2. 言葉の由来
ワンチャンは誰が言い始めたのか、そもそも造語ではないため、この辺りは分かっておりません。
ただ、みんなが知っているであろう英単語を、それぞれの解釈のもと、それぞれが思いのまま成長させたと言っていいでしょう。
そして発信源が不明のこのワンチャンですが、古くから多用されていた場所なら実はあります。
それは卓を囲んで行なう、「麻雀」という舞台です。
3. 元々は麻雀用語
元々というより、麻雀をするという場所において、この言葉が使い勝手が良かった、という理由が大きいでしょう。
なぜなら麻雀は中国が発祥なのですから、そこに英語が入るのは違和があるからです。
なので、卓を囲む人々が、比較的意味がすぐに分かる言葉を使用し、それが仲間同士の中で広まっていったと考えるのが妥当でしょう。
(「用語」というより、会話の中で生まれ、それが一般化されたという解釈です)
ではその麻雀においてのワンチャンの意味ですが、
『3枚カベのカベ下のこと。比較的安全だが、相手が4枚目を持っている場合は当たり牌になるし、シャンポン待ちや単騎待ちには通用しない』
というように「安全牌」の考え方が由来であり、それに基づき、麻雀を楽しむ人たちの中で使用されていました。
と言われても麻雀をやる人は、「ふむふむ」といった感じでしょうが、やらない人にとっては意味不明なのは分かります。
ここで細かく説明すると、「麻雀とは」や「麻雀のルール」という話になってしまいますので、
詳しく知りたい人はネットで調べてくださいということで、その部分はカットし、単純に、
「(切羽詰まった状態において)大丈夫!」といった意味だと理解してください。
可能性は低いけれど絶対平気! という、暗示というか、自分に言い聞かせるようにする、自身に発破を掛けるような意味合いです。
麻雀は勝負の世界なので、おそらく麻雀を知らない人であれば、
一発逆転という意味だったり、1回の機会・好機(ワンチャンス)で起死回生、巻き返せるできる、と連想しがちですが、そうではないです。
「大丈夫」
それが麻雀の世界でのワンチャンの意味です。
安全だ、と。
安全のはずだ、と。
――ということから2つ分かることがあります。
例えば同じ勝負の世界にある、格闘ゲームやカードゲームにおいての「ワンチャン」は、
麻雀用語の「大丈夫」や「安全」という意味より、一発逆転であり、起死回生であり、そういった意味で多用します。
「勝利や成功を得るための事象」という使われ方が一般的でしょう。
何が言いたいかと言いますと、
① ゲームマニアの間で、まずは「ワンチャン」が意味を変えた・成長させた
これは推測としては正しい見解なのではないでしょうか。
発信源が麻雀だとしたら、やはり若者も麻雀をやるわけですからそれから最初の言葉の拡がりを見せ、
その若者が麻雀以外の勝負の世界においては、「ワンチャン」を別の意味を使って用いた、ということです。
② どちらにしろ英語から少し離れた感じで使われていた
麻雀にしろ格闘ゲーム・カードゲームにしろ、本来の英語から少し離れた感じで使われていた、ということが分かります。
つまりこの時点で言葉の自由度が高かったということが分かります。
「こんな使い方もある」というよりは、「こんな場所においても相手に通じる」といったところです。