お湯を沸かす時の蒸気が部屋に流れてゆくので適度な乾燥対策にもなります。
かなりエコな生活を送れる訳です。
更に火鉢の上に金網のメッシュを置けば簡単なものなら焼く事も出来ます。
下に脂が垂れないものなら何でも焼くことができますが、やはり定番といえばお餅でしょう。
お正月、皆で火鉢を囲んで銘々のお餅を網の上で焼きます。
時間が経てば「プクー」と膨らんでゆくお餅を見る事ができます。
日本に昔からあった家族団らんの時間といえますね。
さらにお酒好きの人にとったらやかんの中で熱燗をセットすることもできますし、網の上でスルメを焼くこともできます。
昭和の頃のお父さんたちの至極の晩酌タイムが復活するという訳ですね。
ストーブが普及され始めて火鉢の姿は減った
日本の古き良き時代を思い起こさせてくれる「火鉢」。
しかし、時代の推移と共にその姿はどんどん私たちの目の前から消えていってしまいました。
そこには先進国となっていった我が国の住環境の変化が大きく影響してくるのです。
手間がかかる・一酸化炭素中毒の恐れ
その生活環境の変化というのは「ガス・電気」の普及です。
それプラス「灯油」を使ったストーブの出現が火鉢の運命を大きく変えてしまいました。
火鉢のウイークポイントは何といっても火を熾すまでの手間です。
現代ならば炭の上からバーナーで火をかけて火を熾す事も可能ですが当時の家庭にはそのような便利なものはありません。
よってお母さんたちが表に出て炭を別の場所で熾しそれを火鉢に移していたのです。
更に炭の後始末にも神経を使いました。
消えていると表もまだ内部で火が残っている可能性があります。
炭を燃やしている時に最も怖いのが一酸化炭素が発生するという事なのです。
だから定期的に部屋の空気の喚起を行わなければなりませんでした。
そうしないと最悪、一酸化炭素中毒で睡眠中に死亡してしまうという悲劇もあり得たのです。
ところが灯油やガス・電気の出現はこれらの手間や一酸化炭素中毒の恐怖から解放してく
れました。
点火したい時に簡単にそれが出来、消したい時も指一本で消火できます。
これでは手間がかかって一酸化炭素中毒の危険性のある火鉢が消えてしまうのも無理はありませんね。
こうやって昭和の後期に至る段階において家庭から火鉢が消えていった、という事になるわけなのです。
「簡単・便利」のキャッチフレーズの前にはさしもの火鉢もひっそりと消えてゆくしかなかったのですね。
火鉢の種類あれこれ
それでは次に火鉢の種類についてみていきましょう。
長火鉢
火鉢の種類の最初の1つ目は「長火鉢」です。
これは時代劇やドラマでお馴染みの火鉢ですね。
サイズ的にも横の長さは1メートルくらいはあるでしょう。
どっしりとしたいかにも貫禄たっぷりの火鉢です。
時代劇では悪玉の親分がキセル片手に長火鉢の向こうに座してこちらに睨みをきかせる風景が目に浮かんできます。
この長火鉢、外部は木製になっていて内部には鉄が使われています。
今の時代だったら和室に1つあったらいかにも純日本風という演出をやってくれることでしょう。