ」と家の者に言ったそうです。
もちろんこれは「すき焼きの用意をしなさい」という意味で、お客を精いっぱいもてなそうとしたわけですが、客にはそれが「ひきずり回したれ」と聞こえたそうで、慌てて逃げていったというお話しがあります。
怒っていると思ったんでしょうね、きっと。
たしかに意味が分からなかったら、ちょっと怖いかも?!
やて
これも先ほど取り上げた「やし」と同じですね。
「~だって」「~だってば」という言い方を「~やて」とか「~やって」いう使い方で表現します。
自分が主張したいことを言い聞かせたいような時に、この「~やて」と使うそうですが、他にも「~やわ」と使うこともあるそうですよ。
いずれの場合でも、なんとなく柔らかい表現の仕方になるような感じがしますよね。
おちょんぼ
「おちょんぼ」とは、女の子が髪の毛をゴムで結ぶことを言うそうです。
「今日はかわいいおちょんぼにしてな」とか「そのおちょんぼかわいいな~」といった言い方をするそうです。
愛知県でも「おちょんぼ」が使われているそうです。
なぜおちょんぼなのかというと、一つの説としては「ちょんまげ」から派生した言葉であると言われています。
ちなみに、ポニーテールのような一つ結びのことを「ひとちょん」、ツインテールなどの二つ結びを「ふたちょん」と呼ぶそうですよ。
たわけ
「この、たわけ者が!!」なんてセリフを、お偉いさんが下っ端に向かって言うのを時代劇で聞いたことのある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
漢字にすると「戯け」と書く言葉ですが、意味としては「バカ者、愚か者、ふざけた者」となっており辞書にも載っています。
この「たわけ」という言葉は岐阜県がルーツと言われています。
今でも「たわけ」と使っているのは、名古屋を中心に岐阜県など東海地方だけのようです。
「バカだね」ということを言いたい時に、「おまえ、たわけだな」なんて言うそうです。
「たわけ」の語源・由来には、「田分け」と書くという説もあるそうです。
農家の人たちが子供たちに均等に田畑を分けてあげる、いわゆる「土地分与」をすることが孫の代、さらにその孫の代とどんどん受け継がれていくうちに、それぞれがもらえる土地面積が狭くなり、収穫も少ししかできないことで家系が廃れてしまう、こうした状況を愚かでバカなことだとして「たわけ者」というようになった、という説です。