それこそ使い方によっては、京の言葉のように丁寧な言い回しなのにどことなく圧迫感を相手に与えることも可能です。
例えば納期の遅れている発注先の会社に対して、「早く仕事をしてくれ」といった内容を書いた後で、最後に一言「どうぞよしなに」と言葉を添えると、言い回しは柔らかくても相手にプレッシャーを与えることになるでしょう。
相手が焦っていれば余計に無言の圧力を感じてしまうかもしれません。
とはいえ、本来はこのような使い方をする言葉ではありませんので、あくまでも相手に良い印象を残すために文末に添えるようにしましょう。
部下や後輩に使う場合
「よしなに」は、部下から上司に使うこともありますが、基本的には上司から部下に対して使う言葉です。
ビジネスの場では、「よしなに」の使い方によっては曖昧な表現になってしまうこともあるため、部下が「よしなに仕事をします」などと言えば憤慨する上司も少なくはないでしょう。
そのため、挨拶として「よしなに」を用いるならば問題はないものの、仕事のやり方について部下が「よしなに」と言うのは避けた方が良いでしょう。
では、上司が部下へ「よしなに」を使う場合には、どんな使い方があるのでしょうか?以下にご紹介していきます。
よしなに作成してください
例えば仕事の資料作成の指示を部下に出す際に、上司が「よしなに作成してください」と言うことがあります。
普段「よしなに」を聞き慣れていない部下にとったら、言われた直後は「えっ?」と疑問を抱いてしまうこともあるでしょう。
部下によっては上司の指示が理解できずに、「よしなに、とは何ですか?」とストレートに訊いてしまうことがあるかもしれません。
しかし、社会人であればそこはまず自分で「よしなに」の意味を調べた上で、上司に確認を取った方が良いでしょう。
うまいぐあいになるように
「よしなに作成してください」と指示を出された場合、それは「うまいぐあいになるように作成してください」という意味であることが多いです。
「よしなに」は「あなたの都合の良いように」や「好きなように」といった意味もありますが、資料の作成が指示内容の場合には、自分の好きなようにやってもいい、という意味ではありません。
上司に提出する際にはきちんとうまいぐあいに整った状態になっておくように、という意味で言っていることが大半です。
提出された資料がきちんと出来ていれば、資料作成の過程はこちらに任せる、というつもりで「よしなに」を使う上司が多いです。
要するに、「結果が出来てさえいれば過程には一々口出しをしないからそちらでやってくれ」ということなのです。
しかし、この意味を上手く汲み取ることが出来ない部下は、具体的な指示が欲しくて結局は逐一上司に質問や確認を取ることが多いです。
あとはどうぞよしなに
会社の飲み会などで、上司が先に席を立つ場合に、「あとはよしなにしてくれ」と言って帰ることがあります。
この「よしなに」の意味が分からない人は、「え、上司は何て言ったの?」「どういうこと?」と余計な疑問に悩んでしまうことでしょう。
「あとはどうぞよしなに」とは、あとはこちらで好きにしてもいいという意味ですので、この後二次会に行こうがどうしようが、今この場にいる面子で好きなように過ごしてもいいということです。
上司にとっては帰りの際の挨拶のようなものですので、「あとはよしなに」の一言であれこれと意味を深読みしないようにしましょう。
あとはすきなように
上司と部下の関係はさまざまですが、飲み会のように大勢が集まる場所で早く席を立つ上司は、とても良い上司だとする説があります。
単純に明日も早くから仕事だという理由で席を立つ上司もいますが、上司の立場の自分がいることで皆がいつまでも気を遣わなくて済むようにと、敢えて早めに席を立ち、自分は帰ろうとする上司が時々います。
そんな上司ほど部下のことを気遣える人であることが多いとする説なのです。
そうした理由から他の面々よりも早く席を立つ上司が、「あとはよしなに」と言って帰ることがあります。
これは「あとは好きなようにどうぞ」という意味ですので、部下としては有難くお言葉に甘えると良いでしょう。
よしなに取り計らってください
「取り計らう」という言葉は、何事かに対する処置を講ずることを意味します。
例えば取引先の会社の接待が上手くいくようにこちらで手配をしたり、受注先の会社の求めるものを素早く用意出来るように便宜を図ったりすることなどが、「取り計らう」ということです。
これに「よしなに」が加わることで、「事が上手く運ぶように取り計らってください」または「いいように取り計らってください」といった意味になります。
上司からそう求められた場合には、上司や自分の会社にとって良い結果になるように考えて行動して、結果を出す必要があります。
いいように取り計らって
「よしなに取り計らって欲しい」と上司から頼まれたら、こちらで「いいように取り計らう」必要があります。
それはすなわち、自分のいいようにではなく、上司にとっていいように、また会社にとって利益になるように取り計らうということです。