目上の人に対して使う場合には「承りました」と使った方がいい場合もありますが、あまりかしこまり過ぎない関係や場面の際には、「お受けします」「お受けしました」と比較的柔らかい敬語を用いる方が良いでしょう。
また、例えば取引先の会社の人のように、そこまで上下の関係はないものの、一定の敬意を払う必要がある場合にも、同じく「お受けします」と敬語を使うことがあります。
目下でも時々敬意を払いたくなるような優れた人材がいますが、ビジネスのように互いの上下関係が明確化されている場合には、心情的には敬意を払いたくても、「受けます」と丁寧語に抑えて使うことが求められます。
受け付ける
「受け付ける」とは、「申し込みなどを受けること」「人の頼みや訴えごとを聞き入れること」「人に与えられた物事に応じた反応を示すこと」などの意味があります。
「承る」の類語として見た場合には、「人の頼みや訴えごとを聞き入れること」の意味として言葉を使うことになります。
「受け付ける」と聞くと、「受け入れる」や「聞き入れる」よりも、言葉の響きがやや事務的に思えるかもしれません。
しかし、意味としてはどれも似たようなものですので、それを場面に合わせて使い分けるだけのことです。
「受け付ける」の場合には、事務的さと相手よりも自分に対する優位性を窺わせますので、自分と同等の相手か目下の相手に使う方が良いでしょう。
同等の立場の相手でも、それが取引先の会社の場合には、敬意を払う必要がありますので、「受け付ける」という表現は控えた方が良いかもしれません。
先にご紹介したように、「お受けします」の言い方を用いるのが理想でしょう。
受諾する
「受諾」とは、「相手からの提案や申し入れなどを受けること」という意味があります。
「承諾」と言葉使いも、言葉の響きも、加えて意味も似ています。
そのため、「承る」という言葉を言い換える際にはどちらの言葉を使っても問題はありませんが、何となくその場の雰囲気に相応しい言葉というものがあります。
それを感じとることが出来れば、その場に合わせて「受諾する」
「承諾する」と上手に使い分けることが出来るでしょう。
聞き入れる
「聞き入れる」は「要求や願いなどを聞いて承諾すること」「心にとめて聞く」といった意味があります。
後者の意味では主に音楽や講義など、自分にとって重要だと思える事柄をきちんと耳を澄ませて、心にとめて聞く際に使われます。
一方の前者の意味は「承る」とよく似ています。
相手の要求や願いを聞き、それを承諾することが「聞き入れる」ことです。
つまりは相手の要求を受けることが前提として決まっている言葉ですので、相手の要求を聞き入れられない場合には使うことはありません。
また、人から頼まれごとをされるというのは、それが目上の人からの指示でない場合には、基本的には頼みごとをする人の立場の方が弱くなっています。
そのため、要求を聞き入れる側の立場が若干強くなり、「聞き入れます」と丁寧な言い方をしても、どうしても相手の方が上に感じられる言葉の響きになってしまうでしょう。
「承る」を使用するシーン
「承る」は、どのようなシーンでよく使用されているのでしょうか?これまでにご紹介してきたように、ビジネスシーンではとくに使われる機会が多いです。
しかし、会社の中だけでなく、店や会社側の社員とお客様の関係が成立する場面でも使われる機会は少なくはありません。
具体的にはどのようなシーンで使われるのか、考えられる例を以下にご紹介します。
商談で
取引関係にある会社同士での商談の際に、「承る」という言葉はよく用いられています。
例えばある会社が新商品を開発し、それを別の会社に購入して欲しいと商談を持ちかけているとします。
これはいわゆる営業ですので、新商品を持ち込んでいる会社の方が下手の立場にあります。
そして新商品の説明をした後で、商談を持ちかけられている会社が「もう少し安くしてくれたらうちで買いますよ。」と条件を提示します。
それに対し値下げが可能であれば、「承りました、では改めて見積もりを出させていただきます。」とその場で見積もりの見直しを始めます。
この「承りました」には、相手の希望を謹んで受けるという意味があり、直後に見積もりの見直しをしていますので、全面的に商談相手の会社の希望に寄り添う形で進めているのが分かります。
注文を受ける場合
例えばスーツを売る店で働いている従業員がいるとします。
そこへお客様が来店され、自分用のスーツを選んでいます。
授業員が声をかけて接客をしていると、お客様は現在店にない商品を取り寄せて欲しいと頼んできました。