ビジネスシーンやテレビなどで時々、「失念しておりました」という言葉を耳にする機会があると思います。
念を失うと書いて「失念」と読むこの言葉の意味や正しい使い方を、あなたはしっかりと理解出来ていますか?
理解出来ていれば必要な場面で正しく使うことが出来るため、これから社会人になるという人や、すでに社会人の人はきちんと「失念」の意味や使い方をマスターしておきましょう!
️「失念」を間違って使っていませんか?
「失念」という言葉を、あなたはどんな場面で使っていますか?きちんとその言葉の意味を理解している人は、もちろんその言葉がふさわしい場面で「失念した」と使っていることでしょう。
しかし、「失念」の意味を勘違いしている人は、ひょっとしたら見当違いな場面で使ってしまっているかもしれません。
例えば上司の話をきちんと聞いておらず、それを怒られた時に、うっかりぼんやりしていたことに対して「申し訳ありません、失念していました。」と使っている人がいるかもしれません。
また、例えば誰かが忘れ物をした時に、「◯◯さん、失念しちゃいましたね。」と使っているかもしれません。
これら「失念」の使い方は、いずれも間違っています。
どう間違っているのかは、これからご紹介していく「失念」の意味や正しい使い方を理解出来れば、自然と間違いの理由が納得出来ることでしょう。
子どもや学生ならばまだしも、社会人になってからも間違った言葉の使い方をしていると、周りからは教養がないと思われたり、評価に悪影響が出て自分で自分の立場を悪くしてしまったりする可能性があります。
自分自身のためにも、誤った使い方をすることがないように、この機会に「失念」の意味や正しい使い方について確認しておきましょう。
️「失念」の意味
「失念」には、どのような意味があるのでしょうか?漢字だけを見ていくと、「失」は失うことや損失を意味します。
また、「念」はおもうことですので、思念や怨念、信念など、自身の強い感情や気持ちを表しています。
この2つの漢字を組み合わせると、シンプルに「思いを失うこと」という意味に考えられます。
では、思いを失うとは一体どういうことなのでしょうか?気持ちを失くしてしまうことなのか、何かの対する思いを失くしてしまうことなのか、詳しい意味を以下にご紹介していきます。
うっかり忘れること
「失念」には、「うっかり忘れること」という意味があります。
先ほど「思いを失う」と漢字を組み合わせた意味をご紹介しましたが、この思いを失うということは、すなわち自分にとって必要な情報や物の存在に対する思いを失ってしまうことです。
そこから、必要な情報や物の存在を忘れることに繋がり、最終的には「うっかり忘れること」となります。
うっかり忘れてしまうことって、誰にでも起こりうることですよね。
忘れものが多い人は普段からこうした「うっかり忘れ」が頻繁ですし、気を付けているつもりでも、何かの拍子にうっかりその存在を忘れてしまうこともあります。
自分が忘れやすいことを自覚している人や、注意深い人では、大事なことを常にメモに取っておき、忘れそうになったらそれを読み返して確認するという作業を行っています。
不思議なもので、一生懸命に記憶に留めておこうとするといつの間にか忘れてしまっていることでも、一度メモに書いておき、忘れても思い出す手段を得ていると、忘れっぽい人でもメモを見ることなく、その存在を覚えたままでいることが出来ます。
何かに直接書くという行為が、それだけ重要なのかもしれませんが、重症な人では忘れないようにと記したメモの存在を、どこへやったのかとうっかり忘れてしまうこともあります。
ど忘れすること
「ど忘れ」は「うっかり忘れ」とは違います。
うっかり忘れは一般的なもの忘れの言い方を変えたもので、自分が忘れたことや物について直ぐに思い出すことが出来ます。
一方でど忘れは「よく知っているはずのことをふと忘れてしまって、どうしても思い出せないこと」です。
例えば芸能人の名前やいつも食べている料理の名前、財布に入っている金額や体の一部分の名称など、普段はよく知っていて、忘れないようなことをふとした瞬間に忘れてしまうことがど忘れなのです。
忘れてしまって思い出せない状態というのは、非常にもやもやとして頭の中が気持ち悪い状態です。
そのため、単なる物忘れであれば直ぐに思い出せるためそれだけ早く頭の中も切り替えられますが、ど忘れの場合には忘れたままの状態でいることが苦痛に感じられます。
会話の中で何かをど忘れしてしまった人がいた場合、その場の会話が別の話題に移っても一人だけ「あれって何だったっけ・・・!」といつまでももやもやと考え続けてしまいます。
その分忘れていたことを思い出せた時には、何とも言えないスッキリ感や満足感で心が満たされます。
一説によると、脳は何かを考える時に、その答えが出るまで延々と思考をし続けるそうです。
そのため、ど忘れたした内容が思い出せないままで何時間も、何日も経ち、本人でさえそれについて考えることを止めた後でも、脳はそのことについて答えを探し続けるそうです。
そして脳が答えを導き出した時に、本人も唐突に忘れていたことを思い出すのです。
ど忘れてしてしまったことを、後になって急に思い出すことがあるのは、そうした脳の作用によるものだとする説があります。