自分の長所だの短所について、真剣に考えたのは就活の時だけでした。
誰でも長所や短所はあるはずで、それがその人の人間性なんだと思っていたからです。
自分の短所が気に入らない人とは、深く付き合わなければいいだけと思っていたからです。
そして、自分の長所を気に入ってくれた人とは、仲の良い友人となってきたはずです。
自分でも、短所は修正して行きたいとは感じますが、人に迷惑をかけないレベルであれば、そんなにあえて修正するまでも無いと思ったのです。
しかし、団体競技やチーム対抗戦ともなると、それぞれの個人の平均した実力を上げていかないとライバルには勝てないようです。
サッカーや野球、ラグビーなどは、飛びぬけた実力の持ち主を中心に、チーム全体の実力を上げることに力を注いでいるようです。
つまりは、チームのメンバーの短所を改善して平均的な力をつけさせようという方法です。
平均的に筋肉増強を図るようにトレーニングをして、平均的なレベルを上げていくことを目的としています。
短所のない選手を育てるのです。
一部の特別な人を除いて、後は誰でも同じように仕事がこなせる選手に育てているのです。
このように、長所を置いておいて短所の改善に注力してきたのです。
最近では、むしろ短所をそのまま残しておいて、長所をもっと伸ばそうという考え方が主流になってきたのです。
教育の場でも、短所を潰す指導よりも、長所を伸ばす指導の方が良いと言われるようになりました。
いわゆる、「褒めて伸ばす」という教育なのです。
子育ての現場では、以前は子供の短所を直すことがポイントとなっていました。
しかし、短所を直すことに主眼を置くと、どうしても子供を叱ることが多くなってくることに気付き始めたのです。
「何度言ったらできるの?「どうして言う通りにしないの?」「もっとはやくできないの?」などとつい激励のつもりが、叱ってしまうのです。
そして、いつも最後に「だらしがないのね」とか「やる気がないのね」などと、否定的な言葉を言ってしまうのです。
自分の子供に、こんな経験はあるはずです。
すると、この言葉を聞いた子供は、自分はだらしがないのだとかやる気がない人間なのだと感じてしまうのです。
そして、こんな言葉を毎日聞かされていくと、そのうちにやっぱり自分は駄目な人間なんだと確信してしまうのです。
自分はみんなよりも劣っているんだと思い込むようになるのです。
こんな思い込みは、それからのその子供の人生に暗い影を落とすことになるのです。
潜在的にプレッシャーをかけてしまうことになるのです。
そこで、欧米ではむしろ長所を伸ばす教育が主流となっているようです。
長所を伸ばす教育では、まずは、子供の長所を認めてあげることから始まるのです。
「走るのがすごく速いね!」「綺麗に字が書けるね」「絵がとても上手だね」などと褒めるのです。
長所を取り上げて褒めると、自分を肯定してくれていると感じるのです。
長所を認めてそれを褒め続けると、その子供は「ほかの子供よりも走るのが早いんだ」とか「絵がうまいんだ」と確信することになります。
みんなの中でも、子供ながらに自信を持つようになるのです。
すると、もっと速く走りたいとか、もっとうまく絵を描きたいとかの意欲に変わっていくのです。
その意欲は、将来の生活を大きく変えるようなのです。
子供だけでなく、大人になっても長所をしっかり認めてあげると、やはり大きな自信になってますます頑張ろうという動機付けになるようです。
大人になってからも、自分の短所を修正しろと言われることは、これまでの人生や生きざま、人格を否定されていると感じる人もいるのです。
人格まで全否定されてしまうと、自分の生きる場所がなくなってしまうのです。
会社に入ったところで短所ばかり否定されると、会社を辞めざるを得なくなるのです。
ここまで、プレッシャーは加えないようにしようということなのです。
それよりも、長所をもっと伸ばしてやって、前向きに仕事をしてほしいと考えるようです。