一生懸命生きていても、時には思わぬ事態に遭遇して、大きなミスをしてしまうことがあります。
ある技術で世界的にも注目されている中小企業の社長に、アポを取って取材に出かけることになりました。
社長はとても忙しいとのことで、朝一番に面接の約束を取り付けました。
毎朝7時には出社しているので、7時半に社長室で待っていますとのことでした。
当日は同僚とふたりで早めに出かけたのですが、まだ社員も出社途中のようでほとんど見当たりません。
社長室の場所が分からなかったので、ウロウロしていると広い倉庫の中で床を掃いていた作業員を見つけました。
ちょっと汚れた作業服に、腰にタオルをぶら下げて熱心に掃除していたのです。
同僚がその作業員に聞いてみましょうと言って「おはようございます。社長室はどこでしょうか?」と聞くと、「玄関を入って奥の突き当りの右側です」とのこと。
「ありがとう」とお礼を言ってから、「ここの従業員のみなさんは、朝早くから熱心なのですね」とコメントを残して社長室に向かいました。
社長室に着くと秘書の方が出迎えてくれて、お茶を頂きしばし社長を待つことになりました。
そこに現れた社長は、白いワイシャツにネクタイ姿で綺麗な作業服に身を包んでいました。
礼をした後で頭を上げて顔をまじまじと見たとたんに、同僚は「あっ!」と声を上げたのです。
そこで「お前、以前にお目にかかったことがあるのか?」と同僚に聞くと、「先ほどは失礼いたしました。社長様とは存じ上げなかったので・・・」と恐縮したのでした。
つまり、先ほど社長室の場所を聞いた作業員は、じつは社長だったのです。
まさか社長が朝早くから作業服で倉庫の掃除をしているとは思わなかったので、ついぞんざいな態度を取ってしまったのです。
その後の社長へのインタビューでは、同僚はほとんど話せずにわたし一人で対応することになりました。
あれから数年が経って、今では和気あいあいと会話ができる関係になりました。
社長は、当時のことを振り返って大笑いするのですが、同僚はその社長との面談になると緊張が続いて、いまだに自己嫌悪に陥っているのです。
早く忘れたいのになかなか忘れられないことがあるのです。
しかし、辛いことや嫌なことがあっても、すぐに忘れてしまう人もいるようです。
忘れるのが特技のような人もいます。
では、どのようにしたら忘れられるのかを探ってみたいと思います。
忘れたいのに忘れられない!
好きな人ができると、その人のことが一日中頭から離れなくて忘れられないものです。
夜眠る時に目を閉じると、好きな人のことを思い出してしまうのです。
恋愛が発展して結婚することになれば良いのですが、不幸にも破局してしまっても、やはり忘れられなくなってしまうのです。
失恋すると、忘れようと頑張るほどに忘れられなくなるようです。
忘れられなくなるということは、つらくて苦しいものです。
学生の時に、試験勉強をしながら、なぜ覚えたことはすぐに忘れるのだろうと不思議でした。
そこにいくと、失恋したら絶対に相手のことは忘れることはないのです。
この違いは何なのでしょうか?もちろん、勉強の方が覚える内容も多くて複雑なことは分かりますが、それだけのことでしょうか。
そこで、好きになった人に振られて、相手のことが忘れられなくなった理由について考えてみました。
それは、①これまでで最高の感動や愛情を覚えたから、②振られたり失ったりしてショックが大きかったから、③プライドが傷つき憎しみや恨みをおぼえたから、④その苦しみを乗り越えて再起すると自分に誓ったから、などです。
このような理由で、脳にその状況がインプットされるので、記憶に残ってしまうようです。
恋愛だけでなく、他の出来事でも同じような理由で忘れられなくなるようです。
引きずりがちな性格を治したい
忘れたいけれど、なかなか忘れることができないと悩む人は、何事も引きずりがちな性格とも言えます。
ここでいう「引きずる」というのは、何かショッキングな出来事が起こって、気持ち的にそれを素直に受け入れることができなくて、落ち込んだり悔んだりし続けることです。
周りの人は、落ち込んでいる人に対して、「もう済んでしまったことだから仕方がない。また頑張ろう」と慰めてくれるのですが、それでも現実の世界にはなかなか戻れないのです。