それを使用していたお客さんの方から、クレームが多く届くようになっていたのです。
それに気づいたメーカーは、その商品を回収して問題の部品を交換するというリコールに踏み切ったのです。
TVや新聞でのPRを開始して対応したのでしたが、それでもその欠陥商品での事故は無くなりませんでした。
それによって人命が失われることがあっては企業の存続にも関わると判断したようで、社長がマスコミを通じて謝罪会見を行うことになったのです。
その時の謝罪会見では、「この問題を真摯に受け止めて、早急に未回収の商品の確保と安全策を講じたい」と発表したのです。
このように、クレームがあったことを心から真剣に受け止めて、いい加減には考えていないということを表明したのです。
部下まかせにしたり、責任能力がない者に担当させるような片手間なことはしませんという決意なのです。
「真摯に受け止める」と宣言した時には、本当の意味でキチンと問題解決できなければ、企業であれば社長や執行部の退陣にまで発展するのです。
そして、真摯に受け止めた結果も公表する責任があるのです。
仲間同士で、「ああ、わかった、やっとくよ」という軽い気持ちではないのです。
真面目に受け止めるというニュアンス
何かの疑問や問題が発生した時には、当然何らかの対策が取られたはずです。
ある新入社員がたびたび遅刻するのです。
「あいつはよく遅刻する奴だ」という評判が立ってしまった時に、みんなからは「寝過ごさないように、目覚まし時計は枕元に2つぐらい置いておけ」などと注意されます。
それでも、目覚まし時計の時間をセットするのを間違えたとか、電池が切れていたとか言い訳ばかりなのです。
そこに登場したのが、誰もが恐れている大先輩です。
部下からあいつは遅刻常習犯だと聞くと呼びつけて「おまえは誰に飯を食わせてもらっているか分かっているのか!起きるのが嫌なら明日から来なくていいわ、代わりはいくらでもいる」と大声で一喝したのです。
これにはさすがにビビってしまい、小さな声で「真摯に受け止めます」と返答すると、「もっと大きな声で言え!」とまた一喝。
「真面目に出社しろよ!」と告げて部屋を出て行ったのです。
「真摯に」という言葉は、今まで以上に真面目にというニュアンスがあるのです。
今度遅刻すると首になる、という覚悟を持つのです。
大きな決断をする事なのです。
真摯に受け止めるの使い方
人間は、人によって感受性が異なっています。
たわいもないことでも大げさに考えてしまって、あんな態度を取ってしまったけれど、相手は気分を害していないかしら?とか、あんな返事で良かったのかな?と悩む人もいます。
TVのトーク番組でも、司会者の質問にもうわの空で中途半端な答えを返したり、ちんぷんかんぷんな返事で会場の人達の失笑をかったりする場面があります。
いずれも、あまり真剣には考えていなかったり、自分には直接関係がないとたかをくくっていたのでしょう。
すると、司会者からの指摘を受けたり、会場の人達の冷たい視線を感じると、急に我に返って「こりゃあまずい」と感じたのでしょう。
みんなの空気を受け入れて「真摯に受け止める」ようになるのです。
真剣な顔つきで正論を話すのです。
こんなシーンはTVでよく見かけます。
的を得ていない回答やタイミングがズレた回答など、ある意味では見ている方としては、その人の人間性が垣間見えておもしろいのです。
このように、映っている回答者の顔つきを見ていると、真摯に受け止めているか、適当に喋っているかが分かるのです。
真摯に受け止めた場合は、顔つきも態度も、そして声の出し方も変わるのです。
だから、もし真摯に受け止めると言う場合には、態度や声、顔の表情も注意することが必要です。
いい加減な態度で話しても、真面目さや真剣さが伝わらないと、真摯に受け止めていないのではと思われてしまいます。
「真摯に受け止める」の使い方は、本当に心を入れ替えて真面目に取り組むことを宣言する時に使うのです。
注意や説教、指摘をされたときの返事として
いい加減な態度を取ったり、嘘をついてみんなに迷惑をかけたりした時に、先輩や上司からいろいろと注意や指摘を受けます。
例えば、お客様の名前を呼び間違えたり、打ち合わせの時間を間違って伝達して、全員が集合で着なかったりという簡単なまちがいであれば、注意されたときには「迷惑をかけないようにしっかりします」とか「今度から注意します」ぐらいの返事で許されます。