だから、「他愛ない人だ」とか「他愛ない考え方だ」という表現もあるのです。
他愛ないの意味とは?
「他愛ない」とは、「他愛(たあい)-無い」あるいは「たわい-無い」ということで、「他愛」が無いのです。
「他愛」とは、自分のことよりもまずは他人の幸福や利益のことを考えることなのです。
だから、「他愛」という気持ちを持っていないことを表しているので、他人のことを考えるまでもない状態なのです。
それは具体的にどのような意味なのかを考えてみました。
幼い
どうも考え方が幼稚だとか、しっかりした考え方を持っていないなどと、幼くて思慮分別がない状態の時に「他愛ない」と表現します。
「あの人の考え方は、どう考えても他愛ないと思う」などと使われます。
幼いとか幼稚だと言っているのです。
だから、その考え方にはついて行けないと思っているのです。
例えば、以前に画家を目指していたという先輩の絵を見せてもらったが、想像に反してシンプルな筆遣いで、幼い子供が描いたような感じに見えたとします。
後でその感想を聞かれたところ、「他愛ない感じの絵画でした」と答えました。
絵画の本質を理解していない人が見ると、優れた絵画でも他愛ない絵だと思うようです。
このように、幼いというイメージの時に、使われる言葉でもあるようです。
とりとめのない
例えば、アルバイト先の飲食店の店長が、みんなを集めて意見交換会をするとします。
アルバイトの学生やパートの人達も集められて、30分ほど話を聞いたのでした。
目的は、お客さんが喜びそうな新しい企画を提案してくれないかというもので、ざっくばらんに一人ずつ意見を聞かれたのです。
お客様と直接触れ合っているので、お客様からの要望も聞いていると思ったようです。
30分の間に、それぞれがいろんな意見を行ったのですが、なかなか良い企画は出てきませんでした。
何かのヒントになるような意見も無かったので、「他愛ない意見ばかりだった」と落胆したのです。
意見は出てきたのですが、とりとめのない意見ばかりだったということです。
取るに足らない
例えば、あるライバルの企業は、非常に燃費の良いエンジンを開発したという噂が流れてきました。
これまでにない技術を利用した画期的な新型エンジンだということです。
マスコミにも取り上げられて、これが商品化されると販売のシェアが下がると心配になったものです。
その後の開発の状況や新型エンジンの情報が漏れてくると、そのエンジンについていろいろと調査をしたのです。
これと合わせて、エンジンに関するいろんな技術研究所や海外の研究機関も情報収集とその評価について発表が続いたのです。
すると分かったことは、まだまだ開発に時間が必要なことと、非常に価格が高くなること、製造現場で生産する技術のメドが立っていないことなどから、当面の脅威にはならないということが分かったのです。
その会社では、心配して連日対策会議を行っていましたが、今のところは取るに足らない情報のようで、「他愛ない情報に振り回された」と結論付けたようです。
正体がハッキリしないあやふやな情報だったということです。
取るに足らないことを表しているのです。
手応えがない
手ごたえがない時や張り合いがない状態の時にも、他愛ないと表現する時があります。
当然、いい勝負になると覚悟していたのに、以外にも相手の力が不足していて、あっという間に決着がついてしまった時に、「この勝負はもっと苦しむのかと思っていたが、他愛ない試合だった」と呟くのです。
手応えがない時に、他愛ないと使います。
期待を裏切ってしまった人のことは、「あの人は他愛ない人物だ」と酷評するのです。
期待を裏切られたことに対する落胆の気持ちの表れです。
このように、他愛ないという使い方をする時には、しっかりとした考えや意志がなく幼い様を表す意味と、主体がハッキリとしない締まりのない状態、期待を裏切って落胆するような状態の時に使われるようです。