普通の会話ではほとんど使わない言い回しでも、ビジネスの世界ではよく使う言い回しがあります。

独特のニュアンスで意味が通じるのです。

例えば「痛み入ります」もその一つです。

刀を腰に差した武士同士で、何かをしてもらった感謝の言葉として「痛み入ります」と伝えるのです。

この言葉の意味は、相手の行為に対して恐縮した時に使われるようです。

この言葉は、古い言い回しだと思うのですが、現代のビジネスシーンでも時々使われるのです。

取引先のひとや上司に対して、改まった時に言うことが多いようです。

この言い回しを使うと丁重に謝辞を伝える時に効果的であり、ひとりの有能なビジネスマンのマナーとしても覚えておくとよい言葉です。

逆に、職場の中で仲間には使うことはありませんが、もしこの言い回しを使うと、「何?どうかしたの?」と頭を疑われてしまいそうです。

まあ、仲間同士では、「すまん、すまん!」程度の挨拶で済むはなしです。

言われた方も、キョトンとしてしばらくは理解できないかも知れません。

それよりも、ビジネスの時に緊張した場面で相手の配慮に感謝する時に、単に「ありがとうございました」と言うよりも、「ご配慮、痛み入ります」などと伝えると、もっともらしく丁重にお礼を伝える雰囲気が出るのです。

ビジネスのシーンでは、馴染みの取引先も増えてきます。

すると、相手の会社に対して気配りをしてくれる時があるのです。

例えば、いつも同じ原料を納入している会社の営業マンが、しばらくの間注文が途絶えていることに気付き不審に思ったのです。

ちょっと調べてみると、他社に横取りされた様子もないのですが注文が途絶えているのです。

相手の工場の課長もよく知っているのでそれとなく打診してみると、その原料は不足気味で生産に支障がでそうだとの事でした。

それを知って急いでその会社の営業マンに現状を伝えると、営業部の発注ミスだと分かり急遽注文を出したのでした。

その後その営業マンがお礼の挨拶に尋ねてきて、原料の異常な動きに着目して在庫不足を防いでくれたその配慮に対して「痛み入ります」と伝えたのです。

本来なら注文を出す立場の会社が注文することを忘れ、受注する立場の会社の担当者が気づいて教えてもらい窮地を脱したのです。

もう少し注文が遅れると、工場も稼働が止まって大きな損害を被るところだったのです。

まさに「痛み入る」状態だったのです。

では、さらに「痛み入る」の使い方や意味について、もう少し調べてみました。

「痛み入る」の使い方はあたってる?

「痛み入る」とはどんな場面で使うのでしょうか。

「痛み入ります」というような言い回しをするようですが、かなり改まった場面で使用されるようです。

親しい相手に使うと逆に不自然に感じてしまうので、そんな時にはストレートに「ありがとう」と感謝の言葉を伝える方がいいのです。

それに対して、仕事に関していろいろと便宜を図ってもらった時や支援をしてもらった時に、心の底から感謝をしている気持ちを「痛み入る」と言う言葉で表現するのです。

ただ、逆の場面もあります。

というのは、ある理由があって控えていたことに対して「忘れているのでは?」などと問い合わせたことに対して、「ご忠告痛み入るよ」などと皮肉を込めた使い方をすることもあるのです。

分かっていることに対して敢えて忠告されたことに対して、余計なおせっかいだと少々怒っているのです。

ビジネスシーンよりも、親しい仲間うちで皮肉っぽく言う時に使います。

「言わなくても分かっているよ」というニュアンスです。

親しい仲間では、「痛み入る」ことを逆手にとって言い返す時の言い回しです。

「痛み入る」の意味


「痛み入る」の言葉の意味は、大きく二つあります。

①一つ目は、相手の親切や好意に恐縮するという意味です。

これは、何も自分が行おうとしていることや出来なかったことを代わりにしてもらった時に、感謝を込めて言う時に「痛み入ります」と真摯にお礼を言うのです。

そんな場合でなくとも、何かの会合に思いがけなく招いてもらった時など、その配慮に対しても「ご配慮痛み入ります」などと挨拶に使われます。

②二つ目の意味は、相手の行動に感謝するという行為の反対の意味です。

つまり、「余計なことをしてくれて嬉しいよ」と皮肉を込めて伝える言葉です。

この使い方を心得ていれば、相手の気持ちも理解できるのです。

相手の親切・好意に恐縮する

こういう場面はよくあることです。

例えば、サークルリーダーとして頑張っているのですが、自分が計画してある自然公園に出かけて、そこで仲間8人でバーベキューを楽しもうとしたのです。

そのバーベキューの施設にも予約を入れて置いて、材料も手配して準備万端のはずだったのですが、当日の午前中に急用が出来てしまいました。

昼から合流できるのですが、それまでは誰かに代行してもらわなくてはなりません。

そこで、二つ年上の先輩にお願いして材料の仕入とバーベキュー会場の利用許可証を持参してもらうことにしました。

午前中は急用で抜けたのですが、その仕事をその先輩がキッチリと対応してくれて、無事にバーベキューを始めることができました。

その時にやっと会場入りしたわたしは、みんなに遅れたことを詫びた上で、その先輩には「代わりにやって頂き、痛み入ります」と謝辞を伝えたのです。

自分がやることを面倒がらずに親切にもやって頂いたその好意に感謝したのでした。

また、老いた母を連れて電車に乗った時に、前に座っていた紳士がサッと立ち上がり、「どうぞお座りください」と席を譲ってくれたのです。

そんな時には、「ご親切に痛み入ります」とお礼を言ってしまいました。

相手の温かい心に感謝したのでした。

このように、いろんな場面で、感謝の気持ちを真摯に伝えたいときに使う言い回しなのです。

相手の厚かましさにあきれる

「痛み入る」は、相手の遠慮のなさ、厚かましさに呆れる時にも使います。

例えば、何事にも自分中心で強引な人がいます。

何かの目的で集まる日を決める時にも、「今度の土日は予定があるし、来週も都合が悪いから再来週にしてほしい」などと注文をつけて、さらに「会場は〇〇駅前が都合がいい」と指定もする始末です。

リーダーは、まだみんなで何も話し合いもしていないうちから誘導されたことにムカッと来て、「ご提案痛み入ります」と答えたのでした。

相手の厚かましさに呆れてしまったようです。

また、参加も不参加も言っていないにも関わらず、ある会合への参加者が少ないという事情から、「君は参加すると届けておいたからね」と上司から言われたのです。

当日はたまたま家で用事があったのですが、それを嫌がる家内に頼み込んで出席することになるのです。

そのことが頭をよぎってしまい上司には「ご手配痛み入ります」と告げたのでした。

こちらの都合も聞かずに、参加者が足らないことを理由に強引に参加させるなんて、その配慮の無さに呆れてしまったのです。

直属の上司でもあったので、つい強引な行為にも了解せざるを得なかったのです。

「頼んでおいたからね」「OKと言っておいたからね」などと、事後報告の形で言われることが多いようです。

いらないおせっかいだと気分が悪くなるのです。

「痛み入る」の語源

「痛み入る」の「痛み」ですが、「痛み」という言葉と同じ発音の言葉「傷み」があります。

同じ発音の漢字のことを「異字同訓」と言います。

文字で見るとよく分かるのですが、声で聞くとそれだけでは区別はできません。

漢字では「傷み入る」などとは書きません。

そこで、まずは「痛み」と「傷み」の区別をしておきたいと思います。

「痛む」の「痛」に関して考えてみますと、「痛」を使う熟語は「頭痛」「胃痛」「腰痛」などとそれぞれが痛みを伴った言葉として表現されます。

頭が痛い、胃が痛い、腰が痛いなどと具体的な部位を指して痛みがあることを表現しています。

つまり、「痛」とは物理的な痛みに関して使われているのです。

つまり「痛む」とは、①病気や怪我で、身体に痛みを覚える時、②心に痛いほどの悲しみや苦しみを感じる時に使われます。

「痛み」とは、主に病気や怪我の時に使われて、心の病気の時にも「心が痛む」などと使われます。

これに対して「傷む」の方の「傷」は、「切り傷」や「擦り傷」「重傷」「負傷」などと怪我をした時に使われるようですが、「傷」の意味は①きず、怪我のこと、②きずつく、そこなう、③いたむ、悲しむ、の3つがあります。

「傷」が使われる目的は、「自動車のバンパーが傷つく」「文化財が何者かによって傷つけられた」「買ってきた果物は傷ついていた」などのように、器物や食べ物などが傷ついた時に使われるようです。

「傷む」の方は「ものが腐ったり傷ついたりした時に使われるようです。

物理的な痛みを感じた時に使う「痛み」と、器物や食物が腐ったり傷ついたりする時に使う「傷み」とは、しっかりと区別しておきましょう。

そこでまとめますと、「痛み入る」とは「痛み」が「入る」ということで、「入る」とは「しみる(染みる、沁みる)」という意味です。

古語においては、「痛む」ということばの意味は「心の痛み」を指していたので、「痛み入る」とは「痛いほど心に染みる」という意味になっているのです。

身体と同じように心の中に痛いほど染みている状態なのです。

「痛み入る」の類語

「痛み入る」は大きな感謝を表現する時によく使われます。

特に目上の人に助けてもらった時などに、ややかしこまった場面で使われます。

この言葉を言う時は、ビジネスのシーンでもそう多くはありません。

仕事の上で大変世話になった時とか。

先方の配慮に感動した時などの場面で使われるようです。

目上の人の配慮の無さに呆れてしまって皮肉っぽく使う時がありますが、こんな場合も少ないようです。

ここでは、大変お世話になった時のお礼を込めて表現する時の類語をまとめてみました。

「痛み入る」の類語でよく使われるのは、「恐れ入る」「恐縮する」「有難い」などです。

恐れ入ります

「恐れ入る」の意味も二つあります。

①一つ目は、相手から頂いた好意などを有難いと思うことであり、また相手に多大な迷惑をかけてしまって、それを申し訳なく思う気持ちなのです。

どちらの場合も、恐縮をしながら感謝を表しているのです。

②二つ目は、相手のあまりのひどさに、言う言葉もないほどに呆れることです。

期待していたけれども、まったく役に立たないどころか、身内の足を引っ張ってしまうような失態をしてしまった時に、「あいつの行動には、恐れ入ったよ」などと、あいつはとんでもない奴だと非難する時に使います。

予想を超えたひどさだったということです。

このように、「恐れ入る」という言葉の意味は、優れている点にすっかり感心してしまう時と、あまりにも劣っていることに感心してしまうことの両面があるようです。

前者は、素直に褒めている時に使用し、後者はバカにしている時に使うようです。

恐縮です


ビジネスの時に、「恐縮です」という言葉をよく耳にします。

目上の人に対して使っているようです。

何かをしてもらった時やお礼を言う時に、敬語として「恐縮です」を使うようです。

「申し訳ありません」などという代わりに使われているようです。

そもそも「恐縮」の意味は、恐れから身がすくむ状態のことです。

恐れによって身体が動かなくなるほど緊張してしまっている状態を表しているのです。

ビジネスのシーンで「恐縮です」が使われる場合は、「相手から思いやりの厚い気持ち(厚意)を受けた場合などに感謝する気持ちや、相手に迷惑をかけてすまないと思う気持ちを表現する時です。

つまり、「恐縮です」は、「有難うございます」や「申し訳ございません」よりもかしこまった表現であると思われます。

「恐縮です」は、陳謝と感謝のかしこまった表現と考えてください。

この、陳謝や感謝を表現する幅も広くて、ある意味では社交辞令的に使われる場合も多いようです。

「今度のゴルフコンペの優勝者の予想を聞かれたから、君の名前をあげといたよ」などと上司から雑談の時に言われたので、「恐縮です」などと返答するのです。

優勝候補にあげてもらったことに対する謝辞とでも言うのでしょうか、社交辞令的に軽い気持ちで「恐縮です」と言うようです。

ただ、よく使われる言葉なのですが、「恐縮ですが」と「が」を追加すると少しニュアンスが異なってきます。

「恐縮ですが」とは、「申し訳ございませんが・・・」とか「お手数ですが・・・」などと、何かをお願いする時によく使われます。

初めから謝辞を述べておいてから依頼するという感覚です。

「恐縮ですが、ご署名とご捺印をお願い致します」とか「恐縮ですが今回の会合は欠席させていただきます」「恐縮ですが、夜間は裏の非常口の方をご利用ください」などと使います。

このような「恐縮です」や「恐縮ですが」は、意味が幅広いところがあって、目上の人や上司などの敬意を払いたい人に対して使用すると、とても丁重に答えているように思われます。

社会人として、覚えておくと便利なフレーズでもあるのです。

【「恐縮です」の正しい使い方は、こちらの記事もチェック!】

助かります

「ちょっと疲れたなあ」とか「ちょっと面倒だなあ」などと気が滅入ったところに、「手伝うよ」と言って仕事を手伝ってもらった時など、「助かります」とお礼を言う時が多いものです。

大きな荷物を積んで狭い道を自転車で通ろうとしたら、向こうから来た人が片側に避けて通りやすくしてくれたのです。

その時に、その人の側を通り抜ける時に「助かります」と会釈をしたのです。

何かを両手に持っていて両手が塞がっている時に、入り口のドアを開けてくれたり、雨が降る中をタクシーから降りようとしたら、濡れないように傘を差してくれたりした時に、感謝をして「助かります」と言ってしまいます。

日常生活の中で、ちょっとした事での感謝の気持ちを表現する時に、「ありがとうございます。助かります。」と普通に使う言葉です。

ビジネスの世界では、相手が助けてくれたことに対してお礼を言う場面が多くあります。

「〇〇の折には、大変助かりました」のように言います。

しかし、厳密には「助かりました」は「ご苦労様」と同じようにねぎらいの言葉ですが、通常は目上の者が目下の者に向かって言う言葉なのです。

だから、友人や同僚、身内の者に向かって言う時はいいのですが、目上の人に対して「助かります」などは、本来失礼に当たる表現であることを覚えておいてください。

目上の人には、「〇〇していただき、ありがとうございました。」あるいは「〇〇していただき、御礼申し上げます」と言うのが一般的です。

「助かります」は、親しい人に対して使う言葉です。

有難く存じます

「有難く存じます」という表現は、日常会話ではほとんど使われません。

ビジネスの場面でも、会話のシーンよりもメールや手紙でのお礼の表現に使われることがあります。

しかし、よく見ると「ありがとう」の言葉の次に「存じます」という謙譲語が続くのですから、違和感を持つ人も多いようです。

「存じます」は「思います」の謙譲語なのです。

「ありがとうございます」「助かります」「大変嬉しいです」と感じた時に、それを丁寧に伝える時の言葉なのです。

敬語の使い方に違和感を持っても、「有難く存じます」という表現は正しいのです。

謙譲語という敬語が使われているということは、同僚や部下に使う言葉ではないようです。

自分をへりくだっていることから、目上の人や大事なお客様に対して使われるのです。

「平素よりご厚情を賜り、有難く存じます」「迅速なご対応を、誠に有難く存じます」「わざわざお越しいただき、誠に有難く存じます」などと使われます。

忝うございます

「忝う(かたじけのう)ございます」と読みます。

この言葉は現代の日常会話には出てこないと言ってもよいでしょう。

「忝い(かたじけない)」という表現は、現在でもよく使われます。

「忝い」とは①(身に余る好意、親切に対して)感謝に絶えない、有難いという意味と、②(分に過ぎた処遇に対して)恐れ多い、もったいないという意味です。

「忝い」「有難い」「もったいない」は、自分には不相応で恐れ多いという意味から、感謝の気持ちを表すようになって、日本人独特の感情表現でもあるのです。

「忝い」をさらに丁寧に伝えるのが「忝うございます」で、「お心のほどは身に沁みて忝うございます」「わたしをお選びくださって、忝うございます」などの文例があります。

「痛み入る」の使い方と例文

ビジネスでは時々活用する「痛み入ります」という言い回しは、目上の人や取引先の大事な人に対して改まった場面で使うと効果的な言葉です。

この言い回しを使う時は、相手方から手厚い配慮や好意を受けた時に、真摯に感謝の気持ちを表現する時です。

この言葉の中の「痛む」とは「心が痛む」という意味でもあり、恐縮しているさまを表現しているのです。

ではどのように使うか、使い方と例文をまとめてみました。

目上や取引先に使う言葉

「痛み入ります」という言葉と「恐れ入ります」という言葉は、どちらも相手の好意に対して感謝を表す言葉ですが、感謝の度合いとしては「痛み入ります」の方がより強い感謝の気持ちだと思ってください。

目上の人や取引先の大事な人に対しては、「痛み入ります」の方があなたの心情がより強く届くはずです。

友人や同僚に使うのはNG

「痛み入ります」は改まった言い方なので、友人や同僚に使うと不自然な感じになります。

親しい人には、「ありがとうございます」とか「恐れ入ります」と伝える方が良いでしょう。

例1:皆様のお心遣い痛み入ります

突然、無理なことを頼んだので、やってはもらえないだろうと思っていたところ、快く引き受けてくれた時にはほっとして嬉しいものです。

そんな気持ちを表現する時にも「痛み入ります」は効果的なのです。

「この度は、突然のお願いにもかかわらずご快諾いただき、誠にありがとうございました。皆様の心遣い痛み入ります。」

例2:御丁寧なことで痛み入ります

これぐらいのことはやってくれるだろうと思っていたのだが、その期待以上に応対してくれたことに対して心の底から感謝した時です。

「ご多忙の折から、わざわざお越しいただきありがとうございました。御丁寧なことで痛み入ります。」

例3:お褒めのお言葉をいただき痛み入ります

尊敬していた人や恩人と慕っている人からの言葉には、心の底から感動する時があるのです。

そんな人からの褒められたことに対して、「お褒めの言葉をいただき痛み入ります。」とお礼を言うのです。

例4:ご面倒をおかけすることになり、痛み入る思いです

目上の人に何かを頼むときには、相手に面倒な思いをさせることを断り、謝意を表します。

つまり、「ご面倒をおかけする」ことになります。

それを快く受けて頂いたことに対して「ご面倒をお掛けすることになり、痛み入る思いです。」と心から感謝する言葉です。

「痛み入る」を使用するシーン

「痛み入る」とは、日常生活ではめったに使わない言葉です。

時代劇の中で、侍が何かの恩義を感じた時に言う台詞のように感じるからです。

この時代の「痛み」とは心の傷みのことを指しているようで、現代風に言い換えると「心の芯がジンと感じるような強い痛み」とでも言うのでしょうか。

そんな気持ちを感じる時に「痛み入る」となるのですが、それを目上の人から感じた時に、「痛み入る(痛み入ります)」と表現するようです。

そして、相手からの好意や親切に対して感謝しつつも、自分にはもったいない事だと謙虚に受け止める時に使うようです。

ビジネスのシーンでは、礼儀正しい印象を与える言葉としてよく使われるようです。

別の表現をすると、「身に余る光栄」なのです。

自分にはもったいないことで、心を強く感動させてくれるシーンとはどのようなシーンなのでしょうか。

取引先にて

ビジネスでは、得意先様との取引に関するシーンに多いようです。

会社の先頭に立って活躍するビジネスマンは、会社の継続的な発展を推し進めていく上から、取引先との円滑なお付き合いが望まれます。

商売の担当者同士では、時にはお互いを思いやる行動も見受けられるのです。

例えば、ある会社の仕入担当部署の事務員からの発注が明らかに発注ミスだと思われたときには、受注した側の担当者がその旨を営業マンに連絡して確認してもらいます。

すると、相手の会社はまったく別の商品を発注していることが判明し、さっそくキャンセルの連絡と本来発注するはずの商品の発注書を送ったのです。

もし、そのままの状態では、違う商品の返品交渉やら余計な送料の発生など、煩雑な処理をしなければならなかったのです。

ましてや、相手の会社も納期に追われることにもなり、お互いが損をする羽目になるところだったのです。

受注した会社がすぐに気が付かなければ、大きな問題に発展したことです。

その時に、間違った発注をしてしまった側の担当者が、相手先の担当者に対してお詫びと感謝の気持ちをメールで伝えたのでした。

「弊社の発注ミスに対しまして、迅速なご対応をいただき感謝しております。貴社のお心遣い痛み入ります。」

結婚式や歓迎会の挨拶にて

小学校の教員をしていたが、その当時の教え子の女の子から結婚式の披露宴の招待状が届きました。

その子が卒業して10年以上が過ぎましたが、お目出度いお招きなので出席する事にしました。

披露宴会場に着くと上座の席が用意されていて、ご両親からもご丁寧な挨拶を受けました。

スピーチも頼まれていましたのでドキドキしながら待っていました。

すると、披露宴前に幼い時のスナップ写真を放映していたのですが、その先生との楽しそうな学校生活の写真が幾度も映し出されました。

その先生が大好きだったようです。

そしてスピーチン垢に、「こんな晴れやかな席にお招きいただき痛み入ります。」と添えたのでした。

日常会話では使用しないのが鉄則

「痛み入ります」という表現は、かなり目上の人に対する形式ばった言い方です。

ものすごく大きな感謝をしているという事ですから、日常会話ではこのような場面はほとんどないと思われます。

親しい人達の間では、使わない方が良いでしょう。

そんな時には、ストレートに「ありがとうございます」というのが一般的です。

日常会話で使うと、なにか嫌味を言っているようにも取られてしまうためです。

「痛み入ります」の返し方

もし、「痛み入ります」と言われたときの返す言葉はどのように言えばよいのでしょうか。

とんでもございません

本当に相手に対して感謝をされるようなことをした時、あるいはそれほどのことをしたとは思わなかっても、相手がその気で「痛み入ります」と言った時には、「とんでもございません」が一般的な返答です。

「大変ご迷惑をおかけしまして、痛み入ります」「とんでもございません」なのです。

関西風では「なにをおっしゃいますやら」なのですが。

「痛み入る」は敬語?

「痛み入る」は目上の人に対して敬語として使われる言葉です。

相手からの好意や親切に対して、自分にはもったいないと感じつつも感謝する言葉なのです。

ありがとうの丁寧語になる

「痛み入ります」とは、心の底から感謝しますという意味の言葉で、「ありがとうございます」の丁寧語になります。

「痛み入る」を使用するときのポイント

「痛み入ります」という表現は、かなり格式ばった言い方なのです。

大事な相手に対して丁重に感謝の気持ちを表現する時に使われる言葉なのです。

だから、親しい仲間や同僚に対してこの言葉を使うことはほとんどないのです。

親しい人から何かを助けてもらった時などには、「サンキュー」やら「ありがとう」ぐらいにストレートに感謝すべきです。

普通の人は、日常会話でも使ったことがないので、いざ言おうとすると舌を噛んでしまいそうです。

羽織袴で直立して話す時のようです。

「痛み入ります」と話す時には、それなりに重大な問題に対応してくれたとか、危機を脱出することができたなどというビジネスの世界のシーンに多いようです。

日常会話では使わない

もし日常生活で使う時があるとすれば、どんなときでしょうか?

今話題の詐欺事件から、自分の高齢の親が大金を奪われる時にそれを事前に防いでくれたとか、幼い子供が自動車事故に遭遇しそうになった時に、身を挺して守ってくれたとか、重大な場面で使うかもしれません。

しかし、その言葉に慣れていないと、とっさには出てこないでしょう。

一般的には、「大変ありがとうございました」と深々とお辞儀をして感謝するのがいいのです。

時には、「余計なおせっかいをしやがって」と怒った時に、皮肉を込めて「ご親切痛み入るよ」などと言われることもあります。

しかし、一般的には日常会話では使わない言葉です。

多用すると不自然

「痛み入ります」という言い方は、格式ばった表現でもあります。

だから、日常でもビジネスでも多用すると不自然に感じられます。

何かにつけてちょっと親切にしてあげると「痛み入ります」なんて言われたら、軽率な感じに思われます。

多用すると、相手が馬鹿にされているように感じて印象が悪くなります。

軽々しく使わないようにしましょう。

ビジネスの世界でも、ここという時があるはずです。

タイミングも重要です。

まとめ

「痛み入ります」という表現は、何かのほどこしを受けた時に「有難く思う気持ち」「感謝する気持ち」と、自分には身に余るという「恐れ多い気持ち」なのです。

簡単に言うと、「深い感謝」と「恐縮」が同居しているのです。

このことを忘れないようにすれば、使うシーンも理解できると思います。

一般的には「恐縮です」などと言いますが、これでは感謝の気持ちが不十分だと思った時には、さらに感謝の度合いが強い「痛み入ります」となるのです。

「痛み入ります」は、「痛み入る」に丁寧語の「ます」を付けた組み合わせです。

「ご厚情痛み入ります」「お心遣い痛み入ります」「皆様のご厚情、痛み入ります」などというフレーズでよく使われます。

ビジネスのシーンでは挨拶文によく利用されたり、挨拶の時にも「お心遣い痛み入ります」などと切り出して会話を始めることもできるのです。

ここで注意が必要なのは、勇み足で何かをしてあげたり、おせっかいなことをしてしまった時に、嫌味を込めて「お気遣い痛みいります」などと言われる時もあるからです。

「そんな事は、言われなくても自分でやるよ。

余計なおせっかいだよ」と言う気持ちで使う場合です。

このように、相手が思い込まないように、使う場面をしっかりと認識しておく必要があります。

本当に必要なシーンで使うと、あなたの印象も良くなるはずです。

「痛み入ります」は、使う相手とタイミングを考えて使うのです。