顛(てん)とは「いただき」を意味し、末とは「すえ」を意味する
「顛末」の「顛(てん)」とは、「いただき」を意味しているようです。
「物事の先端」とか「てっぺん」という意味を持ちます。
なので、「山顛(さんてん)」と書き、使うこともあります。
もちろん意味は、山のてっぺん、山頂のことです。
「さんてん」は漢字としては、「山巓」とも書くことが多いですね。
そして、「末(すえ)」は、みなさんもご存知の通り、ある事柄の続いているものの先端の方のことです。
なので、「顛(てん」)が物事の最初のほうを指しているのであれば、「末(すえ)」はそれが続ているものの一番最後のことを指していますね。
なので、物事の最初から最後まで全部を表す言葉として「顛末(てんまつ)」という言葉になったようです。
一つ一つの漢字の意味がよくわかると、言葉の意味ってすごくよく理解できますよね。
「顛末」も初めて聞くと、意味はさっぱり分かりません。
でも、漢字の意味を知ったり、由来を知れば意味するところはすっかり理解できちゃいました。
顛末書とは
では、ここで「顛末書」について考えてみましょう。
ビジネスマンはよく「顛末書」と「始末書」について聞くことがあったり、さらには自分が書く必要が出てきたりするでしょう。
そして、この2つの違いについて頭を悩ますことがありますよね?
時に、ほとんど同じものとして扱われる「顛末書」と「始末書」。
ですが、やはりこの2つには違いがあります。
まずは「始末書」ですが、これは反省文が主になります。
何かトラブルやミスを起こしてしまったときに、そのことについて謝罪し、そのことについての経緯や対策案などを書きます。
それは、懲戒処分や訓告などを受けるようなことをしたときに社内に提出するため。
もしくは、社外に対して何か失礼なことをしてしまったりミスをしたときにも、先方に対して提出する書類となります。
それで、反省と謝罪がメインとなっているので、トラブルが起きた時にはすぐに提出するのが基本です。
この始末書は、労働者本人に自分の非を認めさせ反省をさせること。
そして、起こしてしまったトラブルやミスにしたいしてケジメをつけさせることによって同じミスを繰り返さないように再発を防止する、という意図があります。
さらには、もしその人を解雇することになった時には、その人の直筆の始末書が、解雇せざるを得なくなった証拠として使えるからです。
つまり、始末書の作成により労働者の側に何らかの非違行為があったこと、そして会社側は指導を行った、しかしそれにも関わらず改善が見られなかった、という証拠のもと解雇に踏み切ることができるわけです。
一方、「顛末書」の場合、トラブルやミス、不祥事などがあった時に、その問題について一部始終を報告するための書類となります。
それで「トラブル報告書」とも言われることがあります。
「始末書」が自分の非を認め、反省し謝罪することを目的としていることに対して、「顛末書」は、起こったことの事実を報告することが目的となります。
それで、起こったことについて一部始終、事細かに経緯を説明するとともに、今度同じことが起きないように防止対策も含めます。
それで、ことが終わった後になるべく早く提出します。
謝罪がメインではなく、報告するということが目的なので、トラブルが起こったことの顛末を書かなくてはいけません。
どのような経緯で、どうゆう背景で、どのような事実関係があって事が起こったのかということを細かく説明します。
そして、何かの事実を隠したり、うそをついたりせずに報告する必要があります。
まだ事の収集がついていない、という時には「報告書」として、今のところの状況を伝える文章を作成することもあります。
すべての処理も終わったなら「顛末書」として、ことの最初から最後までについて報告する文書を作成することとなるでしょう。
それで、「顛末書」は基本的には社内向けの文章となります。
起きてしまったことについて、社内に対して、そして関係した人に対してその出来事の全体と事実関係を説明します。
今度どのようにすべきか、対策についても考えるための書類ということになります。
なので、何かミスをしてしまったとき「顛末書」によって、ある程度の信頼回復を図ることができます。
会社としては、トラブルや事故が起きた時の流れと、これからの対処法や改善策というものを知りたいと思っています。
そして、それを社内で共有することを求めています。
それで、事の事態を詳しく、原因結果を分析し、そして特に対策や改善策について詳細に記載する必要があるわけです。
なので、始末書は相手先への謝罪として社内、社外にも提出する文章となります。
何か社内処分を受けるような事態になるトラブルやミスをしたときに作成することが多いです。
顛末書は、そのよう処分に当たらないようなミスやトラブルや事故などを起こしたときに作成することが多いのです。
「顛末書」と、「始末書」の違いがわかったでしょうか?
こうやって目的の違いを考えてみると、「顛末書」は確かに、「顛末」という言葉も意味通り!