搾取という言葉は、ある一定の人たちには、ある種のノスタルジーを感じさせる言葉です。

60歳以上で学生運動の時代と大学時代がかぶっている人たちです。

そのころは今では考えられないほど左翼陣営の強い時代でした。

学生たちはマルクス・レーニン主義をどう解釈するかによって、さまざまなセクトに別れ、それぞれ盛んに活動を行っていました。

そのうち政治活動よりセクト間の内ゲバの方が目立つようになり、運動は下火になります。

しかし左翼学生はもちろん、そうでない学生にとってもマルクス・レーニン主義は大きな影響力を持っていました。

搾取とはその理論の中心にあった概念です。

資本家が労働者を搾取している、資本家を倒し、労働者を搾取される状態から解放しなければならないという主張でした。

これは正義感にあふれた当時の青年の心に、強くアピールしたものです。

しかしマルクス・レーニン主義の目指した搾取のない理想の共産主義社会は、実現しませんでした。

共産主義を標榜していたソ連が、実にズッコケた独裁国家であった影響もあったでしょう。

また日本では資本家といってもみな労働者から出世してきた人ばかりです。

日本中の富を独占している悪辣な地主のようなわかりやすいターゲットはいませんでした。

ともかくそういう時期を過ごしてきた中高年たちには、とても懐かしい言葉なのです。

最近ビジネスマンがよく使う「搾取」とは?

最近ではどのような意味で使われているのでしょうか。

もちろん理想の社会を目指すためのキーワードではなくなっていることでしょう。

きっと仕事や生活に根ざした意味で使われているのに違いありません。

1. 「搾取」のそもそもの意味

辞書で調べてみると、1)乳を搾ること。2)階級社会で生産手段の所有者が生産手段を持たない直接生産者を必要以上に働かせ、そこから発生する剰余生産物を無償で取得すること。

とあります。

階級社会とか、生産手段とかはマルクス経済学の用語です。

これはまだノスタルジー路線を引きずっています。

もう少し現代に近付かなければなりません。

2. ビジネスマン達が使う「搾取」の意味とは?


昨今ではビジネスマンが会社に搾取されている、という文脈で語られることが多いようです。

やはり今の時代は社会全体の公正を実現するより、自分の待遇が気になるようです。

あるいは不公正はかなりの程度解消され、自分のことに集中できるようになったのでしょうか。

会社に属していて「搾取されている」と感じる原因

日本は会社主義が強いと言われます。

家族よりも会社の方が大事な所属集団と化してしまうワーカホリックも普通に存在していました。

彼らはこき使われているとは感じていたでしょうが、搾取されているとまでは思っていませんでした。

むしろ会社を支えているのだという気概を持っていました。

そうした心を失うと、もはや会社は敵対勢力と感じられるようになるのでしょう。

1. 定時で帰宅できず、自分の時間が削られる


営業の人はお客の都合に合わせなければなりません。

しかしそれ以外には、売上げ利益目標を達成しているかぎり、自由に時間を使えます。

今流行りの副業も可能でしょう。

実績を上げてそういうポジションを確保すればストレスはたまりません。

あなたの会社が、どう頑張ってもそういう立場を許さないブラック企業なら、早めに見切りをつけましょう。

2. 上司から理不尽なパワハラを受ける


これはホワイト企業、ブラック企業を問わず存在します。

上司個人の資質に依っているからです。

もちろんこういう輩が管理職としてのさばる割合は、ホワイト企業の方が少ないはずです。

とにかくアホ上司は仕事の実績以外で存在感を出そうとします。

やたら会議を招集したり、パワハラを行ったりです。

あなたが頑張って実績を上げても手柄は持っていかれてしまいます。

逆に失敗はあなたのせいです。

また能力は低くても社内政治には長けていて、なかなか失脚しません。

短期的には修行と思って我慢しつつ、次の手段を考えます。

3. ストレスが多く精神的に参ってしまう


顧客からのプレッシャー、社内のあつれきなど、会社生活はさまざまなストレス要因にさらされます。

筆者もかつて20万ドルのトラブルにさらされ進退窮まったことがあります。

顧客だけでなく工場からの信頼も失ってしまいます。

寝られない日々でしたが、命までとられることはあるまいと開きなおりもできていました。

しかしこんなことが続けば確かに精神的にズタズタになってしまいます。

4. 嫌いな人とも付き合わなければならない

実社会は役割分担で成り立っています。

仲良しグループではありません。

個人も個性があれば、役割による雰囲気の違いもあります。

いろいろな人と交流することで自分の生き方もはっきりしてきます。

嫌いな人と付き合うことも避けられません。

逆に成長するためには避けてはならないのです。

そういう人たちの存在価値を認めてしまえばかえって楽になります。

5. 転勤などの辞令に逆らえず、家族と離れて生活しなければならない

これは全国展開または、外国と取引きしている会社では避けられません。

今の時代、地方都市の中小企業でも海外売上比率80%異常などのケースはざらです。

逆にそういう会社でなければ生き残っていけません。

若いうちは会社のお金で全国各地や海外にも住める、と積極的にとらえるべきです。

あまり自分に制約を課す人は魅力的に見えません。

敬遠されてしまいます。

どうしても転勤がいやなら、独立自営する。

または食べていける資格を取ることです。

筆者は最近、全国展開の大手ドラッグストアーの店長とお話をしました。

それによると店長以下正社員は、あちこち転勤しますが、薬剤師には通用しないそうです。

簡単にやめてしまうからです。

地元を離れたくなくて薬剤師になった人も多いようです。

やめても引く手あまたですし、パート薬剤師として勤務しても一般店員が時給1000円とすると、薬剤師の時給はその2.5倍だそうです。

同社では実に扱いにくい、と頭を痛めています。

各社同じ悩みを抱えていることでしょう。

薬剤師は実におすすめの資格です。

6. 仕事のストレスで健康を失った


健康を失うほどストレスを貯めるものではありません。

しかしサラリーマン経験のある人は、その寸前まで行った経験が多いのではないでしょうか。

筆者の在籍していた会社でも面白いケースがありました。

30代の男性社員が40代後半の独身女性上司の下で悩んでいました。

同じことを毎日繰り返し言われるのだそうです。

そのストレスで男性社員の顔は吹き出物で覆われ、すっかり醜くなってしまいました。

ところが定期異動でその女性上司が去ると、あっという間に吹き出物が取れ、本来の肌を取り戻したのです。

これは語り継がれ伝説となっています。

彼はストレスで心と皮膚の健康を害していたわけです。

7. 会社に身も心も捧げるよう強要される

中小企業の経営は社長にかかっています。

魅力的な社長の元で伸び伸び仕事ができれば、なんお拘束も感じません。

また名だたる大企業の一員となれば、その心地よさがつらさを上回るでしょう。

忠誠を強要されるように感じられるとしたら、やはりそこはブラック企業に違いなさそうです。

8. 自分のアイディアや頑張りが全て会社のものになってしまう

これはちょっと高いレベルに過ぎるかもしれませんが、2014年、中村修二氏のノーベル物理学賞受賞のとき話題となりました。

受賞理由となった青色LEDの研究は、氏が日亜化学という会社に属していたときのものです。

日亜化学の収益に大きく貢献しました。

しかし後になって中村氏は、発明対価の増額を求めて裁判に訴えています。

その過去に改めてスポットライトがあたったからです。

しかし低いレベルにおいては、会社の看板のおかげで仕事ができているということもあります。

会社の取り分は本来自分のもの、と勢いよく独立してはみたものの、どこからも仕事がもらえなかった、というのも一方では現実です。

自分の考えていることは正しいのか、業界で通用するのかどうか、利害関係のない相談のできる人に相談するのが一番です。

9. 実際の頑張りに見合うだけの給料を全然貰えない

これは勘違いであることも多いので考え方どう持つかによって変わります。

東日本大震災の直後、全原発の停止による電力逼迫で、東京電力以外の電力会社でも賃金の調整(カット)がありました。

それをある九州電力の社員が、そのせいで娘たちにプレゼントも買ってやることもできない、とブログで嘆いたそうです。

するとたちまち炎上しました。

被災者たちが大変な目にあっているというのに何を寝ぼけたことを言っているのだという非難と、もうひとつは地元・九州からのものです。

「おまえは九州で九州電力以上に恵まれた、待遇もよい職場がどれだけあると思っているのだ。」という内容です。

この人は二重にうかつだったのです。

世間の風を全然理解していませんでした。

このようにならないよう、自分世の中の標準に照らしてどうなのか、という視点は必要です。

10. 結局都合よく会社に利用されサービス残業をさせられている

宅配便最大手のヤマト運輸の動きが最近話題となっています。

労働組合がこれ以上仕事を受けないように要求したり、時間指定配達の一部取り消し、未払いの残業代の支払いについて、などがニュースとなりました。

残業代は数百億円にも上ります。