そのような社会的な背景のもと「パラサイト・シングル」という言葉は生まれたようです。
高度経済成長期には農村部から都市部へと人口は移動していたので、親から離れて都市での仕事をするために生活する人は多かったものの、最近ではそのようなことが必要なくなったり、マイホームブームで親子の同居が十分可能な持ち家を所有している家族が多くなったため、子供たちが一人暮らしをする必要がなくなったことなどが関係して、パラサイト・シングルが多くなったともいわれているようです。
山田氏によると、パラサイト・シングルはサラリーマン社会特有の現象で、日本と同じようなことが韓国やスペイン、イタリアなどで多くみられるそうです。
さらに、サラリーマン家庭でなくとも農村部でも親と同居している独身者が増えているそうです。
収入に対して生活費が高いという社会の中では多くこのパラサイト・シングルの傾向が強くなると言われています。
親と離れて暮らす必要性がないとか、生活費が高くて一人暮らしができないという人は多いですよね。
なのでこれは、今の現代社会特有の現象ということになりますね。
使い方
「パラサイト・シングル」ですが、単に「パラサイト」とも言われています。
そして、動詞として「パラサイトする」なんて使われることもあります。
「パラサイト」が「寄生」ということで、そのような人をかなり軽蔑的に呼んでいるように聞こえますけど、ただ「寄生」とはいっても、寄生虫のように宿主を害するようなものからの由来ではないようです。
コケが木に寄生しているように、お互いに共生しているということです。
しかしながら、多くの場合「親のすねかじり」とか、独立せずに誰かに依存して生きているといった、親の年金をあてにして生活しているような人を軽蔑的に呼ぶ言葉として使っている人も多いようです。
それで、居候している人とか、厄介者という意味で使われることも多く、「パラサイトしている」という言葉は、経済的に余裕のある親と同居している未婚の子どものことを指して使われています。
類義語
「パラサイト」と同じようなことを指す言葉として「ニート」とか「親かがり」とか「被扶養者」といった言葉があります。
「引きこもり」もその中の一人となっているようです。
自立できずに親に養ってもらっている人のことを指しているので、そのような類義語が出てきます。
しかし、パラサイトのすべてが仕事をしてないということでは決してありません。
多くの場合、仕事をしていますが親と同居しています。
さらに、他の人の家(それが親であろうと知り合いであろうと)に同居して、食事を食べさせてもらったり生活の世話をしてもらっている人のことを「居候」とか「食客」ということもありますね。
つまりただ飯をもらっている人と、パラサイトが同類と思われていることがあります。
だれかに依存して栄養をもらって生きる、生き方としての同類語として挙げられているわけですね。
パラサイトのメリット
最近、多くなっているパラサイト。
独身者の中にはこのパラサイトすることを選んでいる人も多いのですが、パラサイトにはどんなメリットがあるのでしょうか??
親とずっと一緒にいられる
パラサイトはつまり、親から独立して生活していません。
それで、ずっと親と一緒にいられるんです。
親子関係に変化が出てきた現代では、親も子も、お互いにずっと一緒にいられることを望みます。
家から出て親から離れることを怖がったり、さみしいので、それをしたくないと思っている若者が多くなりました。
昔は、さみしいとは言っても最低でも学業が終わったら家を出て自分の生活をする、とか遠い地に仕事に行くということは普通でした。
ですが、今では実家にいながら仕事をすることもできるし、もし親から遠く離れてしまうのなら就職せずに、地元で非正規雇用として働けばいいや、と考える人も増えています。
愛する親、世話してくれる親と一緒にいられるのは、確かに楽ですよね。
一番めんどくさくないし、都合がいいかもしれません。
もちろん、親とずっと一緒にいることを選んだ人の中には、自分の都合ではなく、親の必要のためにそうしている人もたくさんいます。
どちらにせよ、パラサイトには親と遠く離れずに、一緒に暮らせるというメリットがあります。
無意識に親孝行が出来ている
パラサイトと言うと、自立せずにだらしがないと言う目で見られることがよくあります。