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謹啓とはどういう意味?正しい用法と...(続き5)

前略

「前略(ぜんりゃく)」は先にもご紹介したように、文章の初めの挨拶を省略するという意味があります。

そのため、「前略」という頭語を用いる際には、時候の挨拶や丁寧な前置きはバッサリとカットするのが基本です。

「前置きは置いておいて即本題へ」という雰囲気を思わせる頭語ですので、かなり親しい関係の人や、目下の人に対しては用いる機会が多いですが、目上の人や信頼関係の薄い人に対してはほとんど用いる機会はないでしょう。

目上の人や信頼関係が結べていない人にいきなり手紙やメールで「前略」と使ってしまうと、相手は「自分には丁寧な挨拶などする必要はないという事か!」と憤慨してしまったり、失礼に感じてしまったりします。

そのため、目上の相手はもちろん、ビジネス上の関係者にも「前略」という頭語は使わない方が良いでしょう。

せめて同僚であれば、「前略」を使っても良い関係かもしれませんが、相手が不快に感じてしまうようなタイプであればやはり使わない方が賢明でしょう。

急啓

「急啓(きゅうけい)」とは、冒頭に記し、急ぎの用件であることを知らせる言葉のことです。

先にもご紹介しましたが、お詫び文章のようにトラブルの相手に対しては「謹啓」や「急啓」の頭語が良いとされています。

「謹啓」でも丁寧な印象になりますが、「急啓」を用いることで、よりトラブルを起こした相手には「あなたのために急いで対応しました」という意志を伝えることが出来ます。

また、目上の相手や取引先の会社に対して急ぎの用件がある際にも用いられます。

急いでいる時にはつい礼を失してしまいそうになりますが、先に一言「急啓」と書いておくことで、丁寧な印象は崩さずに、こちらが急いでいるのだということを相手に伝えることが出来ます。

再啓

「再啓(さいけい)」とは、「再信の手紙の頭語」のことです。

つまり2通目、3通目の手紙やメールを送る際に用いられる頭語です。

普段は「拝啓」の頭語を使うことが一般的ですので、「再啓」はあまり聞き慣れないという人もいるでしょう。

大抵の場合は一度手紙を送ればそれで終わりになりますので、「再啓」と書く人はあまりいないでしょう。

とくに手紙の場合は使う機会が少ないですが、メールの場合には例えば1通で内容が収まらなかった場合には、2通目を続けて出す際に「再啓」の頭語を用いることがあります。

また、1通目が何らかの原因で届かなかった場合にも、「1通目はきちんと送りましたよ」との意思表示で「再啓」の頭語を用いることもあります。

拝復

「拝復(はいふく)」とは、「つつしんで返事をする」という意味の頭語です。

この頭語は、まず相手からメールや手紙を受け取ることが大前提で使われます。

相手から先にメールや手紙が届き、それに対して返事を送る際に「拝復」という頭語を用います。

大抵はあまりこの頭語を用いることなく別の言葉で返事をすることが多いため、あまり使う機会はないかもしれません。

しかし、返事をする際に一言「拝復」と書いておくと、こちらの丁寧な気持ちが相手に伝わりやすく、またきちんと教養があるのだということも伝わるでしょう。

覚えておきたい結語

覚えておきたい頭語があれば、同じく覚えておきたい結語もあります。

結語についてもきちんと覚えておかなければ、うっかり頭語に相応しくない結語で結んでしまう間違いを犯してしまうかもしれません。

どの頭語にはどの結語があるのか、また直ぐに結語が頭に浮かんでくるように、ポイントを抑えて覚えておきましょう。

敬具

「敬具(けいぐ)」は、「拝啓」の頭語に対して使われる結語です。

「再啓」や「拝復」の結びとして用いられることもありますが、基本的には「拝啓と一緒に使う」と覚えておくと良いでしょう。

「敬具」も「拝啓」同様に、最も使われる頻度の多い頭語と結語と言っても良いでしょう。

親しい相手から親戚やお世話になった人まで、さまざまな人に対して用いられます。

拝具

「拝具(はいぐ)」も、「敬具」と意味はほとんど同じです。

「つつしんで申し上げました」という意味になりますので、「拝啓」の結語として使われます。

とはいえ、一般的には「拝啓」の結語は「敬具」が使われることの方が多いです。

手紙の出し方の例でも基本的に「拝啓」「敬具」で紹介されているものが多いため、自然とそちらの結語が用いられる機会の方が多いのでしょう。