「恩を仇(アダ)で返す」という言葉をみなさんはご存知ですか?
義理・人情がだいぶ廃れた最近の風潮では、この表現を目にすることが少なくなりました。
ですが「恩を仇で返す」行為は、昔も今も変わらず繰り返されています。
今回はそんな、恩を仇で返すような人の特徴とアドバイスをご紹介していきます。
恩を仇で返す人ってどういう人?
最初に「恩を仇で返す人」という言葉をはじめて見た人のために、どんな意味なのかを説明しておきましょう。
誰かに援助してもらったり助けてもらったりした場合、普通は感謝して恩を感じるものです。
なにかあったら受けた恩のお返しに、何か役に立ちたいと思うのが普通の人です。
ですが、中には援助してもらった人、助けてもらった人に害をなすような行為に及ぶ人も居ますよね。
恩を受けた人が窮地に陥った時、助けるどころか、かさになって逆に苦しめる側になったりする人まで居ます。
そうした人を見た時に援助したご本人は「恩知らず!」と罵って悔しがります。
そういう「恩知らず」な行動を取る人を見た周囲の人達は、「恩を仇で返すヤツ(人)」とさげすむのです。
ちなみに「仇」はアダと読みます。
武士の時代の仇討ち(あだうち)の仇です。
恩を仇で返すとは?
「恩を仇で返す」の正確な意味についても確認しておきましょう。
意味
「恩を仇で返す」の意味は、どの辞書を読んでも、どの辞書サイトをみてもだいたい同じように解説されています。
・「恩を受けた人に対して、感謝するどころか害を加えるような仕打ちをすること。」
・「恩返しをしないで、かえって恩人に害を与える。」
・「身に受けた恩に感謝するどころか、かえって害を加える。」
どの解説でも良いでしょう。
「感謝するどころか」ですとか「恩返しをしないで」ですとか「かえって」ですとか、当然すべき事の正反対の行為をするという点はどの解説も共通しています。
恩(おん)の意味
ちなみに「恩(おん)」は「恵み」とほぼ同じ意味です。
中国では、1800年前の書物に既に「恩」とは「恵み」のことであるとの説明が見つかります。
日本においても「恩」は大昔から「めぐみ」「みうつくしみ」「みいつくしみ」などと読まれていたようです。
ありとあらゆる宗教、キリスト教でも仏教でも同じような概念が必ずあります。
細かいニュアンスは各々違うのでしょうが、ざっくり言ってしまえばほぼ同じものです。
仇(あだ)の意味
「仇(あだ)」の正確な意味は、「敵」「かたき」「外敵」や「害をなすもの」「危害」などです。
人物やモノを離れて、そういった対象に抱く「恨み」の感情のことも指します。
「恩を仇で返す」で使われる仇は「危害」の意味で使われています。
「仇なす」もこの意味での用法です。
「仇」については、合成語を見るとニュアンスが分かり易いです。
「仇敵(きゅうてき)」といったらただの「敵」ではありません。
憎んでも憎みきれない不倶戴天の敵になります。
「仇怨(きゅうえん)」といったらただの「怨み」ではありません。
末代までも祟ってやるぐらいの勢いの怨みになります。