ビジネスの場や、目上の人に対する挨拶などで「平素は格別のご贔屓にあずかり、誠にありがとうございます。」と伝えることがあります。

かしこまった場面ではこのような丁寧な話し方をするものですが、こうした言葉の正しい意味や使い方について、きちんと理解出来ている人は実はそこまで多くないでしょう。

特に「ご贔屓」という言葉の意味をしっかりと理解しておかなければ、正しい使い方や他の言い回しをすることも出来ませんので、この機会に「ご贔屓」について理解を深めておきましょう。

「ご贔屓」とは?

「ご贔屓」は、「贔屓」に接頭語の「ご」がついたものです。

ビジネスシーンや目上の人に対して用いる際には「ご贔屓」と丁寧な言い方をしますが、普段は「贔屓」または「ひいき」と使うことの方が多いでしょう。

子どもの頃から、「〇〇ちゃんばかりひいきされてずるい!」「〇〇は先生から贔屓されている」などと贔屓という言葉をよく使ったり、聞いたりする機会はあったことでしょう。

贔屓という言葉自体は小さな子どもでも知っていますが、子どもの頃には恐らく悪い意味として使われることの方が多かったことでしょう。

しかし大人になると一変して、贔屓を良い意味として使う機会の方が多くなります。

良い意味としても悪い意味としても使われる贔屓とは、本来どのような意味があるのでしょうか?まずは贔屓の意味からご紹介していきます。

意味


贔屓とは、「気に入った人をとくに目をかけて世話すること」や「気に入った者をとくに可愛がること」です。

これは贔屓をする側としての意味であり、贔屓をされる側の意味としては「目をかけて世話をしてくれる人」「パトロン、後継者」となります。

贔屓は本来自分が目をかけている人を可愛がる、または可愛がられるという意味ですので、言葉自体は悪い意味ではありません。

しかし誰かが誰かを贔屓した時に、それを第三者が「ずるい」「何であの人ばかり」と感じることがあると、贔屓が悪い意味を持って使われることになります。

個人的に贔屓をするのであれば問題はなくても、全員に対してなるべく平等に接するべき立場の人が、特定の相手に対してだけ贔屓をしてしまうと、このような第三者の不満が募ってしまいやすく、贔屓をする側やされる側に対して嫌悪感や不信感を抱いてしまうことがあります。

気に入った人を特に引き立てること

贔屓とは、気に入った人を特に引き立てることです。

例えばある会社の社長が、自分の身内の社員だけに特別なボーナスを与えたり、昇進させたりすることがあればそれは身内贔屓になるでしょう。

また、部下のミスに厳しい上司が、自分のお気に入りの部下がミスをした時だけはたいして怒らないのも贔屓でしょう。

贔屓はされている側は無自覚なことがありますが、第三者から見た時には贔屓をしている人とされている人との関係性は一目瞭然です。

贔屓とはそれだけあからさまに特定の人物に対してだけ態度が変わりますので、誰かがえこひいきをされていれば、それを不満に思う人が表れても仕方がないでしょう。

とはいえ、贔屓は本来悪い意味ではありません。

例えば才能を見抜く目を持った人が、「この人物は大物になる」と思った人物を特に引き立ててあれこれと世話を焼くことで、結果的にその人物が大きく成長し、立派な人格者になることもあります。

見る目が確かな人が贔屓をすれば、された人は今よりも大きく成長出来ますので、「贔屓されてちょっと得をした」のではなく、「贔屓されたことが人生の大きな機転となった」となることもあるでしょう。

後援すること、また引き立てる人

贔屓には、目をかけた人物を後援したり、引き立てたりするパトロンのような意味も含まれています。

自分が気に入った人物には、出来るだけ良い思いをさせてあげたいと思うものですので、何かチャンスがある時には贔屓の相手を引き立てようとするでしょう。

それでその人物が良い意味で目立ってくれれば自分も嬉しいですし、期待に応えてくれればもっとその人物を支援してあげたいと思うでしょう。

贔屓は見る目を持つ人が、冷静に人財を判断して引き立てることもありますが、大抵の場合には個人的な「お気に入り」の感情から特定の人物を贔屓することが多いです。

そのため贔屓される人物は常に優秀というわけではなく、単にコネがあるだけだったり、人に取り入るのが上手いだけだったりすることもあり、何の能力も持たない人も中にはいるでしょう。

そんな才能のない人物が贔屓されることは、やはり第三者からすれば気分が良くないこともあるでしょう。

語源

贔屓とは、元々どのような語源をもつのでしょうか?贔屓の「贔」は、漢字の通り貝を三つ合わせて重い荷を背負うことを表しています。

また「屓」は鼻息を荒くする、力を込めることを表わしていますので、その二つの漢字から「特定の人を助けるために力を入れる、目をかける」という意味になったとされています。

自分が目をかけたり、力を入れたりするくらいに特別な相手ということですので、他の人との扱いに差があるのも仕方がないと言えるでしょう。

また、元々漢字音では「ひき」と言っていましたが、現在では長音変化して「ひいき」となっています。

漢字は少し難しいため、普段はひらがなで表現されることが多く、特に子どもの内はひらがなでしか用いることはないでしょう。

「ご贔屓」の類語や関連語


「ご贔屓」は、自分がとくに目をかけた相手の世話を焼いたり、特別扱いをしたりすることです。

ほとんどの場合、贔屓する相手には優しくしたり、褒めたり、特別な立場や褒賞を与えたりと、相手にとって良いことをしてあげます。

時には相手に目をかけているからこそ、わざと厳しく振舞うこともありますが、単に自分が気に入っているからという場合にはまず贔屓する相手に厳しく接することはないでしょう。

そんな贔屓という言葉の意味と、近い意味を持つ類語や関連語もあります。

知っておくと贔屓という言葉以外でも会話の中で用いることが出来ますのでこの機会にどのような関連語があるのか知っておきましょう。

1.認める傾向

「贔屓」は自分が特別に誰かを認めたり、気に入ったりすることです。

そのため個人的に認めた相手に対して、あれこれと世話を焼くことですので、特定の相手の才能や能力、手腕などを認める傾向があります。

そうした相手を認める傾向という意味では、以下の言葉が類語として挙げられます。

愛顧

愛顧とは、「目をかけて引き立てること」です。

「贔屓」の場合には贔屓をする側もされる側も、どちらも言葉を使うことが出来ます。

一方の愛顧は、贔屓される側からいう言葉ですので、自分が贔屓している相手に対して、「あなたを愛顧している」とは言いません。

贔屓される側の人が、「ご愛顧ありがとうございます。」と言うのが基本です。

この愛顧という言葉は、あちこちで使われる機会があります。

例えばよく行くスーパーのチラシに、「日頃のご愛顧を感謝申し上げます。」と書かれていることがありますし、またビジネスメールなどの文末にも「今後とも、末永くご愛顧賜りますよう、お願い申し上げます。」と書かれていることがよくあります。

一般的に贔屓の意味で言葉を用いる時には、直接「ご贔屓ありがとうございます。」と使うよりも、「ご愛顧感謝申し上げます。」と使うことの方が多いでしょう。

それはひょっとしたら、贔屓では相手が悪い印象を持ってしまうかもしれないというリスクがあり、それを避けるために愛顧の言葉を用いるようにしているのかもしれません。

どのような理由からであれ、それだけ一般的には贔屓よりも愛顧の言葉で用いられることが多いです。

引き立て

「引き立て」は、「とくに目をかけて贔屓にすること」です。

特定の目をかけた人物には、あれこれと世話を焼き、また必要な場面では全面に押し出して周りの人たちへもアピールするため、そうした行為から引き立ては贔屓の類語とされています。

例えば部活で才能のある生徒を監督が引き立ててキャプテンにしたり、チームの代表にしたりすることはよくあることでしょう。

それが周りも納得するような贔屓の内容であれば問題にはなりませんが、もしも才能も実力もない生徒を監督がやたらと引き立てようとしたなら、それは「裏のある贔屓ではないか」と他の生徒たちは誰もが感じることでしょう。

引き立ては本来、周りから特別に秀でた人物や、将来性のある人物に対して行われる行為です。

それが誰もが納得出来ないような引き立ての場合には、「単なるえこひいきだ」と誰からも思われてしまうことでしょう。

2.定期的に来る顧客

定期的に自分の店や会社に来る顧客は、例え他の店や会社も利用していたとしても、いつも自分のところを気に入って利用してくれていることになります。

それは顧客からすれば自分の店や会社を贔屓にしてくれているということですので、「常連」や「クライアント」「お馴染み」などの言葉も贔屓の類語として扱われることがあるでしょう。

顧客は数ある店や会社の中から、わざわざいつも自分のところを選んで通ってきてくれているのですから、それだけ顧客にとっては自分の店や会社が、「贔屓したい存在」だということでしょう。

接客や営業の仕事の場合、顧客は自分のところに何かを期待して定期的に訪れてくれているのですから、贔屓される側としても出来るだけその期待に応えようと努力しなければなりません。

その努力を感じとるからこそ、顧客の贔屓は途切れずに続き、互いの関係性は保たれているのでしょう。

常連

「常連」とは、「特定の興行場、遊技場、飲食店などにいつも来る客」「常客」を意味する言葉です。

店や会社で働いていれば、「〇〇さんはここの常連だよね」や「あの常連客今日も来てるね~」などと、日常的に常連という言葉を使うことがあるでしょう。

「贔屓」の類語ではありますが、同じ意味でも「あの人、ここの贔屓だよね。」と使うことはあまりないでしょう。

常連の方が一般的な会話で使いやすい言葉ですし、言葉のイメージも気軽なので顧客側も店側もどちらも安易に使うことの多い言葉でしょう。

ただし店や会社側が、よく来る顧客に対して挨拶する際には、「常連」という言葉は用いずに、「いつもご贔屓にしてくださり感謝致します。」と「贔屓」の言葉の方を使います。

顧客側が自分を常連だと自称するのはおかしなことではありませんが、店や会社側が顧客に対して「常連ですね」と使うのは失礼にあたりますので、基本的には常連ではなく贔屓の言葉で用います。

クライアント

仕事をしていると、よく「クライアントから受注を受けた。」や「〇時からクライアントと打ち合わせがある。」などと口にすることがありますよね。

このクライアントという言葉は、日本語で得意先や顧客を意味します。

得意先とは、いつも自分の会社を贔屓にしてくれている業者や取引会社を表わす言葉であり、また顧客は自分の会社を贔屓にしてくれる客を表わします。

飲食店などの場合には「お客」や「常連客」などと用いるのが一般的ですが、会社の場合には「顧客」「お得意様」などと用います。

「お得意様」と言われた方も自分を特別扱いしてくれているような気持ちになりますので、良い気分でいつもその会社を利用することでしょう。

「得意先に挨拶に行ってきます。」や「顧客と打ち合わせに入ります。」など、日本語でも問題なく使えますが、最近では「クライアント」という言葉を用いる会社員も多いです。

お馴染み

「お馴染み」は「馴染み」の美化語です。

「慣れ親しんで知っている人」という意味ですので、互いの関係性がそれなりにある時に用いられることが多いでしょう。

例えば店に長年通ってくれているお客を他のお客に紹介する時に、「この人はうちの店の馴染みなんだ。」と言えばそれで常連客なのだということが相手には伝わります。

また、単に常連という言葉を用いるよりも、お馴染みと言った方がより相手への親しみがわきますし、互いに親密さを確認することも出来るでしょう。

ビジネスシーンや公式の場ではほとんど用いられることのない言葉ですが、丁寧過ぎないその言葉は親しさや距離の近さを感じさせるため、互いに「お馴染みですね」と使うことでより親しい関係性を保つことが出来るでしょう。

3.連想される言葉

「贔屓」という言葉を聞くと、上司から部下へ、また教師から生徒へというように、上の立場の人から下の立場の人へと贔屓がされる様を想像する人は多いでしょう。

実際に上司が特定の部下を贔屓するのはよくあることですし、また教師がお気に入りの生徒だけを贔屓することもよくあります。

しかし贔屓とは、何も立場が上の人が下の人に対してのみ行われるわけではありません。

友達同士でも贔屓は存在しますし、身内内でも贔屓はあるでしょう。

そうした立場に関係なく、特定の人に対して行われる贔屓から連想される言葉には、どのようなものがあるのでしょうか?以下に挙げていきます。

助手

助手は元々「仕事の手助けをする人」という意味です。

しかし最近では、立場に関係なくある人の手伝いをする人のことを助手と呼ぶようになっていますので、贔屓をした相手に対してあれこれと世話を焼くことから、助手も連想される言葉の一つになっています。

贔屓をする人は、その対象となる人に対して少なからず相手のためになる行動を取ります。

例えば贔屓している部下の有給申請だけを快く受理したり、目をかけているバイトの給料だけを少し多めに払ったりと、何かしらの行動に表していることがほとんどです。

言葉で他の人たちとの差別化を図ることもありますが、試験の際には間違っている部分にあえて丸をつけたり、特定の相手にだけ飲み物を奢ったりと、やはり行動としても贔屓を示すことが大半でしょう。

そうした贔屓する相手への行動が、例えば会社のスポンサーになるような大きな手助けの場合には、人によってはまるで助手のような働きをせっせとする人もいることでしょう。

援軍

「援軍」には「加勢の仲間」という意味があります。

大袈裟に聞こえるかもしれませんが、特定の人物の手助けをすることが援軍ですので、その意味では贔屓から連想される言葉と言えるでしょう。

援軍という言葉にもなると、贔屓する人物を助けるための行動も大きなものが連想されます。

例えば後援会の会長として贔屓する相手を最大限にバックアップしたり、金銭面の援助を惜しまなかったりと、単なる贔屓とは言えないほどに、かなり自分の資産や時間を相手のために活用する人に対しては援軍が相応しい言葉でしょう。

一人でそれだけ大きな援助が出来れば一人でも「援軍」と称することが出来るでしょうし、また一人ひとりの助けは些細でも、贔屓する相手を手助けする人数が多ければそれもまた援軍になるでしょう。

理解者

贔屓する人とされる人との関係が親密であるのなら、贔屓をされる人にとって自分を贔屓してくれる人は、良き理解者であることでしょう。

頼んでもいないのに一方的に贔屓をされ、それで周囲の人間関係に悪影響を及ぼしてしまう場合には、贔屓される人は自分に目をかけてくれることを嬉しいとは感じないでしょう。

しかし、目をかけてあれこれと世話を焼いてくれることで実際に自分も助かっているのであれば、贔屓される人は自分を引き立ててくれる人に感謝の気持ちを抱きますし、同時に心を開くでしょうから、互いに良き理解し合う関係を築くことが出来るでしょう。

贔屓と聞くとあまり良くないイメージを抱く人も多いですが、互いの関係性がしっかりとしていれば、贔屓による行動はお互いのためになるでしょう。

「ご贔屓」のビジネスでの使い方や返し方

「ご贔屓」という丁寧な言い回しは、主にビジネスシーンや公の場で使われるのが一般的です。

しかし、その言葉がビジネスシーンで使われることを知ってはいても、実際に使いこなすことが出来なければあまり意味はないでしょう。

見るとやるはまったく違うように、「ご贔屓」を知ってはいても実際にそれを使えなければ、適切な場面で相応しい言葉を選んで使うことが出来ませんし、「こんな言葉も使えないのか」と上司に叱られてしまうこともあるかもしれません。

実際に丁寧な言い回しが出来て初めて、それを聞く相手もこちらが社会人としての教養やマナーをきちんと備えていることを理解しますので、「ご贔屓」をいつでも使いこなせるように日頃から練習しておきましょう。

ビジネスシーンでどのように使えばいいのか、また「ご贔屓」を言い換えるならどのような言い回しをするのかなどを以下にご紹介していきます。

例文

「ご贔屓」をどのように使えばいいのか分からない時には、例文の使い方をそのまま覚えておくと、間違った使い方をするリスクを減らすことが出来ます。

例文では日頃からよく使われる内容をまとめましたので、場合によってはそのまま使うことも可能です。

例文を覚えてどんなふうに使えばいいのかを理解したら、自分でも積極的に使っていきましょう。

使う機会が多ければ、それだけ使いこなすのも早くなるでしょう。

ご贔屓いただきますようお願い申し上げます

この例文では、簡単に言うと相手に対して「今後も贔屓してください」とお願いしています。

以前からの契約関係にある会社とのやりとりの場合には、今後もこれまで同様に自分の会社と契約関係を続けて欲しいというお願いの気持ちを込めて、文末に一言添えることがよくあります。

いつも自分の会社と取引してくれる会社や顧客は、自分たちの会社にとっては逃がしたくない大切な存在です。

それらの相手に対して、図々しく感じさせない程度に今後の関係もお願いする際には、「今後とも、ご贔屓いただきますようお願い申し上げます。」と丁寧な言い回しをすることがあります。

ご贔屓にあずかり、誠にありがとうございます

いつもお店や会社を利用してくれる顧客に対するお礼の言葉として、「いつもご贔屓にあずかり、誠にありがとうございます。」と使うことがあります。

いつも自分のところを利用してくれる大切な常連に対して、「いつもうちを使ってくれてどうもありがとう」という感謝の気持ちを丁寧な文章として言い表してありますので、言われた相手も良い気分にはなっても、悪い気分にはならないでしょう。

「ご贔屓」という言葉には「常連客」のニュアンスが込められていますので、顧客も「自分は常連だと向こうは分かっている」と理解出来て満足になることが多いです。

常連客の中には自分が常連であることを店や会社に分かっていてもらいたいと考えている人も多いです。

そうした人の自尊心を満足させることで、その後も贔屓をしてもらうことに繋がるでしょう。

長らくご贔屓にしてくださいまして、ありがとうございます

老舗のお店や会社の場合、何十年と自分のところを使い続けてくれている顧客も少なからずいるでしょう。

そうした顧客に対するお礼の言葉として、「長らくご贔屓にしてくださいまして、ありがとうございます。」と使うことがあります。

ちょっとした常連客であれば、「いつもご贔屓くださりありがとうございます。」の一言だけでも済みますが、何年何十年と利用し続けてくれている顧客は店や会社にとっては貴重な存在ですので、通常の贔屓客とはまた一線を引いた言葉選びをする必要があるでしょう。

末永くご贔屓を賜りますよう、お願い申し上げます

例えば初めて自分の会社に訪れて顧客となってもらえた人に対して、今後の長い付き合いを願う形として、「末永くご贔屓を賜りますよう、お願い申し上げます。」と使うことがあります。

自ら「贔屓してください」とお願いをするのは図々しい気がするかもしれませんが、このように丁寧な言い回しをされれば、顧客はさして気にならないものです。

「この先長くお付き合い出来ますように」という気持ちを丁寧な言葉にしていますので、新規の顧客に関してはよく使える言葉でしょう。

相手が目上である時には

「贔屓」という言葉を用いて文章を作る時には、必ず気をつけなければならない点があります。

それは自分と相手との関係性です。

自分が相手と対等もしくは自分の立場が上の時には、さして気にせずに「少しは贔屓してよ」や「贔屓しているからね」などと使うことが出来ますが、立場が変われば言葉の使い方もがらりと変わります。

それを知らずに使っていると、相手が憤慨したり誤解を与えてしまったりすることになりますので、相手との立場の違いをきちんと把握した上で贔屓という言葉を使っていきましょう。

相手が自分よりも目上の立場の場合には、当然ながら敬語を使う必要がありますので、「贔屓」もそれに合わせて言葉を変化させましょう。

必ず「ご」をつける

相手が目上の場合には、必ず接頭語である「ご」をつけて、「ご贔屓」と使います。

間違えてそのまま「贔屓」と使ってしまうと、贔屓して欲しいという内容の言葉を伝えた際には「なんて図々しいやつだ」と思われてしまいかねません。

元々贔屓をお願いすることはやや無遠慮なことでもありますので、目上の人に目をかけてほしい時には丁寧な言葉遣いをする必要があります。

「今後ともご贔屓のほど、何卒お願い申し上げます。」などのきちんとした敬語で伝えれば、目上の相手も不快になることはないでしょう。

相手が目上ならば必ず「ご」を付けることを忘れないように注意しましょう。

言い換える時

「ご贔屓」は言い換えることが出来ます。

これまでにも類義語や連想される言葉をご紹介してきましたが、それらの言葉を使うことでも「ご贔屓」と同じ意味として用いることが可能です。

では、例えば「ご贔屓くださいますよう」といった言い回しをする際には、他にどのような言い替えが出来るのでしょうか?

以下に挙げていきますので、機会を作ってぜひ使ってみてください。

お引き立てを賜りますよう

「引き立て」は贔屓をすることです。

また「賜る」は目上の人からものなどを頂戴することを意味しますので、2つを合わせて使うことによって、目上の人から贔屓をして頂きたいという気持ちを表す言葉になります。

そのため、さらに分かりやすく言い換えるのなら「どうかご贔屓をして頂きますよう」となります。

それをそのまま伝えてしまうと多少のいやらしさが出てしまいますので、もっと丁寧な言い回しとして「お引き立てを賜りますよう」となっています。

贔屓をお願いする立場であっても、これだけ丁寧に言えば、目上の人もとくに嫌な気持ちになることはないでしょう。

ご愛顧賜りますよう

「ご愛顧」は目をかけて引き立てることですので、それを目上の人にお願いする際には「ご愛顧賜りますよう」と言うことがあります。

どうしても「贔屓」という言葉に嫌なイメージを抱いてしまう人や、もしくは言われた相手に嫌なイメージを抱かせたくない時には、この「ご愛顧」を用いた方が無難でしょう。

実際にあちこちのお店で顧客に対する感謝の文章を見つけた時には、「ご贔屓」よりも「ご愛顧」が使われていることが多いため、相手がどのような受け取り方をするのか分からない時には、「ご愛顧」と使っておいた方がいいでしょう。

ビジネスで「贔屓」されやすい人の特徴

あなたの周りに、上司や取引先から贔屓されやすい人はいませんか?

たいして能力もないのに何故か上司から気に入られていたり、もしくは実力があるために上司から目をかけてもらっていたりする人が少なからずいることでしょう。

そうした贔屓されやすい人には、そうでない人と比べてどのような特徴がみられるのでしょうか?

おべっかや世辞の上手い人

口が上手い人は、おべっかや世辞も上手です。

わざとらしさを感じさせない程度に上司や取引先の相手、また同僚などを上手に持ち上げるので、相手の懐に難なく入り込みますし、気に入られやすいです。

一度上司に気に入られてしまえばいわば「虎の威を借りる狐」状態になりますので、仕事が出来なくても社内で堂々としていたり、自分だけ美味しい思いをしたりすることがあるでしょう。

仕事が優秀な人

本当に実力がある人も、当然ながら上司の目を引きますので、それだけ目をかけてもらいやすいでしょう。

上司の手助けを受けて順調に出世の道を歩んでいく人もいますし、上司から余計なお節介をされることが反対にストレスになって、贔屓されることを内心では嫌がっている人も中にはいるでしょう。

仕事が出来るということは、良くも悪くも人から注目されますので、求めれば贔屓してもらいやすいですが、求めてもいないのに贔屓したがる人に近づかれることもあります。

「ご贔屓」を正しく使おう

「ご贔屓」は、正しく使わなければ相手にとんでもない誤解を与えてしまったり、怒らせてしまったりする言葉です。

どんなに丁寧な言い回しをしたところで、要は自分が相手に贔屓して欲しいという気持ちを伝えることですので、出来るだけ相手が不快に思わないような言い方をすることがとても重要です。

正しく使いこなすことが出来れば相手と良好な関係を保ち続けることも出来ますので、しっかりと言葉の意味や使い方についてマスターしておきましょう!