表裏一体をなす
「表裏一体をなす」とは、二つのものの関係が、表と裏のように密接で切り離せない状態であるということです。
表裏一体の状態と言うのは、どちらも欠かせないほど重要なことでもあります。
例えば、メーカーの存続に関することで言えば、製造と販売は表裏一体なのです。
メーカーとしてより良いものを作ることが使命ですが、それを正当な価格で売らなければ企業としての利益は得られません。
物を作ることとそれをキチンと売りさばくことの両方が成立してこそ、つまり製造と営業が表裏一体をなさないと存続できないのです。
芸能の世界でもそうです。
お笑いコンビと言うのは、どちらかがボケて話題を提供し、もう一人の方がそれにツッコミを入れて笑いを取るのです。
テンポの良いボケとツッコミは表裏一体となって人気を得るのです。
どちらかが目立っても、欠けてもダメなのです。
表裏共に対等で重要な役割なのです。
どちらも揃って表裏一体をなしているのですから。
表裏一体のもの
表裏一体のものというと、表と裏が存在するものです。
これまでに例を上げていたコインとか光と影がそうです。
コインとか光と影とかは目に見えるものです。
目に見えなくても、表裏一体のものも多いのです。
例えば、レストランと料理人も表裏一体ですね。
有名なレストラン、それも三ツ星のレストランなどでは、必ず海外で経験を積んできた有名な料理人が存在します。
その料理人が作る美味しい料理を、そのレストランが提供するのです。
人気のレストランとは料理人とお店が表裏一体となって、お客様に料理を提供して喜んでもらうのです。
どちらが欠けても、人気は落ちてしまうと思います。
もし、その料理人が他のお店に引き抜かれたとします。
すると、料理人を引き抜かれたレストランは、同じ味の料理を提供できれば良いのですが、それができなければお客さまは離れていくでしょう。
料理人も、他店でその料理を提供しても、レストランの雰囲気と料理がセットになって人気があったのですから、必ずしもすぐに人気が出るとは限らないのです。
表裏一体というのは、どちらが欠けても同じ性質や価値を生み出すことができなくなるのです。
表裏一体の対義語
表裏一体の対義語というのは、「二律背反(にりつはいはん)」が上げられます。
「二律」とは二つの法則や原理のことで、「背反」は対立するという意味です。
簡単に言うと、自己矛盾に陥った時の状況です。
哲学書を読むような複雑な内容ですが、一つの「二律背反」の事例を解説してみます。
「Aが正しければBは偽り」「Bが正しければAは偽り」という事例です。
互いに矛盾している二つの命題が、互いに同じだけの合理性や整合性があることです。
もう一つ有名な二律背反の事例ですが、「わたしは常にウソを言う」という文章です。
この発言自体が本当だとすると、彼はウソを言っていないので、「ウソを言う」という内容はウソになってしまいます。
本当のことを言っているのにウソを言ったことになって矛盾します。
仮に、このことばがウソであったら、彼はウソを言わないことになって、この言葉は成立しないことになります。
サラッと見るだけでは理解しにくいと思いますが、「二律背反」とはこのような矛盾のことを指すのです。
二律背反
二律背反とはドイツ語の「アンチノミー」の訳です。