そうすると、男女の平等原理を尊重しながら、個別的な家族集団の具体的な現況を考慮して、男性の息苦しさだけでなく、女性も息苦しくならないような役割分担を工夫して円満な幸福を勝ち取るようにしましょう。
社会的なバランスが保てない
男女平等の理由として「社会的なバランスが保てない」という状況が気になりはしませんか。
旧来の発想によれば「男性は社会にでて働き、女性はうちにいて育児はじめ家事を受け持つ」のがあたりまえでした。
ところが、男女平等の思想によって女性も社会に進出するとなれば、旧来の発想が崩壊してしまいます。
そこで、社会における仕事と生きるための家事などの生活の調和がクローズアップされています。
現実の社会では、仕事と生活を両立させにくくなっているからでしょう。
社会における仕事は、人間の生活を支え、生きがいや喜びをもたらすエネルギー源ですが、それとともに、家事、育児のほか近隣との交流などの生活も充実させる必要があります。
しかし、現実の社会には、安定した仕事に就けないし、経済的に自立することができないケース、その逆として、仕事に追われるまま、心身の疲労から健康を害するとか、仕事と子育て、老親の介護などとの両立が困難な状況になっています。
ですから、多様な選択肢を可能とする仕事と生活の調和の必要性がクローズアップされてきたわけです。
仕事と生活の調和をはかる社会を形成するために、国民が個人的に努力しただけではどうにもなりません。
そうすると国や地方公共団体が推進する政策に頼るしかありません。
そうだとすれば国や地方公共団体は、人の働き方とか、生き方にかかわる旧来の発想を見直し、男女平等を促進する政策を打ち出すようにする義務があるといえましょう。
働きたい人が、その働き方を自由に選択できるような仕組みを形成できる政策を打ち出すよう切望します。
そもそも、生きている個人の持つ時間は有限ですし、従事する仕事と現実の生活との調和を実現するには、さらに個人の時間の価値を高めるとともに、安心と希望を実現できるような社会づくりが要求されます。
ですから、男女平等の理由として、「社会的なバランス」を検討するときにも、女性が育児、家事の役割を分担するとともに、できるだけ外にでて、「新しい公共」の活動などに参加できる機会を拡大する配慮が求められます。
実際には困難な側面もありますが、「社会的なバランス」を考慮しつつも、女性が社会に進出できる機会を増やす方向で生活上の工夫をされるようおすすめします。
要約すれば、「男女均等の推進」が重要という帰結になります。
男女均等の推進とは、男女の性別にかかわらず、その能力を発揮するための均等な機会が与えられる、男女の性別にかかわらず、そのエリアにおける評価や待遇について差別を受けないということです。
1985年に策定された男女雇用機会均等法が、日本における男女均等推進の明確なはじまりといえましょう。
この画期的な法律は、その後の時代の変化とともに、これに対応して改正され、求人のための募集はじめ採用、人員の配置、人事管理面での昇進など、すべての領域において、男女の性別を理由とした差別が禁止されています。
そして男女均等の推進には、均等を維持し、差別を禁止する側面のほかに、「現存する格差」を解消していくという側面もあります。
厚生労働省では、女性の能力発揮を促進するポジティブな取り組みを実践する企業を「均等推進企業」として位置づけています。
素晴らしい政策の展開として評価されます。
男女の性による差別の禁止が「均等」にあたり、男女の格差を解消するのが「推進」にあたります。
ふたつの側面を含めた合成語として「均等推進」というカテゴリーがうまれたわけでしょう。
どちらも含むものが男女均等推進という発想といえます。
ここにあげた原点に立脚してあらゆるエリアで男女平等が実現されるよう切望します。
男女平等で超えなきゃいけない壁
ここまでに、男女平等の根拠とされる理由として、仕事で女性が不利、明らかに男性が上、女性が嫌な思いをする、そればかりか男性も息苦しい、社会的なバランスが保てないなど、数個の理由を確認してきました。
それでは、これらの理由を考慮しながら、男女の平等を実現するにはどうすればよいでしょうか。
そのためには、平等の実現を妨げる障壁として、いくつかの壁を乗り越える必要がありますので、その壁を確かめてみましょう。
男女が受け入れる
男女の平等を実現するためには、まず基本姿勢として、相手を受け入れる姿勢が必要になります。
そもそも、「女は受け入れ、男は与える」といわれてきました。
両性の体質の性差に着目した提言といえます。
生々しい視点からすれば、男女間のセックスアクションの姿勢です。
けれども、男女の平等を論ずるシチュエーションにもあてはまりましょう。
その体質に視点をあわせれば、「男性は与える」、「女性は受け入れる」といえます。
まず相手のいい分をしっかり聞いてみてはどうですか。