どちらもへりくだった丁寧な表現になります。
「僭越ながら」
「僭越ながら・・・」という常套句は、結婚式の披露宴で、主賓の方がお祝いの祝辞を述べる時に「僭越ながら、ご指名を頂きましたので・・・」という感じでスピーチに入るのです。
僭越ながらとは、地位や立場をわきまえずに、出過ぎた真似をするという意味です。
主賓に祝辞を一番にお願いするということは、その地位や立場上最もふさわしいと考えられるのですが、どのような先輩諸氏がおられるか分からないので、謙遜して話す常套句です。
上司や部下が混じった会議で、自分が意見を述べる前に「僭越ながら・・・」という使い方もあります。
これは、一般的には「恐縮ですが・・・」とか「恐れ入りますが・・・」という常套句が使われます。
みんなが意見や考え方を出し合っている場で、ちょっと違った観点から話を切り出す時にも「僭越ながら・・・」と言う表現をするのです。
丁寧に意見を言う時の常套句なのです。
「僭越ながら」を使った事例では、本来重要な話をする予定の上司が病気で欠席することになり、自分が代わりに話をする時に、「上司が急病のため、僭越ながら代わりにお話しをさせていただきます」などと使います。
地位の高い人が同席している時には、「恐縮ですが・・・」という言い方は軽い感じで避けるべきです。
「僭越ながら」の常套句は、恐れ入りますがとか恐縮ですがよりも、品格のある常套句と言えます。
【僭越の使い方については、こちらの記事もチェック!】
「勘弁してください」
「簡便」という言葉は、悪いことを続けるような人に対して堪忍袋の緒が切れて「もう勘弁ならない」という使い方をします。
「勘弁」とは過ちや不都合などを許すということです。
そして、「勘弁ならない」とは許さないということなのです。
そこで、「勘弁してください」とは、許してくださいとお願いすることです。
しかし、時代の変化によって「勘弁してください」の意味合いも変化しているようです。
弱いものをイジメている時に、「勘弁してください」と言って許しを乞う時にも使います。
それでも続けてイジメられると、「もう」という言葉を付けて「もう勘弁してください」とも言います。
これは、「もうこれ以上やめてください」と限界だと伝えているのです。
この使い方は、「勘弁」とは「やめてくれ」と同じ意味に使用されるようです。
「勘弁」とはいわゆるブレーキの意味も含んでいます。
営業マンが顧客から強引な値引きを要求されたときに、もうこれ以上の値引き要求は止めて欲しいというニュアンスで、「もう勘弁してくださいよ」と冗談っぽく本音を伝える営業マンの常套句でもあるのです。
「これ以上の値引き要求は絶対受け付けません!」と角を立てて宣言するよりも、「もう勘弁してください」と憐れみを見せながら告げると、人間関係も壊れずにすむのです。
「人それぞれだよ」
同じ絵画を鑑賞しても、人によって感動の仕方が違うものです。
芸術や音楽などは、人それぞれに評価が違うものです。
このように、人間は個人によって考え方や感じ方、信条や価値観は異なっているのです。
このことは、誰もが異論を唱えない筈です。
このように、それぞれの人間の個性を尊重する表現の常套句として「人それぞれだよ」という言い方があります。
ある出来事に関して、ある人がSNSで自分の意見として発信した時に、それを見た仲間からその書き込みに対する反論や賛成の意見がツイートされました。
このことから、みんなの意見が盛んに発信されて収拾がつかなくなりました。
それを聞いた年長者が、みんなが集まった時に「いろんな考え方があるようだが、人それぞれだよ」と話しました。
それを聞いたみんなは、それはそうだけどとまだ言い足りないようですが、「人それぞれだよ」という常套句が出ると、とりあえず納得するのです。
「人それぞれだよ」と発言すると、意見をひとまず収めようという合図みたいな感じでまとまるのです。
「さすがですね」
「さすがですね」という時は、その人の能力や実力を高く評価して感動した時に言う言葉です。