また、豊臣秀吉(太閤)の話し相手として側に仕えた「御伽衆(おとぎしゅう)」が、太閤の機嫌が悪い時に機嫌を取るためにおだてたり褒めたりしたことから、「太閤を持ち上げる」の意味で「太閤持ち」と言い換えられて、その後「太鼓持ち」となったとする説もあるようです。
当時の「太鼓持ち」の職業は、正式には「幇間(ほうかん)」と呼ばれており、太鼓持ちの当て字に「幇間」が使われることもあります。
まあ現代風に言うと、要するに上役を褒めちぎってゴマをするという意味のようです。
ゴマをすって上司に気に入られて、あわよくば出世したいという考えもあるのです。
このように、宴会などでお客さんを楽しませることが好きな人と、上司などの偉い人に上手く取り入って認めてもらおうとする人がいるようです。
宴会などで自分の芸などを見せてその場を盛り上げる人
会社で行われる宴会というと、忘年会と新年会、歓迎会と送別会、懇親会や親睦会などがあります。
個人的には、何かのサークルの親睦会や運動部の祝勝会など様々です。
どの宴会でも、幹事さんが会場の確保や出欠の確認、料理やお酒の段取りなどいろんな役をこなすのです。
そこまで頑張っても、当日に宴会が予定通り淡々と進むだけでは、一向に盛り上がらないし白けてしまうのです。
こんな時に、宴会男と称する太鼓持ちのような存在がいると、いろんな話題や芸を披露したり、カラオケ大会やゲームなどをやって盛り上げてくれます。
お酒も回ってくると、赤い顔になりながら、大きな声で囃し立てるのです。
それに乗った仲間が楽しく歓談するさまは、楽しく感じるものです。
堅ぐるしい披露宴の席で、スピーチに立った来賓のユーモア溢れるひと言で、会場の空気が急に和やかになることがあります。
いろんな宴会でも、その場を盛り上げてくれる人がいたら、楽しい宴会になるのです。
このような人も太鼓持ちと言えます。
社長など偉い人のご機嫌を取ろうとする人
宴会の場を盛り上げる人と同じように、社長などの偉い人に寄り添って何かにつけて褒めちぎったり持ち上げる人もいるのです。
太鼓を持つ対象は、その会社の社長やら偉い人だけなのです。
平の社員には、まったく関心がないのです。
むしろ、社長などの偉い人の間に割って入ってくる人に対して、邪魔者扱いをするようです。
「おまえは俺の邪魔をするな!」と言わんばかりに外に押しのけるのです。
社長や偉いさんのご機嫌を取るのは俺の仕事だと他人を寄せ付けないのです。
ご機嫌を取って印象を良くして、自分の存在をアピールするのです。
大事な仕事を任してほしい、幹部候補にしてほしいと訴えているのです。
いわゆる「太鼓持ち社員」なのです。
では、太鼓持ち社員は出世するのかという疑問があります。
仲間から冷ややかな目で見られるようなご機嫌取りが、果たして出世できるのでしょうか?この疑問に答えると、太鼓持ちの行動は必要なのです。
目上の人から信頼されて引き立てられるためには、堂々と太鼓持ちをすることが重要なのです。
上司をしっかりと立てて、機嫌よくなるように振る舞うことが必要なのです。
たとえ、自分の方が能力は優れていると思われる上司であっても、上司を軽蔑したリバカにしたりする行為はとんでもないのです。
劣っている上司と言えども、しっかりとご機嫌を取って持ち上げなければ、決して出世することはできないのです。
上司や社長との、ある種のコミュニケーションでもあるのです。
上司とコミュニケーションができない社員は、置いて行かれるのです。
このコミュニケーションの中に、しっかりと「報告・連絡・相談」を織り込めば良いのです。
印象に残る「報連相」になるのです。
語源は?
「太鼓持ち」の本質は、お客様や上役のご機嫌を取ることを目的とする職業であったようです。
「太鼓持ち」は、宴席に呼ばれて鳴り物である太鼓をたたき、調子を取ってお客を喜ばせる職業であったと言われていますが、もう一つの説もあります。
それは、豊臣秀吉の時代に、太閤の話し相手を務めた「御伽衆(おとぎしゅう)」の曾呂利新左衛門(そろりしんざえもん)という人物が、非常に機知に富んだ武士であって、太閤の機嫌を取るのが上手かったようです。