お歯黒という文化をご存知ですか?

聞いたことがないという人はあまりいないかもしれませんが、その名前を聞いたのは歴史の教科書で一回きりという人はたくさんいるでしょう。

どの時代にどうして流行っていたのかということまでは知らない人の方が多そうですね。

歴史の中には私たちの理解できない文化がたくさんありますが、それらの文化を「理解できないもの」として片付けてしまうのは、もったいないような気がします。

お歯黒という文化も、現代の美意識で見ると「どうしてそんなことをしているのか分からない」というものになってしまうでしょう。

ですが、その時代にはそれが流行していた理由というものがたくさんあるのです。

お歯黒という文化があった理由について、また、それが流行していた理由について、お歯黒のメリットなどを考え始めると、その時代を生きた人達の考え方などを理解できますね。

また、単純にそういった「今では廃れてしまった文化」について詳しく知るということは、好奇心をひかれることであるとも言えます。

ここではお歯黒という文化を取り上げて、詳しくどのようなものであるのかをご紹介したいと思います。

昔の日本について学ぼう

昔の日本について知っていることと、と言われると小学生のころから高校までに学んできた歴史の知識が色々と頭に思い浮かぶのではないでしょうか。

学生時代に歴史を学ばない人はいませんから、日本国内であった色々なことがきちんと頭に入っているという人が大半のはずです。

最も、テスト勉強などでの辛い思い出から、歴史を学ぶということに関してあまり良い思い出がないという人もいるでしょう。

どれくらい詳しく覚えているかと言われると、それはそれで難しいところもあるかもしれませんね。

織田信長、源頼朝など、有名な人は今でも忘れずに頭に入っていたとしても、何となくその前後の歴史のことは曖昧になっているという人もいるかもしれません。

さらに、歴史の中での大イベントのことはきちんと覚えていても、イベントではなく、その時代に生きてきた人たちがどのような生活習慣だったのか、どのような観念の中で生きてきたのかという文化面ではあやふやな知識しかないという人も多いのではないでしょうか。

歴史というのは、自分が今、現在を生きている中では直接には関係のない出来事です。

今しか見ていない、未来しか見ていないというのは、確かに必死に現在を生きていると人間にとってはある意味でとても当たり前の話だからです。

ですが、昔の日本を学ぶこと、きちんと知っているということは、人生においてもそうですが、今の文化を形作るためにも大切なこととなるはずです。

昔の日本についていろいろ学び直してみるというのも、たまには面白いことかもしれません。

歴史を知ることは大切なこと

歴史を知るということはどういったことなのでしょうか。

歴史というのは、今までの人類が作ってきた様々な時間のうねりのようなものであり、歴史の本、歴史の教科書というのは地球や地域の日記帳のようなものだと考えると良いでしょう。

時間というのはただただ過ぎていくだけのものですから、今を生きている人間には過去のことは体験できません。

だからこそ、忘れ去ろうと思えば過去のことなど忘れ去ることができます。

ですが、大きな時間の流れの中で生きてきた過去の人間の生きざまは、今の人間にも役に立つことがあるでしょう。

それぞれの人々は一度しかない人生を先に進むしかないのですが、それにしても、一度しかない人生をギャンブルのように行先を決めるというのは不安になるものです。

そのときに指標となるのが昔の人間の生きざまなのです。

過去、つまりは歴史を知ることで、現在の生き方を変えることができます。

より良い方向にもっていくことができるのです。

もちろん、自分が生きてきた時代とは文化が全く異なりますから、一概に参考にすることはできません。

ですが、人の心の動きというのは今でも昔でも変わらないところがあるでしょう。

それは同じ人間だからこそです。

きちんと歴史を知ることで、自分の人生を豊かで素晴らしいものに変えることができるというのなら、歴史を学ぶ価値もありますよね。

今では考えられない文化もある

先ほど、今とは全く異なる文化の中に生きてきたから、完全に今の生き方と同じわけではないと記しました。

確かにそれは当たり前の話です。

文化というのはその時代のうねりの中で人間が選択して来た生活の中に息づいているものであり、イベントではありません。

その時代の人間の価値観のようなものが表れているのです。

その価値観を知ることは、歴史を理解する上ではとても大切なこととなります。

現代では絶対に流行するはずのない文化などもたくさんありますが、これらが流行していたという拝見を理解することで、その時代の人間の考え方を学ぶこともできますし、何かの大きなイベントが起こったその背景の遠因を探ることができるかもしれません。

果ては、現代の文化に繋がる何かや、現代の文化の中では廃れてしまっているはずの考え方がどこかに残っていた。

というようなこともあるかもしれません。

歴史を知るということは、その時代に合った大事件を知るということで、細かな一人一人の生きざまを知る必要のないことです。

ですが、一方で、そういった注意を向けられることのない一人一人の生き方が大きくまとまって文化ができてきます。

私たちが歴史を学ぶときには、事件以外に文化に目を向けることで、今の私たちのような名もない市民の生き方を学ぶことができるのではないでしょうか。

お歯黒って知ってますか?

お歯黒という文化を耳にしたことがある人は多いでしょう。

実際に教科書の中で呼んだことがあったとしても、そもそもどういう文化なのか微妙に分からないという人も多いかもしれません。

実際に、その時代を背景にしている漫画や映画などでもお歯黒がそのままべったりと塗られているところはみられませんから、実際にどのような光景であったのかなどは正直言って、あまりイメージできないという人も多いのではないでしょうか。

大河ドラマの中でも女性の口元が黒いというのはあまり見たことがありませんよね。

そんななぞに包まれたお歯黒ですが、これはそもそもどういったものなのでしょうか。

このお歯黒をすることに何らかの意味があったのでしょうか。

現代の人にはとても理解できない背景があるようにも思えますよね。

今でいうメイクやお化粧のひとつ


お歯黒という文化自体は全く理解することができなかったとしても、その背景は女性なら理解することができるでしょう。

お歯黒は今でいうメイクやお化粧の一つです。

今のお化粧でも、年十年か後の人には理解できないものがあるかもしれません。

当たり前のようにつけているアイシャドウやつけまつげなどは「どうしてこんなものが流行ったのか」というように言われてしまうものになるかもしれないのです。

一昔前には「ガングロ」という化粧も流行りましたが、要するにお歯黒はそれの歯のバージョンであると考えても良いですね。

歴史の教科書に書いてあると、ひどく大きな意味を持っているようなことのように思えますが、簡単に説明するとお歯黒はメイクの一つです。

ただ、このメイクはかなり長いこと流行していましたから、そこの背景に色々な意味がつけられていた時代もありますし、それを行っていた人間の年齢層もかなり変化があります。

メイクの一つと思えば何となく軽く思えてきますので、今度はそのメイクが流行っていた背景や、そのメイクのメリット、そして、時代によって込められていた想いの違いについて見てみることにしましょう。

お歯黒の解説

まずは、ここで、お歯黒の解説をしたいと思います。

お歯黒とはそもそもどういったメイクであり、どのような時代に流行っていたのかということを分かっていない人は多くいるでしょう。

昔流行していたということくらいしか知らないという人も珍しくありません。

また、完全に古代のイメージであって、近代には全く残らなかったと思っている人もいるかもしれませんね。

お歯黒について詳しい理解をするために、少し歴史を紐解いてみることにしましょう。

お歯黒とは

お歯黒というのは、読んで字のごとく歯を黒くする文化のことです。

一部の歯を染めるということではなく、全体的に真っ黒にしてしまうのです。

全体的に真っ黒にするということなので、その時代の女性の口元は何となく暗くなっていました。

今でも浮世絵などを見ると歯が真っ黒な女性が描かれていることが多いでしょう。

もちろん顔立ちなども現代とは少し異なりますが、やはり歯の部分が今とは全然異なっているので、絵から受ける女性の印象もかなり現代とは違うように思えるはずです。

いくつか資料を見てみるとその時代の女性の歯を見ることもできますが、本当に真っ黒であって、中途半端な灰色などではありません。

お歯黒と言う言葉通りにべたりと黒く染められている歯がお歯黒と言われていたのです。

このお歯黒の起源に関しては色々と言われていますが、古来からあったと言われています。

何となく平安時代のようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、それよりも前の時代からお歯黒は流行しており、そして、それより後の時代でもお歯黒という文化はありました。

既婚女性が歯を黒くする化粧法

お歯黒に関しては、全ての女性が行っていたわけではなく、既婚女性が行っていたということがどの時代でも多いようですね。

未婚の女性がそれをするかどうかということに関しては完全に時代によって異なるのですが、既婚女性の証としておこなっている人が多かったというのはどの時代でも変わりありません。

完全に消えてしまう明治時代などにも既婚女性は行っていますし、それよりも前の時代のお歯黒も、やはり、既婚女性が主なお歯黒化粧の年代でした。

既婚の女性がお歯黒をしていたのは、もちろん、既婚であるということをしっかりと前面に出すためという意味もあったと思います。

ですが、それだけではなく、既婚の女性が結婚と共に歯を染めることで、貞節な妻という誓いを立てるような意味合いがありました。

白という色は何色にでも染まることができます。

ですが、黒という色は何色にも染めることができない色です。

そういった意味を込めて、他の男性には目を向けない、二夫にまみえずということになるのです。

この時代は女性の地位があまりよくありませんでしたし、貞節あるということは何よりも大切なポイントでした。

だからこそ、それをきちんと示すために既婚女性がお歯黒をしていたのです。

もともとは貴族が主に使用

もともと、お歯黒の文化があったのは貴族でした。

そもそも、お歯黒はとても時間がかかります。

染めることが目標なのですが、一回で綺麗な黒に染まってくれるほど、歯は弱いものではありません。

どうしても落ちてしまうこともありますから、何度も染めなければいけないのです。

それをするような経済的な、そして時間的な余裕があるのは貴族だけでしょう。

昔の貴族は時間がたくさんありましたし、そういった身だしなみという面での文化を作る存在でもありました。

平安時代や鎌倉時代など、身分の高い女性が行っていた文化がお歯黒なのです。

このお歯黒は、既婚女性が行っているのはもちろんのこと、鎌倉時代ころになるとお歯黒を始める年齢が低くなっていき、婚約前の幼い姫などがお歯黒を始めていました。

政略結婚で早めに結婚するのが当たり前の時代でしたから、こうした文化の年齢がどんどんと下がっていたのです。

最も、庶民がこうしたお歯黒をするようになっていくと、どんどんと始める年齢が上がっていきました。

成人の印としても使われる


お歯黒は成人のしるしとしても使われた時代があるそうです。

この時代の結婚の年齢を考えると、かなり早い時期に行われていますし、それほど結婚と成人の年齢が変わらないということからも、「成人のしるしとして使われた」ことと「既婚女性の身だしなみ」という事実は矛盾していません。

成人の印として歯を綺麗な黒に染めることで、それまでの幼い少女から、今度は女性に変わっていくという表示となるのです。

現代ではそれほど露骨な成人の印というものはありませんが、歴史の中では、成人の印というのはたくさんの儀式がありましたし、現代でもそういった文化を持っている民族がたくさんいます。

男性がお歯黒をすることも稀にあった

ここまでは女性が行うメイクとしてのお歯黒について述べてきましたが、実は、男性がお歯黒を行っていた例もあります。

それが戦国の世です。

平家の人間なども文化を習ってお歯黒を行っていたようですし、戦国の世になってくると、いつ首を取られても見苦しくないようにという理由で武将も化粧を行っていました。

女性がするような化粧をするということですから、その時代に則った化粧をするとなると、それは当然お歯黒も含まれます。

そのために、武将もお歯黒をしていたということになるのです。

これ以外の時代では男性のお歯黒はあまり見られませんが、現代でも男女ともにお歯黒をするという民族もいます。

女性の比重の方が高い文化ではありましたが、だからと言って女性だけの特権と言うわけではなかったようですね。

一説には妖怪の一種がお歯黒を嫌がる、お歯黒の人間ならその妖怪を倒すことができるという言い伝えのために、男性もお歯黒をしていたというものもあるようです。

時代によって使われ方が異なる

ここまで見てきたとおり、お歯黒は時代によって使われ方が異なってきました。

根底には既婚女性が行うものとしてきたことが多かったようですが、ただのオシャレとして意識していた時代もあったでしょうし、成人の意味が込められていたこともありました。

どちらにしても、お歯黒はこの時代にはポジティブなものとして受け止められており、現代の審美眼では理解できないことではありますが、どの時代でも美しいもの、何かの印といった意味で使われていることが多いように思われます。

日本を含むアジア圏での文化

お歯黒の文化があるのは日本だけではありません。

アジア圏では比較的お歯黒の文化が広まっていたようであり、歴史に大々的に出てくるわけではないものの、現代でもアジアの小さな民族ではお歯黒の文化が残っています。

例えばそれはタイやベトナムなどですし、中国の小民族でもお歯黒の文化があります。

日本国内で言うと、アイヌ民族は男女ともに成人の印としてお歯黒を行う文化が伝えられてきています。

最も、その文化も、例えばラオスなどでは現代ではあまり行われてないようになってきているなど、変化はあるようですね。

今後もその文化が残っていくかどうかというところは、そういった歴史や文化を引き継いできた民族の変化によるところが大きいのではないでしょうか。

草木や果実で歯を染める

それでは、ここからは染め方について見てみることにしましょう。

お歯黒の染料には何が使われていたか、と言われると、最初は草木や果実だったというのが答えのようです。

草木や果実を使って染め始めたというのは、日本で古来から見られる方法で、鉄器が入ってくる前にはこの方法でお歯黒が行われていました。

発掘された古代の人骨からお歯黒の跡が見られるなど、かなり古い時代から行われていたようであり、その時代には草木や果実が主流だったのでしょう。

のちに鉄で染める方法も出現

最も、ずっと草木や果実で染めていたわけではありません。

歯のエナメル質はかなり強い素材であり、そう簡単に染めることはできませんから、のちには鉄を使って染める方法も出現してきました。

鉄器が入ってきた時代からのことですね。

ただ、鉄器が入ってきてからすぐにお歯黒に使われ始めたとは思われませんから、ある程度、鉄の生産が簡単にできるようになってきてからのことでしょう。

明治時代あたりまで使われた

お歯黒というと古い文化のように思われるかもしれませんが、古代で終わってしまった文化ではありません。

明治時代までは普通に行われていた文化であり、既婚女性はお歯黒をきちんと行っていたと言われています。

最も、明治3年に入ると、お歯黒は制度として禁止されてしまいました。

これは、外国との交流が増えたからという理由もあるでしょう。

外国にはこのようなお歯黒の文化がありませんでしたから、不潔なように見えて眉を顰める欧米人も多かったと言われています。

明治時代の始めにこうして廃止されてしまった文化は、現代では伝統芸能の中でしか残っていませんし、その中でも美の象徴として使われているわけではなく、醜悪の象徴として使われることが多くなっているようですね。

東北では昭和初期にも見られた

制度として明治初期に禁止されたお歯黒ですが、この時代は今ほどに全国が統一して一つの歩みを進めていたわけではありません。

日本と言っても東京から遠くの土地に行ってしまい、それほど都会でもなければ、文化に取り残されることもあるでしょう。

そのために、都会部ではすぐにお歯黒が廃れていきましたが、田舎に行くとお歯黒の文化がまだ残っていると言ったことも珍しくはなかったようです。

東北地方などでは昭和初期にもお歯黒の女性が見られたようで、その廃れていった時代に関しては地域によって差があったと考えても良いでしょう。

最も、昭和中期あたりになるとほとんどの地域でお歯黒は見られなくなったようで、それ以来、日本ではお歯黒の文化は再興することがありませんでした。

お歯黒による美しさと意味

現代では理解されることがありませんが、お歯黒は美の象徴とされてきました。

それでは、お歯黒はどうして美の象徴とされてきたのでしょうか。

また、どのようなメリットがあってその文化が残ることとなったのでしょうか。

現代の人では理解できないと思われがちですが、実はお歯黒文化の裏には現代人でも理解できる「美しさの意味」があるかもしれません。

これについて見てみることにしましょう。

むらなく艶のある漆黒が美

まず、美しいお歯黒というのは、村がなくて艶のある美しい色のことを言いました。

これは確かにそうですよね。

まだらに黒くなっていると何となく不潔なような気がしてきますが、むらなく染められた漆黒であれば、歯を黒く染めることに対しての理解はできなくとも、むらなく染められた黒が美しいという意味は理解することができるでしょう。

女性はこのむらなく染められた黒を目指すために、なかなか染まらない歯を頑張って染めようとしてきたのです。

お歯黒をする意味

お歯黒をする意味にはいくつかのものが考えられます。

そのメリットには何と、虫歯を予防していたという意味もあるのです。

このお歯黒に込められた意味や、どうしてお歯黒が美しさの象徴ということになったのかについて詳しく見てみることにしましょう。

顔つきを柔和に見せる

まずは、お歯黒は顔つきを柔和に見せるという点があります。

日本人女性の美しさとしては、昔から大和撫子と言われるように、激しい情熱的な美しさではなく、どこか控えで柔らかな美しさが求められてきました。

真っ白な歯が光る笑顔というのは、太陽のように明るく爽やか、現代ではそれが求められていますが、何となく顔つきが激しいものになってしまうというのは確かでしょう。

顔つきを柔和に見せるためには、口元を暗くすることが必要だったのです。

そうして社会から求められている美しさを出すために、お歯黒で口元を目立たないようにしたというのが、お歯黒が美しさの象徴となっていたことの一つにあります。

実際に顔つきが柔和に見えているか、と言われると現代人の感覚では理解できないかもしれませんが、元々、おちょぼ口が日本美人として求められていたことを考えると、確かに口元には陰りがあった方が良いとされていたのかもしれませんね。

歯並びの悪さを隠す

お歯黒で歯を黒くしてしまうと、欠点を隠すことができるという点もメリットなのではないでしょうか。

歯並びが良いほうがきれいに見えるというのは現代でも変わりません。

ただ、現代では個の歯ならびを矯正することも可能ですが、昔はそんなことはできませんでした。

その代わりに、それをできる限り目立たないようにしてしまうという方法がとられることになったのです。

目立たないようにするとなると、できる限り暗い色にすることが望ましいですよね。

お歯黒のように真っ黒な歯の場合には、多少の歯並びの悪さは気になりません。

こうして、歯並びの悪さを隠して口元を綺麗に見せるというためにも、お歯黒が必要だったのです。

虫歯や歯周病の予防

お歯黒は何と、虫歯や歯周病の予防にもなっていました。

そもそも、歯はとても染めにくいものです。

なぜなら、外のエナメル質がとても強く、染料がそう簡単に馴染んではくれないからです。

そのために女性は、口の中を綺麗にしてから何度も染め直していました。

日常的にこうして口の中の清掃を行っていたため、これが虫歯や歯周病の予防となったのです。

また、歯を染めるために使われている染料の成分が歯をコーティングすることによって、さらに虫歯になることを防いでいたということもあります。

色々な面から、お歯黒にすることで虫歯や歯周病となることを防いでいたというのは驚きですね。

欧米から来た人にとっては、何となくはが黒いことが不潔さを見せているように思われたようですが、実は、歯を黒くするということは、口の中を清潔にするということでもあったのです。

歯の変色を隠す

お歯黒では歯の変色を隠すこともできます。

最初から黒く染まっているのですから、歯が黄色くなってしまうことを防ぐこともできるでしょう。

現代のように簡単にホワイトニングができるわけでもありませんし、黄ばみ予防の歯磨き粉を使うこともできなかった時代では、歯の変色を隠すとなると、最初から染まらない色にすることだったのかもしれません。

お歯黒にしていれば、その歯は染まることがありませんので、そういった意味でも「いつまでも美しい歯でいる」ことを実現するためにお歯黒がされていたのかもしれませんね。

現代でのお歯黒

現代では全くなくなってしまったお歯黒ですが、これが見られる場所もあります。

お歯黒と言ってもイメージしにくいという人がほとんどでしょうから、実際にどのようなものであったのかを知りたいという方は、ぜひ、現代のお歯黒を見ていると良いのではないでしょうか。

伝統演劇などで見ることができる

現代でお歯黒を見るためには、伝統芸能を見るのが一番です。

伝統芸能の中では今でもお歯黒をしてその時代を表現することがあるからです。

最も、昔のように美の嘲笑として使われているわけではないので、その時代の空気を感じることはできないかもしれません。

ですが、醜悪や滑稽さの表現で使われているとはいえ、お歯黒がどのようなものであったのかということについて知りたい方は、ぜひ、それらを使っている伝統芸能を実際に見てみると良いのではないでしょうか。

お歯黒って不思議な文化

いかがでしたか?
お歯黒という文化については、初めて聞いたときに「何で?」という疑問が湧いてくる文化ですよね。

現代の審美眼では絶対にありえない考え方ですし、このお歯黒が復活してくることは、これからの文化の中では絶対にないように思われます。

現代でもこのお歯黒をしている文化ももちろんありますが、日本の中では白い歯が美しいという文化ができてしまっていますので、何となくやはり根本を完全に理解するのは難しそうな感じがしますね。

ですが、そういった文化の背景を見てみると、虫歯予防になっていたりと色々なメリットがあったことも同時に伺うことができます。

審美眼的には理解できなくても、人々の生活の中で役に立っていなかったわけではないということが分かるということです。

また、歯に対して美意識を持っていたということ、色が重要であったということは、ホワイトニングなどが流行り出している現代と同じようなところがあるでしょう。

現代でもやはり、美しい歯並びは重要視されるところですし、色は違えど、白くしようとして奮闘していることを考えると、考え方の根本にあるところは変わっていないということなのかもしれません。

不思議な文化はお歯黒以外にもたくさんあるはずです。

現代とは生活様式も何のかも違うのですから、それは当たり前の話でしょう。

不思議な文化と一口に言ってしまえばそれで終わりなのですが、その背景を調べてみると、意外と面白いところが見つかるかもしれません。

昔の歴史について学ぼうとしている方は、歴史の中での大事件を調べるだけではなく、その中で作られてきた文化にも目を向けてみると面白いのではないでしょうか。