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お歯黒には何の意味があったの?日本...(続き5)

女性はこのむらなく染められた黒を目指すために、なかなか染まらない歯を頑張って染めようとしてきたのです。

お歯黒をする意味

お歯黒をする意味にはいくつかのものが考えられます。

そのメリットには何と、虫歯を予防していたという意味もあるのです。

このお歯黒に込められた意味や、どうしてお歯黒が美しさの象徴ということになったのかについて詳しく見てみることにしましょう。

顔つきを柔和に見せる

まずは、お歯黒は顔つきを柔和に見せるという点があります。

日本人女性の美しさとしては、昔から大和撫子と言われるように、激しい情熱的な美しさではなく、どこか控えで柔らかな美しさが求められてきました。

真っ白な歯が光る笑顔というのは、太陽のように明るく爽やか、現代ではそれが求められていますが、何となく顔つきが激しいものになってしまうというのは確かでしょう。

顔つきを柔和に見せるためには、口元を暗くすることが必要だったのです。

そうして社会から求められている美しさを出すために、お歯黒で口元を目立たないようにしたというのが、お歯黒が美しさの象徴となっていたことの一つにあります。

実際に顔つきが柔和に見えているか、と言われると現代人の感覚では理解できないかもしれませんが、元々、おちょぼ口が日本美人として求められていたことを考えると、確かに口元には陰りがあった方が良いとされていたのかもしれませんね。

歯並びの悪さを隠す

お歯黒で歯を黒くしてしまうと、欠点を隠すことができるという点もメリットなのではないでしょうか。

歯並びが良いほうがきれいに見えるというのは現代でも変わりません。

ただ、現代では個の歯ならびを矯正することも可能ですが、昔はそんなことはできませんでした。

その代わりに、それをできる限り目立たないようにしてしまうという方法がとられることになったのです。

目立たないようにするとなると、できる限り暗い色にすることが望ましいですよね。

お歯黒のように真っ黒な歯の場合には、多少の歯並びの悪さは気になりません。

こうして、歯並びの悪さを隠して口元を綺麗に見せるというためにも、お歯黒が必要だったのです。

虫歯や歯周病の予防

お歯黒は何と、虫歯や歯周病の予防にもなっていました。

そもそも、歯はとても染めにくいものです。

なぜなら、外のエナメル質がとても強く、染料がそう簡単に馴染んではくれないからです。

そのために女性は、口の中を綺麗にしてから何度も染め直していました。

日常的にこうして口の中の清掃を行っていたため、これが虫歯や歯周病の予防となったのです。

また、歯を染めるために使われている染料の成分が歯をコーティングすることによって、さらに虫歯になることを防いでいたということもあります。

色々な面から、お歯黒にすることで虫歯や歯周病となることを防いでいたというのは驚きですね。

欧米から来た人にとっては、何となくはが黒いことが不潔さを見せているように思われたようですが、実は、歯を黒くするということは、口の中を清潔にするということでもあったのです。

歯の変色を隠す

お歯黒では歯の変色を隠すこともできます。

最初から黒く染まっているのですから、歯が黄色くなってしまうことを防ぐこともできるでしょう。

現代のように簡単にホワイトニングができるわけでもありませんし、黄ばみ予防の歯磨き粉を使うこともできなかった時代では、歯の変色を隠すとなると、最初から染まらない色にすることだったのかもしれません。

お歯黒にしていれば、その歯は染まることがありませんので、そういった意味でも「いつまでも美しい歯でいる」ことを実現するためにお歯黒がされていたのかもしれませんね。

現代でのお歯黒

現代では全くなくなってしまったお歯黒ですが、これが見られる場所もあります。

お歯黒と言ってもイメージしにくいという人がほとんどでしょうから、実際にどのようなものであったのかを知りたいという方は、ぜひ、現代のお歯黒を見ていると良いのではないでしょうか。

伝統演劇などで見ることができる

現代でお歯黒を見るためには、伝統芸能を見るのが一番です。

伝統芸能の中では今でもお歯黒をしてその時代を表現することがあるからです。