販売を目的として、会社やお店に一時的に在庫中の商品や製品は棚卸資産と言われていて、企業会計の中で重要な位置づけになっています。
棚卸資産には、お店で仕入れて未だ販売されていない商品や製造業の会社で倉庫に保管中の原材料などがあります。
棚卸資産は、売上の総利益を左右する重要な項目として扱われています。
例えば、1個100円のリンゴを5個仕入れると仕入れ原価500円になります。
売値1個150円で2個売れたとき、売れ残りは3個になります。
よって、保管中の3個x100円=300円が棚卸資産になります。
売値1個150円で4個売れたときは売上は4個x150円=600円になります。
売上額600円から仕入れ原価500円を引いた100円が利益になります。
つまり、4個売れた時点で儲けが100円出たわけです。
このときの売れ残りは1個ですので、1個x仕入れ値100円=100円が棚卸資産となります。
資産
在庫中の原材料や商品などは、定期的に発生する決算日ごとに棚から卸して、数量の実地調査が行われることから棚卸資産と言われています。
棚卸資産には、次のように幾つかの種類があります。
販売を目的として他社から仕入れた商品や自社の工場で生産した製品。
販売を目的とした製品の生産途中にある半製品や仕掛かり品。
製造・生産のために消費される予定の原材料。
従業員が仕事上で使用する事務用消耗品で保管中のモノなどが対象となります。
️棚卸しの種類
棚卸しは、お店の陳列棚や会社の倉庫に保管中の商品などの数量を把握し、帳簿上に記載されている数量と一致するかを確認するための作業を指します。
会社やお店にとっては、税法などの法律で義務付けられているため定期的に行われます。
棚卸し作業には、多くの時間と人手がかかるため、扱う商品の販売時期や特徴などを勘案して、効率的な作業方法が使い分けされています。
在庫として保管されているモノは会社やお店にとって、将来の売り上げや経営活動を支えていくために大切であることから棚卸資産と呼ばれています。
在庫中の資産価値を適正に評価するため、資産の増減の特徴や棚卸し作業のし易さなどを勘案して最適な棚卸し方法が採られます。
実施棚卸し
実地棚卸しは、倉庫に在庫中の実際の現物の数量を把握する方法です。
棚卸し結果の内訳は棚卸表としてまとめられて、法人税法で決められた申告書に基づき税務署に提出します。
実地棚卸しには、数量をカウントするタイミングにより、一斉棚卸しと循環棚卸しが使い分けされます。
実施棚卸しは、保管中の実際の在庫数量を把握して、日々の在庫数量を記録している帳簿上の数量と比較チェックします。
比較した結果、数量に差異が生じているときは、差異が生じた原因を分析し、帳簿上の数量を実際の在庫数量に置き換えることもあります。
実地棚卸し結果は、会社やお店の売上額を左右し、決算額に直接影響を及ぼしますので、在庫数量の精度の高さが求められる重要な作業となります。
もし仮に、在庫数量把握の精度が低いと、原材料不足に気づかず、製品の製造が出来ないことになり、販売チャンスを逃す状況を招きます。
この結果、取引相手の企業やお店、顧客からの信用を失墜する経営面の打撃を被ることになります。
また一方、仕入れ商品の在庫数量把握の精度が低いと、売れない商品の仕入れを続けることになり、売れ残り商品の大量在庫を抱えて倉庫保管料の多額な出費を引き起こし、経営を大きく圧迫する事態を招くことになります。
ですから、精度の高い実地棚卸しは、安定した経営を展開していくためには欠かせない重要な作業です。
一斉棚卸し
一斉棚卸しは、在庫保管中の全ての原材料や商品、製品などの全品目を一斉に棚卸しする作業を指します。
複数の倉庫をもっている企業は、一斉に複数倉庫に保管中の全品目の数量を把握する作業を行うことになりますので、場合によっては仕事を一時中断して多くの従業員と時間を費やす作業になります。
一斉棚卸しを行うためには、予めスケジュールを立てて倉庫ごとに従業員を割り当てて役割分担も決めておき、効率よく進めることが必要です。
短期間に棚卸しを行う方法になるため、業務を一時中断して従業員を集中的に割り当てる方法をとる企業もあります。
倉庫の数が多く棚卸し対象の品目が数万点以上になる場合は、一斉棚卸しが難しいこともあります。