また、例えば会社の社長や上司の子どもが相手の場合には、上司が目上の存在なのでその子どもにも敬語を使うべきかと悩む人もいるでしょう。
相手が上司の子どもであっても、自分よりも年下であれば上司に対するように敬語を使う必要はありません。
せいぜい丁寧語で話すだけで十分でしょう。
また、年下でも立場が自分よりも上であれば、もちろん敬語で話します。
スピーチでの使い方
「存じます」という敬語は、基本的には自分よりも目上の立場の人や敬意を払う人などに用います。
しかし、一対一の時に用いるだけでなく、大勢の前でスピーチをする際にも用いることがあります。
大勢の前でスピーチをする際には、目上の人もいれば目下の人も、同じ立場の人もいるでしょう。
そうした大勢の人を前にした時には、「スピーチをさせていただく」というように自分の立場を一番下に持ってきますので、謙譲語である「存じます」を使うことがあるのです。
スピーチでは、例えば「○○のことから、私はこのように思います」と発表する時に「○○のことから、私はこのように存じます」と言ったり、また「○○のことを知っています」という際には「○○のことを存じています」と言い換えたりします。
スピーチ時には誰でも緊張しますので、きちんと事前に発表内容を暗記していても、敬語を使い慣れていないと本番でつい噛みそうになることもあるでしょう。
また、予期せぬ質問や指摘に対して、動揺しておかしな敬語になってしまうこともあります。
スピーチが苦手な人ほどそうした動揺に陥りやすいですが、一度「あっ、敬語を間違えてしまった!」と思うと余計に慌ててしまいますので、言葉にする前に一度深呼吸をして、それから落ち着いて敬語を使うように意識しましょう。
メールでの使い方
社内・社外メールでは、誰でも敬語を用います。
例え仲の良い同僚であっても、仕事に関する内容を連絡する際には、きちんと敬語を使うでしょう。
その際に、「存じます」という言葉を使うことがありますが、ビジネスの場における「存じます」は、社内メールよりも社外メールで用いられることの方が多いです。
例えば会社の取引相手にメールを送る際に、「お世話になっております。先日はご親切に社内をご案内下さり、身に余る光栄と存じます。」といった内容でメールをすることがあるとします。
これは、前回取引相手の会社へ伺った際に、担当者に社内を案内してもらったことに対するお礼の文面ですが、「身に余る光栄と存じます」という言葉には、「身に余る光栄に思います」という意味が込められています。
また、例えば「先日お教えいただいた新プランにつきましては、大変失礼ながら存じ上げませんでした。」という文章を送った際に、この場合の「存じ上げませんでした」には「知りませんでした」という意味が込められています。
同じ「存じます」という言葉でも、使い方によっては「思います」「知っています」と意味が違っていますので、メールのやり取りの際にはこちらがどのような意味で使うのか、また相手がどのような意味で使っているのかをきちんと理解する必要があります。
ビジネスで多用される
「存じます」は、ビジネスの場面で多用されます。
誰でもビジネスの場では自分の意見を言ったり、気持ちを表現したりする機会がありますが、そうした時には「存じます」は頻繁に用いられます。
そしてまた、用いる機会が多いからこそ、正しい「存じます」の使い方を理解していなければ、大勢の前で恥をかいてしまうことにもなりかねません。
社会に出てからも文法や敬語の勉強をしなくてはならないなんて、嫌に思う人もいるでしょう。
しかし、人は人の言葉使いや仕草などによって相手の教養を判断したり、評価を下したりすることがあります。
もしあなたが仕事で成功したい、出世したいと思っているのなら、上司や目上の人に対してきちんと正しく敬語が使えるようになっておく必要があります。
せっかく能力はあるのに、間違った敬語を使っていることで、「昇進を推すには心もとない」と思われてしまっては心外でしょう。
だからこそ、ビジネスの場ではしっかりと敬語を使えるようになっておく必要があるのです。
お礼を述べる場合
目上の人や上司などに対してお礼を述べる場合には、まずお礼の言葉を述べた後で、自分のためになったことがあればそれを具体的に話し、最後に「存じます」で締めくくるのが一般的です。
例えば、「先日はお忙しい中お時間をいただきまして有難うございました。○○さんに会社の在り方を教えていただくまで、恥ずかしながら存じ上げないことがたくさんありました。今後は精進を重ね、会社のためになれるように一層励んでいくことと存じます。」というお礼の言葉を述べる場合、一見堅苦しく、また長々しいと思えるかもしれません。
しかし、ビジネスの場における敬語は、この程度の長さになることは珍しくありません。
このお礼の言葉の中には2回「存じます」という言葉が出ていますが、最初の「存じ上げない」は、「知らない」という意味で使われており、また最後の「存じます」は「思います」という意味で使われています。
基本的に1つの文章の中で2回同じ敬語を使うことは良くないとされていますが、「存じます」という敬語の場合には意味が2つありますので、1つの文章の中で2回使ってもおかしくはありません。
ただ、「存じます」の意味が使い方によってはどちらの意味を指しているのかを理解するには、きちんと正しい使い方を知っておかなければなりません。
そのため曖昧な覚え方をしている人は、正しい使い方を覚えておく必要があるでしょう。
謝罪をする場合
「存じます」という言葉を使って謝罪をする場合には、次のような使い方があります。