このような行為は、そのもともとの担当者からみたら出しゃばり者!と思ってしまうものです。
しかし、そこで「僭越ながら」という枕詞をつけておくことによって「出しゃばってすみません」という意味も含まれるので、少しやんわりと相手も受け取ってくれることになります。
「僭越」という言葉は、その後の人間関係を円滑にする役割もあるということなんですね。
僭越ながら、私がご挨拶させていただきます
この文章は「身分をわきまえていないのはわかっていますが、私が(誰かに代わって)挨拶をさせていただきます」という意味になりますね!
もう意味をお伝えしなくても「僭越」という言葉から、どのようなことを伝えたいとしているのか想像できたのではないでしょうか?
この文章をもっと詳しく見てみると、「私」というのは本当はあいさつする立場ではありませんでした。
でも、ほかに挨拶する人もいない、いたとしてもやる気配がないとなると出しゃばってでも挨拶しておこうということになったんですね。
どんなときでも出しゃばった行動をビジネスシーンなどで行うときに「僭越」という言葉を使っておけば間違いはないでしょう。
スピーチやビジネスで使う場合の注意点
これまでに「僭越」という言葉の意味、そしてどのようなシーンで使うのか、さらにはその言葉の意味の理解を深めるためにどのようなシーンで使うべきなのかについてなどなど、いろいろな角度からこの言葉をご紹介してきましたね。
いろいろな角度から確認してきたので、すでに「もうこの言葉に関してはバッチリだわ!」と感じている人もいるかもしれません。
しかし、そのように自信を持つのは少し早いです。
スピーチやビジネスシーンにおいて、「僭越」という言葉を使うときには必ず気を付けてほしい点があります。
それはどのようなことなのかをチェックし、実際に「僭越」という言葉を使うときにはその注意点に気を付けるようにしてくださいね。
1.嫌味に聞こえないように
「僭越」というのは“へりくだった言い方”でしたね。
しかし、人の言い方やそのあとに続く本当に伝えたい事項や気持などによっては、「嫌味」に聞こえてしまうことがあります。
本当は自分はとても身分が高いし、それに社会的に成功しているのにわざわざ「僭越」という言葉を使うことはないんです。
そのようにそれなりの地位についているのにへりくだった使い方をすると「この人はわざとそうやっているのか?」なんて多くの人に思われ、嫌な人として見られるようになります。
そのようなちょっとしたところで判断され、その後の仕事に影響することもあるので絶対に嫌味に聞こえないように使うようにしましょう。
基準としては、ほかのだれかがあなたが使おうとしていたように「僭越」という言葉を使っていたのであれば、どのように思うのか第3者の目線を忘れないようにしてください。
2.多用しない
「僭越」という言葉をしると、どうしてもその言葉を多用してしまいますよね。
しかし、この言葉は多く使うべきではありません。
そりゃあ日常生活において自分を謙遜したい時もあるでしょう。
そのようなときには、わざわざ「僭越」という言葉を使うのではなく、別の言葉で代替するようにしてください。
「僭越」という言葉を知っている人は知っていますが、知らない人は知らないんですよね。
そのため、「僭越というような難しい言葉をわざと使っているのかもしれない」「お高い人だ」「プライドが高いのかもしれない」なんて思われることも。
そんなときには、さきほどお伝えした“僭越の代替語”を活用するようにしましょう。
それだけでさらに柔らかく伝えることができるので堅い人に見られませんし、相手からも少しでも印象をよくすることが可能です。
3.ふさわしいシーンを選ぶ
これまでの文章の中で「僭越」という言葉はどのようなシーンで使われるべきなのかについてもお伝えしてきましたよね。
スピーチやビジネスシーンなどにおいて、とのことでした。
しかし、新しい言葉を知った人は特にイビジネスシーン以外のプライベートなシーンで使ってしまったり、さらには本当は自分のほうが身分が上なのにそれを誇張するように「僭越」という言葉を使う人がいます。
それだと先ほどもお伝えしたように、人に対していやな思いをさせることになります。
しっかりと、「ここで使うべきなのか」と判断するようにして、そしてその「僭越」という言葉を使うようにしましょう。
そこで“大人の考え方”“思考力”が見られているんですよ。
注意点をしっかりおさえておこう
今回は「僭越」という言葉についてご紹介してきました。