見つけ出した特徴をヒントに、覚えやすいような『ネタ』を探しましょう。
仕事の話だけではなく、ちょっとした合間やお見送りするときにエレベーターを待っている間などの時間を見つけて雑談してみるのは効果的です。
仕事の話をしているだけでは見えてこなかったその人のキャラクターやエピソードを引き出すことができるかもしれません。
「万年筆を使っていらっしゃるんですね」と筆記用具に注目して話しかけてみると、「文房具が好きなんです」「このメーカーの万年筆がとても好きで」などと返事が返ってくるでしょう。
もしかしたら、「自分もそのメーカーの文房具が好きで愛用しています」「万年筆を使ってみたいと前から思っていたんですが、よかったらおすすめの万年筆を教えてもらえないですか」のように話をふくらませることができるかもしれません。
「○○というメーカーは安価なものもあって初めての人でも使いやすいですよ」など親切に教えてくれたら、単純にアドバイスをいただけることもありがたくて万年筆を購入するのに参考になりますし、万年筆を教えてくれた人、という印象がついて相手のことを覚えやすくなります。
相手にとっても、万年筆のことを聞いてきた人、ということでイメージがついて、印象に残りやすくなった可能性もあります。
人の顔を覚えるのが難しい理由
なぜ人の顔というのは覚えにくいのでしょうか。
実はこれには、きちんとした理由があるのです。
人の記憶というのは手当たり次第脳の中に蓄えられているわけではありません。
人間の知識は一定の規則に則って、きちんとネットワーク状に構築されて記録されていきます。
このネットワークの中で、全ての記憶が同じレベルに記録されるわけではなく、順位付けがされます。
たとえば、「人間」という概念は「生物」の下に位置づけられる概念です。
こうしたルール付けがされているネットワークの中において、個人の名前という情報は他の概念と結びつけがされにくいのだそうです。
1.2つの情報の同時記憶
新しく出会った人のことを覚えるためには、実は「顔」という画像情報と、「名前」という文字情報の二種類を同時に記憶し、結びつけておかなければならないのです。
2.もともと名前は覚えにくい
「あ、この人前に会ったことがある人だな」というのはその人の顔を見てわかってはいるのに、なかなかその人の名前が思い出せない。
誰でも一度や二度は経験があるのではないでしょうか。
これは『名前を覚えていない』のではなくて、顔という画像情報と名前という文字情報が自分の頭の中で結びついておらず、出会って顔を見るという画像情報のトリガーがあっても、連動していないので文字情報が出てこないのです。
単なる文字情報である
元々、画像情報に比べて文字情報というのは、記憶がしづらいものです。
単純に文字情報をずらずらと並べられて暗記するというのは大変ですが、歌になっていたり絵になっていたりすると歌詞や本文も文字だけのときより覚えやすくなりますよね。
音や香り、感情など五感に刺激があると記憶というのはより強く残りやすくなります。
漢字を覚えるときにただその文字を見るのではなくて、手で書き取りながら音読してみるのも、手を動かして口で発生し、耳で聞きつつ目で見るということで様々な方向から自分脳に記憶するようアプローチしているわけなのです。
こうした努力をしないと、文字情報である名前というのはなかなか顔と結びつけて覚えることが難しいものなのですね。
訓練しよう
どうしても人の名前と顔を覚えるのが苦手だという人は、時間を見つけて練習してみましょう。
1.第一印象を早く把握する
受けた第一印象をすばやく把握して自分の中で言語化できるように、訓練してみましょう。
たとえば電車の中で座っている時間に、目の前のつり革につかまっている人や向かいの座席に座っている人を見て、特徴をすばやく捉える練習をしてみるのです。
顔のパーツを分析して、タレ目、ツリ目、唇が厚い、薄いなどを判断します。
体型や持ち物、服装なども観察しましょう。
もしその人が知り合いと一緒に乗っていて会話もしているなら、話し方やそのときの身振りなども観察してみるのです。
街を歩いているときにすれ違う人や、コンビニエンスストアで買い物をしたときに接客をしてくれた店員さんなど、普段から特徴を掴むトレーニングをしていくとだんだんと人の特徴を分析するのがはやくなってきます。
自分の中で系統立てて分類できるようになるのでおすすめです。
細かな情報を一早く判断
慣れてくると細かい情報をすぐに識別把握して、一早く判断することができるようになります。
「この人は雑なタイプ」「この人はナイーブなタイプ」と、自分の今までの経験則に従って分類してしまっても良いでしょう。