初めから謝辞を述べておいてから依頼するという感覚です。
「恐縮ですが、ご署名とご捺印をお願い致します」とか「恐縮ですが今回の会合は欠席させていただきます」「恐縮ですが、夜間は裏の非常口の方をご利用ください」などと使います。
このような「恐縮です」や「恐縮ですが」は、意味が幅広いところがあって、目上の人や上司などの敬意を払いたい人に対して使用すると、とても丁重に答えているように思われます。
社会人として、覚えておくと便利なフレーズでもあるのです。
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助かります
「ちょっと疲れたなあ」とか「ちょっと面倒だなあ」などと気が滅入ったところに、「手伝うよ」と言って仕事を手伝ってもらった時など、「助かります」とお礼を言う時が多いものです。
大きな荷物を積んで狭い道を自転車で通ろうとしたら、向こうから来た人が片側に避けて通りやすくしてくれたのです。
その時に、その人の側を通り抜ける時に「助かります」と会釈をしたのです。
何かを両手に持っていて両手が塞がっている時に、入り口のドアを開けてくれたり、雨が降る中をタクシーから降りようとしたら、濡れないように傘を差してくれたりした時に、感謝をして「助かります」と言ってしまいます。
日常生活の中で、ちょっとした事での感謝の気持ちを表現する時に、「ありがとうございます。助かります。」と普通に使う言葉です。
ビジネスの世界では、相手が助けてくれたことに対してお礼を言う場面が多くあります。
「〇〇の折には、大変助かりました」のように言います。
しかし、厳密には「助かりました」は「ご苦労様」と同じようにねぎらいの言葉ですが、通常は目上の者が目下の者に向かって言う言葉なのです。
だから、友人や同僚、身内の者に向かって言う時はいいのですが、目上の人に対して「助かります」などは、本来失礼に当たる表現であることを覚えておいてください。
目上の人には、「〇〇していただき、ありがとうございました。」あるいは「〇〇していただき、御礼申し上げます」と言うのが一般的です。
「助かります」は、親しい人に対して使う言葉です。
有難く存じます
「有難く存じます」という表現は、日常会話ではほとんど使われません。
ビジネスの場面でも、会話のシーンよりもメールや手紙でのお礼の表現に使われることがあります。
しかし、よく見ると「ありがとう」の言葉の次に「存じます」という謙譲語が続くのですから、違和感を持つ人も多いようです。
「存じます」は「思います」の謙譲語なのです。
「ありがとうございます」「助かります」「大変嬉しいです」と感じた時に、それを丁寧に伝える時の言葉なのです。
敬語の使い方に違和感を持っても、「有難く存じます」という表現は正しいのです。
謙譲語という敬語が使われているということは、同僚や部下に使う言葉ではないようです。
自分をへりくだっていることから、目上の人や大事なお客様に対して使われるのです。
「平素よりご厚情を賜り、有難く存じます」「迅速なご対応を、誠に有難く存じます」「わざわざお越しいただき、誠に有難く存じます」などと使われます。
忝うございます
「忝う(かたじけのう)ございます」と読みます。
この言葉は現代の日常会話には出てこないと言ってもよいでしょう。
「忝い(かたじけない)」という表現は、現在でもよく使われます。
「忝い」とは①(身に余る好意、親切に対して)感謝に絶えない、有難いという意味と、②(分に過ぎた処遇に対して)恐れ多い、もったいないという意味です。
「忝い」「有難い」「もったいない」は、自分には不相応で恐れ多いという意味から、感謝の気持ちを表すようになって、日本人独特の感情表現でもあるのです。
「忝い」をさらに丁寧に伝えるのが「忝うございます」で、「お心のほどは身に沁みて忝うございます」「わたしをお選びくださって、忝うございます」などの文例があります。
「痛み入る」の使い方と例文
ビジネスでは時々活用する「痛み入ります」という言い回しは、目上の人や取引先の大事な人に対して改まった場面で使うと効果的な言葉です。
この言い回しを使う時は、相手方から手厚い配慮や好意を受けた時に、真摯に感謝の気持ちを表現する時です。
この言葉の中の「痛む」とは「心が痛む」という意味でもあり、恐縮しているさまを表現しているのです。