こんにちは! 最近、マンガやドラマを中心に「ドS」という言葉をよく耳にする気がませんか? ドSな人物が主人公だったり、登場人物だったりするストーリーが多いのは、みなさんそういうキャラクターに、心中、けっこう惹かれているからなのかも?
ドSといえば自分勝手なイメージがあります。

そんな人物が身近にいたら、ちょっと迷惑な気もしますが、では、なぜ「ドS」がこんなに注目されているのでしょうか?
いったい「ドS」ってどんな人のことを言うのか、「ドS」キャラは、どうしてできるのか、「ドS」な人の魅力って――? 今回は、「ドS」にまつわる、数々の謎に迫ってみました。

そもそもドSとは

そもそも「ドS」って何なのでしょうか? 「ドS」の「S」は、もともとは、「サディズム」から来ているようです。

では、「サディズム」とは何なのでしょうか?

性的嗜好の一つ


「相手に苦痛を与え、性的興奮を得る」人のことを言います。

サディズムという言葉のルーツとなったフランスの作家マルキ・ド・サドは、18世紀、フランス革命の時代を生きた禁断の作家。

貴族の身分にも関わらず、当時の性道徳に挑戦した、数々の問題作品を発表するとともに、自分自身も次々と事件を起こし、最後は精神病院の中で死んだ、異端の作家です。

彼の作品は、19世紀中は禁書に指定され、一般にはほとんど読むことはできませんでした。

そのこともあって、生前は無視されましたが、死後しばらくして徐々に評価を高め、現在では古典として扱われています。

とはいえ、「ドS」はサドのような、本当のヘンタイとは関係なさそうです。

別に誰かを鞭打ったり、虐めたりするわけではありません。

もっと心理的な、生き方のスタイルや、コミュニケーションの姿勢のことを言うようです。

ドSな人の性格

そもそも「ドS」って、どんな性格のことを言うんでしょうか。

嫌なことを言ったりやったりするだけでは、ただ単に「嫌なヤツ」ですが、「ドS」の「ド」には、単なる「S」とは違う意味が込められているような気もします。

自分の意見をしっかり持っている


「ドS」な人々の行動パターンをよくみると、なんでもはっきりものを言う、ということがわかります。

思ったことを明確に、ずけずけものを言う。

こうした行動を取る人たちが、「あの人ってSだよね」「あなたはSよ」などと言われているのです。

でもこれはひょっとしたら、日本だけなのかもしれないですね。

「出る杭は打たれる」日本の風土では、意見を明確に言うと、それだけで嫌われる風潮があります。

しかし、一歩海の外へ出ると、自分の意見をはっきり言うのは、当たり前のこと。

むしろ日本のような国の方が少数派です。

海外では、意見を言わない人は明確に「バカ」とみなされます。

何も考えていない、空っぽな頭と呼ばれます。

……と考えると、押し出しの強い、「ドS」な人は、実はグローバルスタンダードに近いのかもしれませんね。

リードされるのを嫌う

「ドS」な人々の行動パターンを見ていると、人にリードされることを嫌う、という共通パターンに気づきます。

自分の意見をしっかり持っている、というだけでなく、その自分の意見に基づいた行動をしっかりできる、ということになります。

つまり、リーダーシップがある。

自分で自分の事業のあり方を決められる(決めなければいけない)自営業や、弁護士などの「士(さむらい)業」、会社員の中でも、重役や管理職に向いている資質です。

そう考えると、組織に属さない一匹狼や、組織の中でも異端児的存在も含め、優秀な人材は、ほとんどの場合、「どS」という感じがします。

少なくとも「どS」的資質を持っていないと、務まらない仕事です。

となると、実は「どS」って「リーダーの資格がある」ということの別名なのでは? という気さえします。

気分が表情に出やすい

「どS」な人々はすぐ感情を表に出します。

出してはいけないときにも、出てしまいます。

そんな率直さが、いろいろなトラブルの元になりがちなのですが、反面、いい方に解釈すれば、「自分の気持ちに正直だ」ということも言えます。

実社会では、感情を表に出してはいけない、ということがよく言われます。

確かに、日々のコミュニケーションで、毎回のようにいきり立ち、肩をいからしているような人には誰もついていけないでしょう。

しかし、だからといって、自分の意見を押し殺し、ひたすら上司や取引先に媚びへつらう、というのが正しいのでしょうか?
むしろ言うべき時はいい、従うべきときには従う、そんなメリハリを持って他の人と接する方の方が、人間的に魅力的ですし、結局は、人も集まってくるのではないでしょうか?
アップルの創業者、スティーブ・ジョブズは傍若無人な言動で有名でした。

気に入らない製品は、たとえ公の発表会の最中でも投げ捨て、担当者に文句を言う、投資家や提携企業の社長など、自分より目上の人物に対しても、批判・反論すべきことがあれば容赦なく攻撃し、まとまりかけた交渉がそのせいで座礁に乗り上げたことも何度もありました。

しかし一方で、ジョブズが生み出した革新的な製品やサービス、そして弁舌さわやかなプレゼンには熱狂的なファンがいます。

こう考えると、感情を表に出してコミュニケーションをとる、というのは、ある場合においてはマイナスだけれども、相手の気持ちをつかみ、ファンを増やす、という点ではプラスになることもある、といえそうです。

几帳面

「ドS」の人には、几帳面な性格の持ち主が多いようです。

「ドS」は完璧主義で、間違いや欠点が許せません。

そうした完璧さへの情熱が、他者へ、のちょっと強圧的な態度に出てしまうのでしょう。

他人にだけ厳しいのでは、ただのわがままですが、自分にも厳しいということを前提に他人に厳しくするのは、少し意味合いが違ってきます。

今ある状態を受け入れ、のんべんだらりと日常を過ごしていれば、自分にも他人にも厳しくせず、波風を立てずに生きていけます。

しかし、現状に問題があり、改善や向上が必要だと思うのなら、行動を起こすべきです。

そしてそうした前向きの行動は、現状に甘んじている人からは、必ず批判されます。

なぜなら怠惰な人間にとって、現状を変えようとする人は敵でしかないからです。

敵であればまずは足をひっぱり、そこまではいかなくても影で批判したり、それとなく足を引っ張る。

それが人間の本性というものです。

周囲に流されない「ドS」は、こうした付和雷同、烏合の衆的な行動を最も嫌います。

そして自分の価値観を守るために孤独な戦いを始めます。

几帳面さは、他人を上回る、あるいは他人に求められるよりさらに上の水準の仕事を自分に課し、それを達成しようとする意志の表れです。

そう、「ドS」キャラは、誰しも、一人ぼっちの戦士。

そういう目で見てみると、ふだんイライラさせられるアイツの言動も、ちょっといじらしく、切なくなってしまう……ここが「ドS」の魅力なのかもしれません。

打たれ弱い


このように強気な「ドS」ですが、実は一度劣勢に立たされると、意外に折れやすい一面も持っています。

なぜでしょうか。

「ドS」は理想主義者であり、自分だけの価値観でものごとを判断します。

そのため、客観的に見てどうか、というよりも、自分の価値観に照らして水準に達しなかったり、あるいはその水準に到達するための努力が自分に足りなかったことを自覚したりすると、落ち込むのです。

これは、ひょっとしたら、「ドS」キャラ以外には、ちょっと理解しがたいメンタリティーかもしれません。

たとえば、高校野球を例にとりましょう。

地区大会でこれまで一回も勝てなかった野球部が、今年の夏は3回戦まで進出し、甲子園まであと一歩というところまで駒を進めたところで敗退したとします。

外から見れば、前年までと比べればずっと頑張ったように見え、「よかったね〜」などと称賛の言葉を投げかけるかもしれません。

これに対して、普通の男性なら、「ありがとう」などと普通の返しをするでしょうが、おそらく「ドS」なら、そういう返答はしないでしょう。

「何を言ってるんだ、俺(たち)の実力は、こんなもんじゃねえ」「ふざけるな、バカにしてるのか?」などと逆ギレされるかもしれません。

でもそれは、ほんとうはあなたに怒っているのではなく、ふがいない自分(たち)に、自分の中で理想としている自分に対して怒っているのです。

自分で自分が許せない。

そんなイライラが、ついつい周囲に対する乱暴な言動に表れてしまった。

そんな自分がさらに許せない――。

完璧主義者の「ドS」の意外に「弱い」一面。

そんな素顔を垣間見てしまったあなたは、心に何かが灯るのを感じてしまいます……。

おっと、危ない。

こんな風に気持ちを持ってかれたら、恋に落ちるまで、もうあとほんのひと押しです。

マンガなどで人気なドS

では具体的に、どんな「ドS」キャラが人気を呼んでいるのでしょうか。

ここではメジャーなマンガを題材に、この点を調べてみましょう。

ダメな私に恋してください/黒沢 歩

柴田ミチコ(29歳)は健康器具の通販会社に務めるOL。

合コンで知り合ったイケメンの大学生に、高価なプレゼントを貢ぐのが唯一の楽しみだったが、ある日会社が倒産し、路頭に迷う。

職探しに奔走していた時、前の会社の上司である黒沢歩と出会い、食事を奢られてしまう。

黒沢は、別名「営業のブラックデビル」と呼ばれ、自分にも他人にも厳しいどSキャラ。

毎日のように怒鳴られ、「世界で一番苦手」と思い込んでいた相手だったが、何の因果のめぐり合わせか、転職先を辞め、祖母の営んでいた洋食屋を継ぐという黒沢に、ミチコは店員として雇われることになる。

料理好きで几帳面、ぶっきらぼうだが、実は心優しい一面を持つ黒沢の、会社では見えなかった素顔に触れるうち、ミチコの気持ちには変化が現れて――。

とこんなストーリーですが、「ブラックデビル」とまで忌み嫌っていた黒沢への見方がどんどん変化していく過程がなんともいえずじれったく、うずうずしちゃいます。

「落差萌え」という言葉がありますが、ドSの見せる「意外な優しさ」は、そんな落差の最たるもの。

会社では厳しかった上司が、実は家族、犬や猫には、目に入れても痛くないほどのかわいがりぶりだったり、あるいはオフの時間には、会社では見せないやさしい一面を見せたりすると、なんだか胸がきゅんと痺れてしまったりするんですよね。

「意外性」「予想外」こそが人を恋に陥らせる第一条件だとすると、ドSのこういう「落差」って、恋愛の最終兵器なのかもしれません。

黒崎くんの言いなりになんてならない/黒崎 晴人

中学時代の地味な自分を変えたい――高校入学を機にメイクや行動を一新、明るく積極的になろうと努力するヒロイン、由宇(ゆう)は、家庭の事情で高校の寮に住むことに。