その上で、雑談をしながら「佐藤さんはとても素敵なスーツを着ておられますね」と相手の名前を呼びつつ話を振ってみるのです。
記憶が新しいうちに、実際に相手が目の前にいる間に会話をする度相手の名前をきちんと呼んでみる。
可能であれば自分が抱いた印象を補強できるような情報を引き出してみる、というのがコツです。
スーツの例でいえば、褒められて悪い気がする人はいないでしょう。
たとえ「量販店で買った安物なんです」という答えが返ってきても、「そうなんですか?佐藤さんのように素敵な着こなし方をすると、こんなに品がよく見えるものなのですね」と返すことができます。
「○○ブランドが好きで最近はずっとここのスーツなんです」と返ってきたら、「そのブランドは自分も好きです」「○○ブランドは恥ずかしながら存じ上げないのですが、どのようなメーカーなのですか」と返せれば話も盛り上がるでしょう。
話が弾んだらお互いに記憶に残りやすいです。
別れた後に名刺につけるメモも、『✕月□日に来社頂いた△△社の佐藤さん』というだけではなくて、『○○ブランドが好きな品のある佐藤さん』という方が、より印象に残りやすくなります。
眉毛が太い
「眉毛が太くてりりしい人だな」と感じたら、これも印象を膨らませていきます。
単純に『眉毛の太い人』ではなくて、『西郷隆盛さんのような太くてりりしい眉、目もぎょろっとしている。九州男児っぽい雰囲気がする。犬が好きだったりして?』という感じです。
これも、打ち合わせを終えて帰ろうとエレベーターを待っている間などに雑談ができたら、「失礼ですがご出身はどちらなのですか」と聞いてみるのもひとつの手です。
「えっ、よくわかりましたね。
実は福岡なんですよ」「自分の知っている人とちょっと雰囲気が似ていて、その人が九州の人だったので……」という感じで話をつなげていきましょう。
なにがしかの印象を自分で後付けすることによって、自分の感情を動かして名前と顔とを少しでも紐づけしやすくしていくのです。
4.すぐメモをする
感じたことは、できるだけ早くメモをとります。
議事録をとりながらノートの片隅にメモを取れる状況であれば、相手を目の前にした状態で思いついたことをどんどんメモをとっていきましょう。
その場ではメモができない状況であれば、打ち合わせなどを終えて相手が帰られてから自分の席に戻ったとき、相手の会社から出て公園のベンチで、など自分でできるだけ早いタイミングを作ってメモをしていくのです。
そしてメモをとるということを習慣にしていきましょう。
イメージを忘れないためにも
イメージを忘れないためには、できるだけすぐにメモをとることが肝心です。
相手と別れてまだ時間がたっていない、記憶が新鮮なうちにメモという形で残しておきましょう。
文字を書いてメモにすることで自分が抱いたイメージも整理され、同時に脳の中の記憶も整理されていきます。
人間の記憶というものは案外あやふやなもので、すぐに忘れてしまったり別のイメージと記憶が置き換わったりしてしまいます。
最近では名刺に顔写真がついていることもありますね。
この場合はこの顔写真を頼りに、写真を見ながらメモを整理していきましょう。
もしイラストを描くことが得意な人なら、簡単な似顔絵を書いてみるのも良いです。
似顔絵を描くということは、相手をよく観察して特徴を捉え、それらの情報を簡潔に整理して形にするという作業になりますから、記憶を紐付けるのに良い作業です。
自分で描いたイラストなら自分の記憶を思い出すのに手がかりになりやすく、より覚えやすいでしょう。
メモを見ながら繰り返す
手の空いているときに、名刺やメモを見返しながらその人の顔を思い出すようにしましょう。
何度も思い返すことが、記憶を確かなものにしていきます。
地道に反復学習を繰り返すことが、遠回りなようでいて近道なのです。
また、単純に繰り返すだけでなく「インターリーブ学習法」を取り入れてみるのも良いかも知れません。
「インターリーブ」というのは、もともとはITの用語です。
コンピューターなどが情報などのなにかのデータを処理する際に、同じものを連続で扱うのではなくて、わざとランダムに配置したものを扱うことで性能をあげるというものです。
ハードディスク全体をブロックに分割して、複数のブロックを交互に読み出しや書き出しなどのアクセスをすることで、アクセス速度が早くなります。
計算機科学や電気通信などでも使われる用語です。
これと同じように、人間がなにかを記憶しようというときにも、わざと関連性のないものを混ぜるというのがインターリーブ学習法というものなのです。