ビジネスシーンなどで時々、「不躾なお願いで申し訳ないのですが・・・」などと「不躾」という言葉を使うことがあります。
言葉の響きから失礼なことであるとイメージする人も多いでしょうが、「不躾」の意味や使い方をきちんと理解しておかなければ、うっかり意味をはき違えたり誤用したりしてしまうかもしれません。
曖昧な使い方をして恥をかいてしまわないためにも、「不躾」という言葉の意味や使い方をきちんとマスターしておきましょう。
「不躾」の意味や使い方、また言い換えなどについてご紹介します!
️「不躾」という言葉
誰かが「不躾な質問だなぁ。」などと使っているのを聞いたことがあっても、自分で「不躾」という言葉を使ったことがない人もいるでしょう。
自分で「不躾」を使う機会がない人は、その言葉の正しい意味や使い方を実は分かっていないことが多いです。
数ある言葉の中でも、私たちがきちんと意味を理解して正しく使えているのは、日頃から使う機会の多い言葉です。
反面滅多に使わないような言葉であれば、その意味や使い方が曖昧なこともあります。
日本人であってもすべての日本語を正しく理解して使えているかというと、そうでもないことが多いので、知らない言葉の意味をきちんと理解できていなくても、ある意味仕方がないと言えるかもしれません。
しかし、「不躾」という言葉に関しては、社会に出てからは比較的使う機会が巡ってくる言葉です。
正しい意味を知らなければ、間違った解釈をしてしまうかもしれませんし、うっかり誤用して相手を怒らせてしまうリスクもあります。
そのため、「不躾」についてはきちんと意味や使い方を理解しておくようにしましょう。
あまり良くないイメージな言葉
私たちが日頃使っている日本語の中でも、「非」や「不」が頭につく言葉は、比較的悪いイメージが付きやすいです。
例えば「非常識」なら常識がないことですし、「不平等」なら平等ではないということです。
「非」や「不」は、元々の言葉の意味を悪い意味で打ち消すことが多いため、「不躾」という言葉にも自然と悪いイメージを抱く人は多いでしょう。
悪いイメージを抱く人が多いということは、例えば誰かが別の誰かのことを「あの人は不躾な人だ。」と言えば、それを聞いた人は「不躾」という言葉の意味をきちんと理解していなくても、なんとなく「あの人は悪い人なのか。」と嫌なイメージを抱くことでしょう。
「不躾」は人に対して使う言葉ですので、あまりその言葉を頻繁に用いていると、その対象の人物に対する周りからの評価にも悪影響が出てしまいます。
「不躾」と口にする人も、自分がそう言うことで対象となる人に悪いイメージがついてしまうのが分かっているため、あまり日頃から他人に対して使われることがないのかもしれませんね。
️「不躾」の意味
「不躾」という言葉には悪いイメージが付きまといますが、そもそもこの言葉の意味とは何なのでしょうか?
辞書によれば、「不躾」とは「礼儀作法を弁えていないこと・さま」や「無作法」などの意味があります。
なるほど言葉のイメージの通りに、悪い意味を持つ言葉だと言うことが分かるでしょう。
「不躾」を他人に対して用いれば、それは他人に悪いイメージを定着させることになります。
また自分に対して使えば、へりくだりの表現になったり、自虐的なイメージになったりするでしょう。
使い方はさまざまですが、「不躾」という言葉本来の意味をきちんと理解できていれば、誰かが言った時にその意味をはき違えてしまう心配はないでしょう。
しつけができていないこと
「不躾」の「躾」は、子育てやペットの飼育に対して使われることの多い言葉です。
「躾」には「子どもなどに礼儀作法を教えて身につけさせること」などの意味がありますが、これに「不」の文字を加えることで、礼儀作法が十分に教えられていない状態や、身に付いていない状態を意味する言葉になります。
例えば子どもの頃から両親がまったく礼儀作法や外でのマナーについて教えてこなかった家庭では、その子どもは大人になっても不躾で非常識な人物として周りの人たちに迷惑をかけてしまうことでしょう。
また、一生懸命に教えているつもりでも、実際に子どもに礼儀作法が身に付かなければ、やはり大事な場面でみっともない振舞いをしてしまうことでしょう。
礼儀作法がなっていない人は、周りの人からその人を通して家庭環境を見られています。
食事の基本的な作法ができていなければ、「家ではちゃんと躾けられてこなかったのだな。」と思われてしまいますし、また無作法な振る舞いをすれば、「そういう家庭で育ってきたのか。」とその人だけでなく、親の育て方に関しても悪く思われてしまうでしょう。
また、子どもではなくペットでも同じことです。
犬の散歩をしている人がいるとして、その犬が飼い主を好き勝手に引っ張りまわして自由に駆け回っているのなら、「きちんと躾られていない」ということが直ぐに見抜かれてしまいます。
マナーがなっていないこと
マナーとは、行儀や作法、礼儀のことです。
例えば「こんにちは」と挨拶をされてきちんと「こんにちは」と挨拶を返す人は、礼儀作法が身に付いている人でしょう。
しかし、挨拶をされたのに無視して通り過ぎたり、聞こえないふりをしたりする人は、誰が見ても礼儀作法のなっていない人です。
また、例えば食事の仕方がとてもきれいな人は、きちんと躾をされて育ってきた行儀のいい人だと分かります。
しかし、犬食いをしたり、ながら食いをしたりしている人は、とても行儀の悪い人だと思われてしまうことでしょう。
マナーの有無は、社会人にとっては重要な問題です。
例えばあなたがマナーのなっている人といない人の、どちらかを会社で雇うことになった時、どちらの人を雇いますか?誰でもきっとマナーのなっている人を雇い、マナーのなっていない人は不採用にすることでしょう。
マナーのなっていない人は、そのマナーの無さから周りの人に迷惑をかけてしまうことが多く、場の空気が読めなかったり、自分勝手だったりすることもあります。
そんなトラブルメーカーを雇っても会社には損にしかなりませんので、マナーのなっていない人は不採用になってしまうことが多いのです。
何もマナーが良くなければいけないということではありません。
ただ、会社のような組織の中で動く時には、最低限のマナーは必ず求められます。
それに納得できないという人は、どんなに無作法でも大丈夫な仕事を選ぶか、自分で会社を興すしかないでしょう。
ただし例え会社を興したとしても、マナーがなっていなければ取引先の会社と上手く関係を築いていくことはできませんので、どのみち上手くはいかないでしょう。
マナーの有無は、人間社会の中では必要不可欠なものなのです。
読み方は「ぶしつけ」
「不躾」は「ぶしつけ」と読みます。
「不」は「ふ」とも読めますが、「不躾」の言葉として使う場合には「ぶしつけ」と読みますので、読み間違いや言い間違いをしないように気をつけましょう。
例え意味を理解していたとしても、読み方を間違えてしまうとその時点で「この人はちゃんと言葉の意味を理解できていない」と思われてしまいます。
誤解を生まないためにも、きちんと読み方も覚えておきましょう。
️「不躾」の使い方
「不躾」という言葉は、どのようなシチュエーションで、またどのような対象に向けて使われるのでしょうか?
せっかく言葉の意味を理解できても、きちんと使い方を身に付けていなければ、いざ自分が使う時に悩んでしまうでしょう。
いざという時におかしな使い方をしてしまわないためにも、ここで「不躾」の使い方について再確認しておきましょう。
対象は相手・自分の両方ある
「不躾」は、相手が対象の時もあれば自分が対象になることもあります。
人に対して使う場合には「あの人のここが不躾だ。」や「あの人の不躾な物言いが気に入らない。」などと、その人の何が不躾なのかをきちんと分かるように言葉にする必要があります。
また、自分に対して使う時にも、自分の何が不躾なのかを相手に分かりやすい言葉で伝えましょう。
どちらが対象であっても、ただ「不躾だ」と言うだけでは、それで何が言いたいのかをいまいち聞き手は理解できません。
それこそそんな乱暴な物言いをするこちらの方がよほど不躾な人間だと思われてしまいますので、対象が相手であれ自分であれ、聞き手にはきちんと言葉の意図が伝わるように言葉を選んで注意して使いましょう。
相手に対して使うとき
「不躾」という言葉を相手に対して使う時、少なからずその言葉には悪意や敵意などの感情が込められることが多いです。
何せ相手に「あなたは不躾だ」と言うことで、つまりは「あなたは礼儀作法がなっていない」と指摘していることになりますので、言われた側は当然良い気分にはならないでしょう。
礼儀作法がなっていないことや、非常識だと人から非難されて何も感じず、平気な人というのはそうはいません。
とくに自分では常識的な人間だと思っている相手に対して「不躾だ」と言えば、「なんて失礼なことを言うのか!」と相手が憤慨してしまうこともあるでしょう。
相手を不躾だと言う時には、ストレートに相手の内面を悪く言ったり、欠けている部分を指摘したりすることになりますので、相手との関係性に少なからず問題が生じてしまう可能性があるでしょう。
相手を咎めるとき
相手が気分を害するのを分かった上で、その人の不躾な部分を指摘することは、すなわち相手を咎めることでもあります。
相手に対して決して悪意を持っているわけではなく、純粋に相手に悪いところを直してもらいたい、もっと良くなってもらいたいと望む場合に「あなたの〇〇なところが不躾だよ。」と伝えることがあるでしょう。
それが例えば上司から部下に向けての叱咤の時もあれば、親から子どもへ向けての愛のムチである時もあります。
「不躾だ」と言われることで、言われた側は少なからず嫌な気分になることでしょう。
しかし、言ってきた相手が自分のことを考えて咎めているのだと気付けば、それは単にこちらを責めているわけではないことを理解できるでしょう。
しかし一方で、「相手のためを思って」というところまでは至らずに、単に自分が嫌なことを言われて気分を害したから、その相手に「今の言い方は不躾だ。」と咎めることもあります。
その場合、もしもお互いに気が強くて頑固ならばそのまま喧嘩が始まってしまうでしょう。
また、「不躾」の意味をきちんと理解していない人が、自分よりも目上の人に対して「〇〇先輩は不躾な物の言い方をしますね。」と言ってしまうこともありますが、これは大変目上の人に対して失礼な行為です。
それこそ目上の人からは、「お前の今の発言こそ不躾だぞ!」と怒られてしまうでしょう。
悪口的な言い方になる
「不躾」は、その言葉の意味自体があまり良いものではありません。
そのためどんなに相手のためを思って口にしたところで、どうしても悪口のような言い方になってしまうでしょう。
ものすごく相手に気を遣った言い方をすれば、「あなたのこういう言い方は不躾だけれども、それもあなたの信念の表れだと言うことは分かっているよ。」というように、言葉の中で相手を褒める部分も付け足せば、悪い意味だけに捉えられることはないでしょう。
しかし、大抵はそこまで相手に気を遣って言い回しを考えることはありませんので、「不躾な言い方をするね。」とストレートに相手に気持ちを伝えて、それが相手には悪口に受け取られてしまうことがあるでしょう。
あなた自身、誰かに「あなたって不躾な態度をとるね。」と言われたら、少なからず「何であなたにそんなことを言われなければならないのか」と不快な気持ちになることでしょう。
自分が不快な気分になるということは、それを言われた相手も嫌な気持ちになるということです。
そのためこちらは悪口を言っているつもりはなくても、相手にはまるで悪口を言われているように思えてしまうことがあるでしょう。
自分に対して使うとき
「不躾」は、自分に対しても使うことがあります。
自分の言動が「無作法だな」と思った時や、発言した後で「今の発言は相手に失礼だったな」と思った時に、「不躾な言い方をしてごめんね。」と謝罪をすることがあります。
「不躾」という言葉自体が礼儀作法や行儀がなっていないという意味ですので、へりくだった表現だとしてもあまり頻繁に自分に対して使っていると、自らの品位を下げることになってしまいます。
そのため、あまり普段からは自分を下げるようなことは言わない方が良いでしょう。
必要に駆られた時や、自分の発言や言動について反省するべきだと思った時にだけ「不躾でした」と使った方がいいでしょう。
また、ネガティブな思考の人や自分に自信がない人、劣等感が強い人も自分に対して「不躾だ」と使うことがありますが、それは周りから見た時に謙遜ではなく卑屈に映ってしまいますので注意しましょう。
目上の人に対しての自分の言動について
「不躾」を自分に対して使う時は、目上の人と話している時が多いです。
目上の人に対して自分の話をする時には、ある程度へりくだったものの言い方をすることがあります。
例えば会社の上司から仕事振りで褒められた時に、「はい、ありがとうございます!」と素直に喜ぶのならばまだしも、「自分でもよくできたと思います。」と返しては、褒めた上司が面食らってしまうでしょう。
そしてせっかく褒めてくれた上司から、今度は「驕りが強いやつだな」と思われてしまいますので、自分が褒められた時には調子に乗らず、褒められたことを謙遜した方が体裁はいいでしょう。
海外ならそのまま素直に調子にのったところで、上司に睨まれることはないかもしれません。
しかし日本の会社の場合には、未だに謙遜や遠慮を美徳とするところがありますので、内心ではその風習をおかしいとは思っても、表面上は無難にその場に相応しい態度を取った方が自分自身のためになるでしょう。
目上の人に対してそうしたへりくだった物言いをする時に、わざと自分を下げて「不躾で・・・」と使うことがあります。
へりくだって使う言葉
日本人は人に褒められた時に、それを咄嗟に否定したり、他のもっと優れたものを引き合いに出して自分の功績をわざと下げたりすることが多いです。
例えば自分の子どもに対してママ友が「〇〇くんは勉強がよく出来て優秀ですね。」と褒めたなら、反射的に「いいえ、うちの子は勉強以外にとりえが無くて・・・」と褒められた内容を否定します。
その後で続けて「それよりもお宅の子の方がスポーツ万能で羨ましいですよ~」とママ友の子どもを持ち上げることが多いでしょう。
相手の親は、何も結果的に自分の家の子どもを褒めて欲しくてママ友の子どもを褒めたわけではありませんが、日常会話の中ではこうして自分が褒められた内容を否定して、さらに相手の方を褒めるというやり方が当たり前に見られます。
それ自体をおかしく思う人もいますが、昔から日本人は自分や自分の身内に対しては周りにへりくだる傾向が強いです。
「不躾」を自分に対して使うのも、そうした傾向が顕著に表れていると言えるでしょう。
そうでなければ、わざわざ「自分は礼儀作法がなっていません」などと周りに言う必要はないのですから。
しかし人から褒められればほぼ反射的にへりくだってしまうため、とくに上司に対しても「不躾な物言いですみません・・・」と怒られてもいないのに自らへりくだった言い方をすることがあります。
他人から言われたら…
「不躾」を他人から言われた場合、それには2つの意味があります。
1つは誰かの悪口で、もう1つは誰かに対する説教です。
先にもご紹介したように、「不躾」という言葉には「礼儀作法がなっていない」という意味がありますので、それをそのまま誰かに対して使えば、言われた側は「自分が悪口を言われている」と思ってしまっても仕方がないでしょう。
そのまま悪口として使われることもありますが、時には単なる悪口ではなく、愛のムチやお説教のつもりで相手が言ってくることもあります。
例えば上司が部下に「お前の言い方は不躾だからもう少し柔らかい言い方をしろ。」と怒られたなら、それは悪口ではなく上司からの指導でしょう。
一方で、本人のいないところで「あの人って不躾な言い方するよね~」とこそこそ言っている場合には、お説教でも指摘でも何でもなく、悪口で言っているのでしょう。
明らかにお説教か悪口かの意図が理解できる場合には、自分の理解したままに受け取れば良いでしょう。
しかし、場合によっては「これは悪口なのかそれともこちらのことを思って言っているのか」分からないこともあります。
その場合にはいちいち相手に意図を確認することなどできないため、自分が何となくの印象で受けた意味で理解するしかありません。
また、自分は相手のためを思って言ったつもりが、相手には悪口だと受け取られてしまうこともありますので、言い方や表情なども重要でしょう。
️「不躾」の例文
「不躾」を使った例文にはどのようなものがあるのでしょうか?例文をいくつか知っておくことで、いざという時の使い方の参考になるでしょう。
例文の通りに使う必要はありませんが、シチュエーションによってはこのような言い方をすることがあるということを理解しておくと、便利に使いまわしができるでしょう。
例文1「不躾ながら、これから御社へ訪問させていただいてもよろしいでしょうか?」
例えば電話で取引先の会社とやり取りをしている時に、話の流れで相手の会社へ行きたいと思い、お願いをする際にこのような言い回しをすることがあります。
元々取引先の会社へ行くことが決まっていたのであれば、「不躾」と言う表現をする必要はありません。
この場合には、前もって約束をしていたわけではなく、突然これから相手の会社へ伺いたいという提案をしているため、「何の事前約束もなくこのような無礼な提案をしてしまって申し訳ありません。」という気持ちを込めて「不躾ながら、」と使っています。
この一言があるかないかで、相手の受け取り方は大きく変わってきます。
もしも「不躾ながら」の言葉がなく、突然そちらの会社へ行きたいと頼まれたなら、「なんて失礼な相手なんだ」と憤慨してしまうかもしれません。
しかしその一言を伝えることで、「突然会社に来たいだなんて何か大事な話があるのかな。」と相手は冷静に言葉を受け取ることができるでしょう。
例文2「その不躾な態度をどうにかしないとこの先苦労するよ。」
例えば友人と過ごしている時に、友人の不躾な態度を見かねてこのように注意をすることがあるでしょう。
その友人が食事の際に食べながらスマホを弄っていたり、人が真剣な話をしている時にだらしない格好で明後日の方向へ顔を向けていたりと、あまりに失礼な態度を取っていたのであれば、一人の友人として相手に忠告をすることがあります。
その相手は、自分を友人だからと油断して、そのようにだらしのない態度を取っているのかもしれません。
しかし、自分に対してそんな態度を取るということは、同じく仲の良い友人に対しても同じような態度を取っているのかもしれません。
「親しきなかにも礼儀あり」で、いくら友人だからといってあまり不躾な態度を取っていると、その内周りの友人たちは離れていってしまうかもしれません。
そうしたら友人が気の毒だと思い、友人のためを思って忠告しようという気持ちから例文のように言うことがあるでしょう。
例文3「あの人は自分が下に見ている相手には不躾な態度を取る。」
自分が見下している相手に対しては、不躾な態度を取る人っていますよね。
そんな人を非難する際には例文のように使うことがあります。
心根の優しい人であれば、自分よりも弱い立場の人間や劣っている人間に対して、見下す気持ちよりも守ろうとしたり、心配したりする気持ちがわいてきます。
そして弱者を守ろうとして行動することも珍しくはないでしょう。
一方で自分よりも弱い立場の人間を見下す人は、上にはいい顔をして下には偉そうな態度をとる人が多いです。
同じ人間として見ればそこには何も優劣もないのに、見た目や仕事の能力、生活環境などで他人と自分を比較して、自分よりも下だと思う相手に対しては横柄な態度を取ります。
そんなふうに相手によって態度を変える人は不躾な人が多いため、例文のような悪口を言われることがあるでしょう。
️「不躾」の言い換え
「不躾」を他の言葉に言い換えた時に、どのような言葉があるのでしょうか?
その場のシチュエーションによっては他の言葉に言い換えた方が、都合が良かったり、聞こえが良かったりすることもあります。
場面ごとで言葉を使い分けることができるように、以下に「不躾」の言い換えの言葉をご紹介していきます。
無作法
「無作法」とは、「礼儀作法に外れていること」です。
人の家の敷地内に勝手に足を踏み入れたり、人の食べているものに「一口ちょうだい」と許可なく手を出したりと、礼儀や作法がまったくなっていない人に対して使う言葉です。
そもそも作法自体が人に対して使う言葉ですので、無作法も作法がなっていない人に対して用います。
礼儀知らずな人や常識のない人、明らかに作法がおかしな人などに対して「無作法だ」と言うことがあるでしょう。
無礼
「無礼」とは礼儀がなっていないことです。
例えば初対面の人に出会ったら、軽く会釈をしたり言葉で挨拶を交わしたりするでしょう。
しかしそれをせずに相手を無視する人は礼儀がなっていないため、無礼な人と周りからは見られるでしょう。
また、仕事で取引先の人に電話をする際に、最初の一言目に「お忙しいところ申し訳ありません。」や、「少しお時間よろしいでしょうか?」などと、相手の都合を確認しますが、それをせずにいきなり用件を喋り出したり、相手の都合を聞かずに自分が時間を気にせず話したりする人も、無礼な人と言えるでしょう。
無礼な人は、相手に対する礼儀や配慮、気遣いの心などが欠けています。
そのため周りの人に知れず迷惑をかけたり、または嫌がられたりすることがあるでしょう。
「不躾」も無礼と同じ意味ですので、言い換えて使うことができます。
失敬
「失敬」とは、「人に対して礼を失した振舞いをすること」です。
失礼や無礼とも同じ意味があります。
時々小説やドラマの中で「失敬だなきみ!」とある人物が他の誰かに怒りをあらわにしているシーンがありますが、それは相手の無礼な振舞いに対して、憤慨している様子を表現しています。
現実ではこのように「失敬だな!」と怒るようなことはほとんどありませんが、内心では相手に対してそう思うことはあるでしょう。
無礼や無作法よりも使う機会の少ない言葉ですが、「失敬」も「不躾」の言い換えとして使うことができます。
不行儀
「不行儀」とは、「行儀が悪いこと」や「無作法なさま」という意味です。
あまり日常会話の中で用いられる言葉ではありませんが、これも「不躾」と同じ意味を持っています。
行儀の良し悪しは、その人の行動を見ていればすぐにわかります。
例えば電車の中で両足を大きく開いて座っている人がいれば、その人は不行儀な人でしょう。
また、誰もが当たり前に足を組んで椅子に座りますが、本来であれば足を組んで座るという行為も不行儀な行いでしょう。
行儀がいい人は立ち振舞いも美しく、きちんとしています。
育ちが良さそうだったり、教養がありそうだったりする人は、大抵見た目の行儀がいいため周りからの印象も良いことが多いです。
一方で不行儀な人の振舞いは、育ちが悪そうだったり、知性や教養を感じさせなかったりするため良い印象にはならないでしょう。
非礼
「非礼」とは「礼儀に背くこと」です。
無礼とほぼ同義で、礼儀のない人に対して使われる言葉です。
非礼な人は振舞いや態度、また発言で他人を不快にします。
人をバカにするようなことを言ったり酷い態度を取ったりする人とは、誰も関わりたいとは思わないでしょう。
また、非礼な人は自分で非礼だということを自覚していないことも多いです。
それを他人に指摘されると、「そうか自分は非礼なのか」と素直に受け入れるよりも、「誰が非礼だ!非礼はそっちだろ!」と認めずに剥きになることも多いでしょう。
️「不躾」の意味を覚えておこう
「不躾」は、あまり普段使いをされる言葉ではありません。
しかし、使う機会が少ないからといってその言葉の意味や正しい使い方を理解していないと、もしもその言葉を使う場面が訪れた時に、誤った使い方をしてしまったり、意味をはき違えてしまったりして、恥をかいてしまいかねません。
使わないから知らなくてもいいということではなく、いつか使う日がきたときには当たり前のようにその言葉を使いこなせるためにも、予め「不躾」の言葉の意味や使い方について覚えておくことが大切でしょう。