冠婚葬祭や旅行先の旅館で渡すことが多い心付け。
現代では心付けを行わない人や受け取りを拒否する会社が増えており、特に旅館での心付けは行われていたことすらも知らない人も増えています。
しかし、会社側やスタッフにお世話になった時、自然と「お礼がしたい」という気持ちは誰しも起こるものです。
お礼の気持ちを心付けとして渡す際には、どのような方法で渡せば良いのでしょうか?相場や渡し方など、心付けの正しいやり方をご紹介します。
心付けのマナーを知ろう
心付けとはそもそも、どのようなものなのでしょうか。
冠婚葬祭でスタッフにお金を渡すということは知っていても、何故渡すのか、そして誰にいくら渡せば良いのかを知らない若い人も増えています。
心付けを行う意味やマナーを知らないと、親に言われるままに心付けを用意したものの、「何故スタッフにも別にお金を渡さなければならないのか」ともやもやとしてしまいますよね。
渡す本人が心付けに関してろくに知らないと、受け取る側も困ってしまいます。
そこでまずは、心付けとはそもそも何なのか、その意味や由来などからご紹介していきます。
1. 心付けの意味
心付けとは、一言で表せば「感謝の気持ち」です。
誰かにお世話になった時や、とても良くしてもらった時に、人は自然と感謝の気持ちがわいてきます。
その感謝の気持ちを形で示すために、謝礼やお礼の品物を用意して相手に渡すことが「心付け」なのです。
良く知る相手や、相手の好みが分かっている場合には心付けを品物として渡すこともあります。
しかし、一般的には心付けを渡す相手は冠婚葬祭でお世話になったスタッフや、旅館の仲居さんですので、当然相手の好みは分かりません。
そこで、手軽に自分の感謝の気持ちを伝える方法として、謝礼(チップ)を渡すのです。
海外では当たり前の習慣ですが、日本ではあまり馴染みがないため、海外旅行に行った先でチップに関するトラブルも少なくはありません。
海外ではチップの有り無しでサービスの良し悪しが変わることも珍しくありませんので、行く際にはあらかじめチップの相場を調べておくと良いでしょう。
日本では心付けを断るところも増えていますので、海外のように今も習慣化していることはないのです。
2. 心付けの語源とは?
心付けは海外で言うところのチップです。
冠婚葬祭や旅先の旅館で良くしてもらったスタッフに対してお礼の気持ちを渡すことから、「こころづけ」と呼ばれるようになりました。
今ではそれを「心付け」と漢字で表すことが多いです。
感謝の心を一緒に付けて渡すという、実に日本人らしい美しい言葉の表現ですね。
3. いつ頃から始まった風習?
心付けは、古くは江戸時代から始まったとされています。
しかし、当時は庶民が旅行に行くことなどそうはないため、庶民の間で風習になっていたわけではないようです。
江戸時代に今の関西地方で「ぽち袋」が登場し、そこからお年玉やちょっとしたお小遣い、心付けなどをぽち袋に入れて渡すようになったと言われています。
江戸中期になるとお伊勢参りなどで旅館に泊まった際に、仲居さんにぽち袋に入れた心付けを渡すことが増え、それが「お世話になった人へ心付けを渡す」という風習へと変化を遂げていったようです。
4. 必ず渡さなければいけないの?
ひと昔前までは、お世話になった時や良いもてなしを受けた時には感謝の気持ちとして心付けを渡すことが多かったです。
そのため、現在でも冠婚葬祭や旅館に泊まった際に、高齢の方がスタッフに心付けを渡そうとすることが多いです。
しかし、現在では個別に心付けをもらわない代わりに、最初からサービス料金が支払いに含まれていることがほとんどです。
旅館では特に宿泊料金にサービス料が含まれていますので、その上さらに心付けまで渡す必要はまったくありません。