ですが、実は脳の中のどの当たりに記憶されているかというのは未だ確定的な答えが出るには至っていません。
脳というのはとても不思議な器官なのです。
今までの研究で明らかになっているものでは、脳の中のいくつかの場所に分割されて記憶が蓄えられているという学説が最も有効です。
ただ、記憶するにあたって必要な箇所は、脳の中の「海馬(かいば)」という部分であるということは、明らかになっています。
耳の少し上の当たりの内側にある部分で、右側と左側の二箇所にあります。
タツノオトシゴに形が似ているのでこのような名前がつけられたようです。
新しく入った情報はまず脳の海馬に入ることがほとんどで、海馬を通過することで記憶する必要がある情報なのか、そうでない情報なのかが精査されます。
生きていくのに必要な情報だと海馬が判断すれば強く記憶されることになります。
強烈な体験や何度も触れてきた情報というのは、海馬により重要な情報だと判断されて記憶に残るのです。
実はこの海馬はトレーニングで大きくなり、大きい人ほど記憶力が良いと言われています。
これはまだ仮説の段階ですが、海馬を鍛えれば記憶力がよくなると言われているのです。
海馬がないと、新しい記憶を作ることができなくなります。
海馬はあくまでも新しい情報を仕分けするポジションなので、海馬自体に記憶が蓄えられることはありません。
事故で海馬を摘出せざるを得なかった人も、その時点までに得た知識や記憶にはなんの影響もありませんでした。
ただ、新しいことが覚えられなくなってしまいます。
海馬が吟味して記憶するべきと判断した情報は、大脳皮質に保存されます。
何度も復習をすることで、この情報はとても大切なものだと海馬に認識させることでしっかり記憶することができます。
これを復習効果といいます。
記憶が残りやすいように、相手の特徴を掴み反復して覚えよう、とまずはしっかりと意識して記憶のスイッチをオンにすることが大切です。
2.背景を設定する
記憶を根付かせるために、何も考えずに会わないということを先程ご紹介しました。
相手の特徴を見つけてそれと紐付けて覚えるのが良いですが、特徴がうまく見つけられないということもあるでしょう。
そのようなときは、自分で背景を設定してみるという方法もあります。
名前からイメージを膨らませる
相手の見た目などから特徴が思いつかないときは、聞いた名前からイメージを膨らませていきます。
森という名字の人なら、森の中にある丸太小屋にその人が住んでいるというような勝手なイメージでも良いのです。
『森』という文字情報だけで記憶しようとするよりも、突拍子もないイメージでも画像で認識するほうが記憶にとどまりやすくなります。
新垣さんだから新垣結衣さんのニックネームのガッキーと心の中で呼んだり、妹と同じ名前だ、と認識したりというようなことでも良いのです。
川島さんだから川が流れているような涼やかなイメージ、というのでも構いません。
石田さんだから石のように頑固かもしれない、というイメージでも良いです。
もちろん実際とは異なるイメージですが、そうして紐付けたデータとして認識され、覚えやすくなります。
3.顔から受ける印象を言語化
相手の外見をまずはおおざっぱで良いので把握します。
そして、次に相手の顔などから受けた印象を言語化してみましょう。
単純に「良い人そう」と思うだけでなく、「自分のおじいちゃんに少し雰囲気が似ているので良い人のように感じる」といった感じで具体的に言語化してみるとより良いです。
品のある人だ
「雰囲気のある人だな」、と思ったら、なぜそう感じたのか考えてみましょう。
仕立ての良いスーツを着ていて終始にこやかで穏やかな微笑みを浮かべている。
香水なのか、なんだかいい香りもする。
とても品のある人だな、と言語化していきます。