しかし、どうしても言わなければならない場面もあるのです。
では、このような場面では、相手に不満を上手く伝えるにはどのようなことに注意をすれば良いのでしょうか。
ひとつの方法としては、不満を直接的な言葉で伝えることを避けるのです。
例えば、電車に乗ろうとみんなが整列乗車を心掛けている時に、開いたドアに並ばずに割り込んで乗ろうとした人に向かって「オイ!みんな並んでいるんだ!割り込むなよバカか!」などと直接的な言葉を投げかけると、場合によっては大喧嘩になることもあるのです。
車内でも、混んできても座席に荷物を置いて平気な人もいます。
座りたいけれども荷物が置いてあるから座れないという不満が溜まってきます。
「荷物は網棚に上げてよ!みんな座れなくて困っているよ!」などと強い口調で不満を伝えると、「何よ偉そうに!言ってくれればどけるよ」などと強い口調で返すのです。
たちまち、二人の間には険悪な空気が流れるのです。
周りの人も気持ちがいいはずはありません。
そんな時には、感情的にならずに、ちょっと柔らかい表現で不満を伝える方法もあるのです。
そんな時に思い出すのは、タレントのビートたけしさんです。
自分のTVの番組でもゲストのコメントにちょっと違和感を感じたり不満を感じると、独特の言い回しで直接的には伝えないで、場合によってはユーモアを交えて例え話で間接的に伝える場面を何度も見ました。
彼独特の雰囲気もあるのですが、ジョークで厳しく伝えている時もあって、TVを見ている方もニヤッとしてしまう場面もあるのです。
上手く言いたい事や不満を伝えているように思えたのです。
まずは、直接的なきつい言葉では伝えないように気配りすることです。
オブラートに包んだ形で
若い人の中には、オブラートを見たこともない人が増えています。
昔は、お医者さんから処方された苦い粉末の薬を、オブラートに包んで飲んだものです。
ある時は、一度に多くの薬を包み過ぎて口の中ですぐに飲み込めなくなってしまい、オブラートが破れてしまうことがあります。
そうすると、苦い薬が口の中に広がってしまって慌ててしまうこともあったのです。
そんな経験をしたことがない人が増えても、「オブラートに包む」と言うと、なんとなく理解できるようです。
「オブラートに包んで」という場合には、何かに包み込んで中味を見えなくする工夫をすることだと思われているようです。
要するに、できるだけ遠回しに言うことでもあるのです。
すると、いわれた人はオブラートに包んで柔らかく言ってくれているんだなと感ずくので、その人の伝えたい不満を察してあげることができるのです。
日本人の持つ独特の表現方法なのですが、今でもオブラートは有効な道具となっているようです。
日常の会話だけでなく、ビジネスのシーンでもよく使われる手法なのです。
久しぶりに会った人が肥えていると感じた時には、「ちょっと肥えましたね」などと直接言わないで、「以前より恰幅が(かっぷく)がよくなりましたね。
重要な仕事を任されているのでしょう」などと「肥えた、デブになった」を「かっぷくがよくなった」などと言い換えるだけで印象が変わってくるのです。
これはほんの一例ですが、ちょっと表現を変えることでオブラートに包んだように伝わり方が変わってくるのです。
少し遠回しに言って様子を見る
これをストレートに伝えると、相手はどのように反応するかということを見るために、少し遠回しに言って様子を見る方法もあります。
もしも、直接これを相手に言ってしまったら、相手を傷つけてしまうかも知れないからです。
傷つけるというよりも、せっかくのムードに水を差すことになると判断する時もあるようです。
例えば、先輩とふたりで何かの作業をしている時に、疲れたからこの辺でちょっと休みたいと思った時に、先輩に向かって「疲れた~、休みましょう!」などと切り出しにくいのです。
元気で仕事熱心な先輩なら、努力家だと自分に見せつけたいために休もうと自分から言わない性格かもしれないのです。
そんな時には、「先輩!疲れていません?」などと休憩のお伺いを立ててみるのですが、「まだまだだいじょうぶだ!頑張ってやってしまおう!」などと仕事に忠実なところをみせつけられるとどうしようもありませんが。
「疲れていません?」と尋ねるのは「ボチボチ、休憩しませんか?疲れましたから」という不満を少し遠回しに言ったのです。
「よし、少し休もう」と言ってくれることを期待して言ったのですが、鈍感な人には響かないようなのです。
ある程度、敏感な人には効果がありますが、鈍感な人や無頓着な人には効果が無いようです。
こちらの不満を分かってくれない時には、「思いやりのない先輩だなあ」と失望してしまうのです。