しかしこういう場合、やはりパワーバランスにおける年長者という要素の強さから、「年上の部下はどうにも扱いにくい…」「自分の部下だとは言え、年上の方だから言いたいことが言えない…」などと言うような悩みに直面することも多いでしょう。
部下からしても「年下に指示されるのは癪に障る…」といったように劣等感を感じるものです。
これはパワーバランスが上手く保てていない状況だと言えます。
会社では年齢に関わらず、立場を優先し、毅然とした態度で職務を全うできてこそ、正しいパワーバランスを成り立たせていけるのですが、そこは手腕が試される部分だともいえます。
次に パワーバランスで重要なのが“経験” です。
人の経験年数は、固有のスキルとして重宝される部分です。
ある会社で業務経験5年のAさんが居た場合、その会社に後から入ってきたBさんの業務経験が10年だとするとどうでしょう。
会社という組織の中ではAさんが先輩ですが、業務経験としてはBさんのほうが先輩と言うことになります。
このAさんとBさんのパワーバランスは非常にはかりにくいものです。
Aさんからすれば「業務年数はどうあれ、この会社での上司は自分だ」というプライドがあるでしょう。
Bさんからすれば「自分の方が仕事ができるのに、どうしてあの人が上司なんだろう」という不満があるでしょう。
途中入社や転職した人は、こうした社歴と業務経験の壁によって、上司との関係性に困惑し、なかなか本来のパフォーマンスを発揮できなかったりすることもしばしば。
こう考えてみるとパワーバランスとは非常に難儀なもののように感じますね。
若手の社員と社歴の長いパートさんの関係
こういった、立場と経験という観点からみたパワーバランスでよくありがちな問題の一つに “若手社員”と“社歴の長いパート” というのもあります。
組織的なヒエラルキーとしては、社員はパートを管理する立場になるので、社員の方が立場は上です。
しかし、入社したばかりで社会経験も浅い若手社員ともなると、社歴の長いパートのほうが組織や社会の仕組みや業務内容に関して詳しく、社内での立場が強いということになりかねません。
若手ということで年齢も若く、経験も知識も豊富なパートの年配者と比べるとその能力差は歴然です。
ですが、社員としてパートに対してへりくだり、従うような姿勢を見せることは良い判断とは言えません。
受動と能動
パワーバランスには、 “受動”と“能動”という2つの面も関係 します。
受動というのは簡単に言うと消極的で受け身であること。
他から促されるままに行動し、自らの意思を持った決定や判断ができないことです。
同じような意味合いの言葉を並べると、無抵抗、活気がない、言いなり…などが当てはまります。
それに対して能動というのは積極性で行動的であること。
自ら働きかけ、明確な意思を持って進んで行動する姿勢のことです。
同じような意味合いの言葉を並べると、活発・活気ある・盛んな・意欲的な…などが当てはまります。