でもそれを伝えることが出来ない。
そんな状況の気持ちこそ”心情”ということができるんです。
とはいっても、その気持ちを一瞬でも外に出す(相手に出す)ことがあれば、それは心情ではなく「感情」になります。
心の中で浮かんだ感情は心情である
心情か感情かをどのように区別すればいいかといいますと、「その気持ちを自分のなかに秘めておくのか、それとも誰かに伝えるのか」ということになります。
では、例で確認していきましょう。
あなたは、涙が出てしまうほどにとても感動する映画を見ました。
その映画を見終わった後のあなたの気持ちは、感動でいっぱいです。
その「感動した」という気持ちを誰にも伝えずに心の中にそっとしまいこんでおくことによって維持される気持ちを「心情」といいます。
その感動した気持ち、どこに感動したのか・・・なんていうことを誰かに伝えたのであれば、「感動した」という気持ちを表現することになるのでそれは感情表現となり、「感情」になります。
心の中で浮かんできた気持ち、そしてそのままにすることのできる感情は心情ということができるんです。
心情の正しい使い方・例文
意味をしっかり理解しても、いったいどんなところで「心情」という言葉を使うのかまったくもって想像できない人もいることでしょう。
ここでは「心情」という言葉の正しい使い方について見ていきましょう!
心情の美しさに惹かれる
この話し手は、対象とする人物の心情に注目しています。
心情は目に見えないものですが、その秘めたる思いが美しいということになんらかによって知ることが出来たのでしょう。
そんな心情の美しさに惹かれている、好きになってしまった様子をあらわしています。
あなたの周りには「心がきれいな人」とか「純粋な人」のようなイメージを持った人っていませんか?
そのような人達って感情表現をしていなくても、どのような仕草をしているとかどんな行動をしているかによってそれらの人に見えているものです。
それは、内面からの美しさがにじみでているということ。
つまり、心情がとても美しいということになります。
”純粋無垢”なんていわれる人ってどこも汚れていない人のことをさしますが、そのような人が腹黒いことを考えているとは思えないですよね。
僕の心情の半分も伝わらない
心情というのは、心のなかにそっとしまいこんでいる思いのこと。
この話し手である”僕”は、心に抱いている感情をだれにも伝えていないのでしょう。
悲しすぎる気持ちなんて、特に誰かに伝えようとは思えないですよね。
そんな心情って目に見えることはほぼないので、誰かに知られるということはありません。
それゆえ、「誰にも心の中に眠っている気持ちを伝えてないけれど、それでも僕の心の中の半分ものきもち(ちっとも)気づいてくれない」という意味合いになります。
”いいたいのにいえない”気持ちというのも心情になるんですね。
被害者の心情を察する
この世界では毎日のようになんらかの事件がおきています。
その事件の被害者となった人の中には、一生消えないような心の傷をおってしまう方もいますよね。
まさにそのような被害者に向けた言葉になります。
被害者は、とても悲しい思い、つらい思い、そして怖い思いをしたはずです。
しかし、その気持ちはなかなか伝えることが出来ません。
その話をしたら事件当時のことがフラッシュバックしてしまうかもしれない・・そんな気持ちを抱えています。
そんな方に対して「被害者の心情を察する」と伝えることができます。
つまり、被害者の心情はこうなっているのかな、さぞかし怖かっただろう、苦しかっただろう・・・と話し手が想像していることになります。