例文5「ここ数日、かなり仕事で無理をなされたようですね。くれぐれもお体お気を付けください」
「お体に気をつけて」の使い方の5つ目は「ここ数日、かなり仕事で無理をなされたようですね。くれぐれもお体お気を付けください」です。
これは恐らく職場が同じであるか、もしくは部署は違っているが同じ社内にいて、心思う人の安否を気遣う気持ちが伝わってくる表現と言えるでしょう。
通常、ここまで丁寧に言葉を発するケースは親しい間柄や親子関係では、あまり使われません。
やはり恋人同士であったり密かに相手の人の好意があって、それが思わぬ形で口を突いて出た、というのが偽らざるところではないでしょうか?
こういった関係でいられるのも、素敵なことだと思いますね。
仲の良い人ならそのままでOK
さて「お体に気をつけて」という表現は、どんな人に対してもこのように使うのが望ましいのでしょうか?
先程も少々触れましたが、非常に仲の良い関係であったり、親子関係のような間柄であるならばここまで、丁寧に表現する必要もないでしょう。
「外が急に暑くなったから気をつけてや」とか、「熱中症に気を付けて!」という程度の表現になってしまうのではないでしょうか?
まあ、親子関係であったり友人同士の関係ならばこれで十分、相手の意思は伝わりますよね。
逆にこれ以上の丁寧な言い方をされたら、何かこっち隠し事でもあるのではないか?というあらぬ疑惑も出かねないかもしれませんからね。
こういった具合に「お体に気をつけて」という言い方は、相手に対して尊敬や敬意を込めるべき相手に対して使われる、という事がハッキリ分かりると思いますよね。
目上の人には付け足しを!
尚、「お体に気をつけて」という言い方を用いる時は、時と場合によってバリエーションを工夫して用いれば、さらに有効で効果的な表現方法となるでしょう。
例えば相手の人が目上の方であった場合。
こちらが年下なのに、いきなり「お体に気をつけて」と言ってしまったら、なんだか物凄い「違和感」を感じる事になってしまうと思いませんか?
そう、すごく「上から目線」でものを言っているように聞こえますよね。
これでは社会通念上、円滑な人間関係の序列がおかしくなってしまう事態を招いてしまう事になるでしょう。
どこの世界でも国でも同様だと思うのですが、人間関係における年上、年下の関係というのはそこに暗黙の了解の上で成り立つ不動の「上下関係」というものが横たわっているのです。
だから、子供は親に対して横柄な口は利かないものです。
親子関係には子供が入ってゆく事を禁ずるかのような一種の「聖域」とでもいえる「親が親たる威厳の域」というものが存在しているからです。
だから子供の立場から親に対して「お体に気をつけて」という言い方を行うのはどこかよそよそしい、真の親子関係から逸脱してしまったものを感じるのです。
江戸時代や明治時代の頃のような親子間関係であるならば「お体に気をつけて」と言うよりも更にもう一歩踏み込んで「お体、お気を付けください」という感じで、大きくへりくだった物言いが要求されていたでしょう。
しかし、このような封建的な人間関係が存在しない今の時代ならば親子関係でここまで丁寧に言う必要もなくなった、と言える訳なのですよね。
その代り、外部の人間に対しては一定レベルの丁寧な表現で行う必要がまだまだ残っているのです。
それは会社の上司や先輩、あるいはお得意先の顧客に対して、ハッキリと残っているのです。
そこでこういった類の目上の人、あるいは顧客に対しては通常の「お体に気をつけて」にプラスアルファで別の言葉を付け加える配慮が必要になってくるのです。
例えば会社の上司に対してなら、「お体にお気をつけくださいませ。」とか「私共◯◯部の一同、◯◯部長のご加減を心より心配申し上げております」などといった表現を付け加える努力が欲しいところとなってくるでしょう。
相手の人が目上の人であるならば、どういったタイプの人でどのような付け加えを言えば最も喜ばれる言い方になるのか。
それを十分考えた上で使うようにやっていきましょうね。
「お体」と「お身体」の違い
それでは次に参りましょう。
「お体に気を付けて」で使われております「お体」という漢字。
私たちの日常生活に「体」には、「体」と「身体」という2つの言葉が用いられていますよね。
それでは今回のテーマである「お体に気を付けて」は一体どちらの漢字を用いるのが正解なのでしょうか?
この問題について少しばかり触れていく事にしましょう。
お体の意味
ではまず最初に「お体」の方の意味からみていきましょう。