すり合わせ能力という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
製造業などを中心としたビジネスの業界でも、今使われている言葉なんです。
すり合わせ能力というのは一体どのような能力のことをさすのか。
すり合わせ能力を身に着けるにはどうしたら良いのか。
今回はそんなすり合わせ能力についてご紹介します。
すり合わせ能力とは?
日本語には「~合わせる」という言葉がたくさんありますよね。
「足し合わせる」、「混ぜ合わせる」、「はめ合わせる」など、二つの物を持ち寄って接する状態にする意味が「~合わせる」にはあります。
改めて説明するとなんだか難しい話ですが、なんとなく感覚で「~合わせる」という意味は把握できている人がほとんどだと思います。
そして、このなじみ深い「~合わせる」には、二つの物を一緒にするという意味を発展させた慣用的な表現として使われることもありますよね。
それが「顔を合わせる」、「手を合わせる」、そして「すり合わせる」などです。
「顔を合わせる」や「手を合わせる」はヨーロピアンな挨拶、神仏への祈りの姿勢という意味も間違ってはいませんが、慣用的に前者は誰かと誰かが対面することであり、後者は誰かと誰かが勝負をするという意味があります。
「すり合わせる」という意味も同じように、二つの物事の調和をとることを言います。
経験的に二つの物をすり合わせると、双方の角が取れて滑らかに合わさるようになります。
この「すり合わせる」というのは社会で生活する上で、程度の差こそあれ必ず必要なことであり、またそのすり合わせる能力は立派な個人スキルでもあります。
それぞれの考えをすり合わせていく力
例えば、A案が良い思っている人とB案が良いと思っている人がいるとします。
そして結論はひとつしか出せません。
このとき、A案かB案か取捨選択をする方法の他にもう一つ選択肢があります。
それが互いの案の「すり合わせ」です。
両者の譲れるところ、譲れないところを聞いて調整し、互いに納得できる案に仕上げ導く力はまさに「すり合わせ能力」のそれです。
複数の物事や考えを比べて、いろんな案や意見を突き合わせて調整することで、ひとつひとつの案よりもよりパワフルで整合性のとれた、充実した案を造り上げていくことが可能になるのです。
このすり合わせる力は、ビジネス書などでも取り上げられている言葉なのです。
相手と意見がぶつかり合い、対立してしまってどうにもうまく収まらないという局面もときにはあるでしょう。
どこかで妥協するべきとわかってはいても、どうしても相手の意見に納得がいかず、落とし所がみつかりません。
疑問が解消されず問題も解決しないままという状況では、良い気持ちはしないものです。
話もまったく前に進まず、堂々めぐりになってしまいます。
こういうときに重要になってくるのがすり合わせ能力。
相手と意見が衝突し、かつ相手の話をよく聞いても納得ができないというときは、実は心のどこかで間違っているのは相手で、自分は正しいことを言っていると思っていることが多いです。
だから、相手が自分の意見に賛成しないことがそもそも意味がわかりませんし、相手の意見に自分が納得するということもありえないのです。
そんなときには冷静になって、客観的に相手と自分の意見の違いを分析してみます。
そして相手の意見のどの部分にどのような違和感や反感を自分が持ったのかということを洗い出してみるのです。
納得できなかった部分を洗い出せたら、なぜそこに納得できないのかという理由もつきつめて考えます。
「相手が悪い」「相手の意見がおかしい」というふうに相手のせいにして終わらせるのではなく、自分が相手の意見のどこに、どういう理由で納得がいかないのかというのをきちんと言語化してみるのです。
その状態で相手に説明を求めます。
ただ単に「納得いかない!」というのではけんかをうっているようになってしまい、お互いにおさまりがつきませんが、具体的なポイントを示して理由も説明すると相手もきちんと説明をしてくれるようになります。
お互いの主義主張を押し通すだけではなく、お互いの話を冷静に聞くことが大切なのです。
このとき、ただ主張を言い合うだけでは意味がないので、その主張が出てくる理由、バックボーン、相手の立場なども念頭に置くことが必要です。
たとえば男と女、営業部とデザイナーなど立場が違うと、同じことを話し合っているつもりでもそれぞれの見方が異なっているものです。
たとえば、デザイナーはお客さんの要望どおりの商品デザインをあげることが自分の仕事であり、自分のデザインが至高であり、自分のやっていることは正しいと思っています。
でも、営業の立場から見るとお客さんの要望はお客さんが言っている予算の範囲内では到底実現できない夢物語な内容ばかりなので、お客さんに言われるがままにデザインをしてもそれはとても商品にできるものではありません。
営業サイドの「この予算ならこれはできない」「この材質はガラスではなくプラスチックにして、透明感は残しつつ価格をさげてほしい」などの意見も汲み取りながらデザインをするのが、会社に所属しているデザイナーとして当たり前だと思っています。
この状態で単に「ちゃんとデザインしろよ!」と営業がデザイナーに怒っても、デザイナーとしては「やってるじゃないか!」と頭にきてしまいますよね。
こうした部分を組みとりつつ話し合い、それぞれの正義を理解して平行線だった議論をさかのぼり、近づけていく。
納得できる答えをお互いが相手から得て、それぞれが少しずつ妥協をして歩み寄り、営業はお客さんにかけあってもう少し予算を取ってくる、デザイナーはガラスはコンセプトからすると譲れないけれど、他の部分の素材を変えてコストカットを試みる、というような形で最終的に意見をまとめていきます。
これが『すり合わせ』なのです。
異なるものと連携する力
みたらしだんごの話をしましょう。
ある店は絶妙な甘さとまろやかさが自慢の秘伝のタレで評判のおだんご屋さん。